赤い箱 ☆☆☆

(赤い箱 / レックス・スタウト / ハヤカワ・ミステリ文庫 1981)

ネロ・ウルフ・シリーズの第4長篇。ウルフが「毒入りチョコレート事件」(違)に挑み、今回はウルフが「外出する」という珍しいシーン(笑)も見られます。

ニューヨークの一流洋装店マグネヤーで、詰め合わせのお菓子を食べたモデルが死亡します。部屋には他に二人のモデルがいましたが、ひとりはお菓子を口にせず、もう一人は2個も食べたのに問題ありませんでした。その後の調査の結果、アーモンドを砂糖でくるんだ菓子だけに青酸カリが仕込まれていたことが判明します。
ネロ・ウルフのもとへ依頼に訪れたのは、お菓子を食べなかったほうのモデル、ヘレン・フロストの従兄弟リューエリン(リュー)でした。リューの依頼内容は、お菓子の箱の出どころ(もっと言えば、毒殺犯)を突き止めることと、ヘレンがマグネヤー洋装店を辞めるよう仕向けることでした。どうやら、ヘレンは経営者兼服飾デザイナーのボイド・マクネヤーに懐いており、リューはそれが気に入らないようでした。ウルフの助手アーチー・グッドウィンの入れ知恵で、出不精のウルフも洋装店に引きずり出され、ヘレンともう一人のモデルのセルマ、ヘレンが“ボイドおじさん”と呼ぶマクネヤーから事情を聞きます。毒入り菓子が入っていた箱は、死んだモデルのモリーがどこからか持ってきた(盗んできた?)ものらしいとわかりますが、ヘレンが不用意に漏らした一言から、モリーから差し出される前に箱の中身を知っていたことがわかってしまいます。このことを警察が知れば(実際、ウルフも旧知のクレイマー警部が精力的に捜査を進めています)、ヘレンが容疑者となる可能性がありました。
やがて、リューがウルフに依頼したことを知ったフロスト家の面々が事務所へ押しかけてきます。ヘレンの母親カリダは第一次大戦中のヨーロッパで夫(ヘレンの父)を失くしていますが、亡夫の財産200万ドルはすべて娘のヘレンに遺贈されています。現在、その財産はヘレンの父の兄ダドリー(リューの父)が管理しており、ヘレンは翌年の誕生日に二十歳になるまで、それを自由にすることはできません。リューはヘレンに好意を持っており、結婚も考えているようでした。一方、マグネヤーも第一次大戦中のヨーロッパでフロスト一家と知り合っていました。当時、マグネヤーは戦乱のアルデンヌからヘレンと同い年の幼い娘と着の身着のまま避難してきており、ヘレンとも会っているはずですが、もちろん幼かったヘレンにはそんな記憶はありません。戦後、娘も失って孤独になったマグネヤーは、渡米してくると服飾デザイナーとして頭角を現し、ついにはニューヨークでも指折りの洋装店のオーナーになったわけでした。マグネヤーはモデルの中でも特にヘレンに目をかけ、ダイヤのアクセサリーなども与えていますが、フロスト一家はそれをあまり面白く思っていないようでした。おまけに、ヘレンの周囲には、カリダの知り合いだという三十代のフランス人ペラン・ジェベール(金回りはいいようですが、職業不詳)が付きまとっており、ヘレンの“婚約者”を自称しています(もちろん、ヘレンには、そんな気はさらさらないようです)。
ウルフは調査料として1万ドルを請求し、ダドリーやカリダは反対しますが、リューは了承してしまいます。ウルフは精力的に動き(実際に行動するのはアーチーですが(^^;)、マグネヤーとヘレンから、例の毒入り菓子の箱は、当日の昼、誰かがマグネヤーの私室に持ち込んだもので、たまたまヘレンもそれを見て中身を知っており、その後、部屋を訪れたモリーが悪戯心を起こして持ち去ったことを聞き出します。マグネヤーもアーモンドが好きなことから、毒入り菓子が最初からマグネヤーの命を狙ったものだということは明らかでした。
その日の晩、マグネヤーが突然ウルフを訪ねてきます。マグネヤーは、信頼できる相手はウルフしかいないと訴え、自分の遺言執行人にウルフを指名して、自分が所有する「赤い箱」とその中身を託すと告げた直後、持参したアスピリン(マグネヤーは頭痛持ちで、アスピリンを常用していました)を飲んで、青酸カリ中毒で死亡します。アスピリンに毒が仕込んであったのです。マグネヤーが殺されたことで、ヘレンは改めて大好きな“ボイドおじさん”の殺害犯を突き止めるよう、ウルフに正式に依頼してきます。
マグネヤーが言い遺した「赤い箱」の所在を突き止めようと、ウルフは配下の探偵たちを総動員し、マグネヤーの自宅や別荘、さらには出生地のスコットランド(妹が健在のようです)をはじめマグネヤーが滞在していたヨーロッパの各地にまで調査の手を広げます。探偵たちが調査しているマグネヤーの別宅にジェベールが忍び込もうとして、駆けつけた警察に引き渡されるといった一幕もありましたが(ジェベールは、警察でかなり痛めつけられました)、はかばかしい結果は得られません。やがて、マグネヤーの葬儀の直後、ジェベールも毒殺されてしまいます。
ウルフはついに、フロスト家の面々を事務所に集め、クレイマー警部の立会いのもと、事件の真相を解き明かすことにします。決め手となる「赤い箱」を持ち出したウルフに、ある反応を示した関係者がいました・・・。

オススメ度:☆☆☆


赤い箱 (ハヤカワ・ミステリ文庫 35-4) - レックス・スタウト, 佐倉 潤吾
赤い箱 (ハヤカワ・ミステリ文庫 35-4) - レックス・スタウト, 佐倉 潤吾

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