深淵の独居者 ☆☆☆☆

(深淵の独居者 / アルント・エルマー&ペーター・グリーゼ / ハヤカワ文庫SF 2020)

『ペリー・ローダン・シリーズ』の第620巻です。前巻に引き続き、深淵を舞台にアトランら深淵の騎士とグレイ勢力との戦いが続きます。

「深淵の独居者」(アルント・エルマー):ジャシェムのテクノトールたちを支配する長老、現在の"深淵の独居者”であるグラナダー・ブレクは、自身がいつの間にかグレイ作用を受けていることに気づいていませんでした。深淵定数の世界からサイバーランドを見下ろす独居者は、何回も“時の黄昏”という現象を体験するうちに、少しずつグレイ作用の浸食にさらされていました。ブレクが暮らす施設内に、肉体を失ったグレイ領主らの意識が入り込み、徐々にブレクの精神を乗っ取っていたのです。36体ものグレイ意識の中には、スタルセンでアトランらに敗れ去ったゲリオクラートの最長老と友愛団の助修士長もいました。
独居者の助言により、アトランら深淵の騎士こそサイバーランドに破滅をもたらそうとしている時空エンジニアの手先だと信じたジャシェムのラルドとラルグは(実はこの二人も、独居者のもとを訪れた際にグレイ意識に憑依されています)、深淵の騎士とオービターを罠にかけて捕えますが、サリクとボンシンだけはホルトの聖櫃の手引きで脱出しています。その頃、アトランとレトスは、グレイ意識の宿主とされるべく深淵定数に連行される途中でしたが、サリクとボンシンの介入で救出されます。聖櫃の介入でグレイ意識のくびきから解放されたブレクは、自分がグレイ意識の命令を受けてサイバーランドを守る堅固な壁を不安定化させ、グレイ勢力の侵入を許したことを告白し、事態を元に戻すべく深淵定数に戻っていきます。

「テクノトリウム攻防戦」(ペーター・グリーゼ):いったんは深淵の騎士に敗れて逃走したかに見えたグレイ領主ムータンですが、実際にはグレイ作用の根源の地といえるニー領で力を蓄え、サイバーランド攻略の総司令官としてジャシェムの壁に迫っていました。ムータンの狙いは、ジャシェムの中心地であるテクノトリウムです。ブハルとミュルズという2名の部下に主力部隊を任せ、移動式の指令スタンドであるグレイ・テントで総指揮を執るムータンのところに現れたのは、サイと名乗る自称オモレ人でした。仲間の2体アトとジェとともに種族放浪に巻き込まれたというサイは、直感的に正しい行動の方向性を見極めるという能力のおかげで、ムータンの補佐役として行動を共にすることになります。
しかしサイは、ジャシェムの自由テクノトール、ジャンツが創り出して送り込んだ工作員サイバネティクスで、その仲間として変装した(ティラン防御服の能力を使えば、偽装は完璧です)アトラン(アト)とジェン・サリク(ジェ)を送り込むための尖兵でした。二人が信用されれば、ムータンの作戦を根本からひっくり返すことができます。壁の亀裂から侵入してきたグレイ勢力に接触したアトとジェは、首尾よくムータンのもとへ連行されます。作戦通り、それぞれブハルとミュルズの補佐役として各グレイ部隊に合流したアトランとサリクですが、ムータンの作戦は巧妙を極めていました。
それでも、ボンシンが最大限のヴァイタル・エネルギーを解放したため、グレイ勢力は総崩れとなります。ムータンは自らを犠牲にして深淵の騎士3人と刺し違えようとしますが――。

オススメ度:☆☆☆☆


深淵の独居者 (宇宙英雄ローダン・シリーズ620) - アルント・エルマー, ペーター・グリーゼ, 嶋田 洋一
深淵の独居者 (宇宙英雄ローダン・シリーズ620) - アルント・エルマー, ペーター・グリーゼ, 嶋田 洋一

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