宿命の始動 ☆☆☆☆

(宿命の始動 / マーガレット・ワイス / 富士見文庫 1996)

スペースオペラ『ディオン・スターファイア』の第5巻です。ラス前(笑)となり、クライマックスへ向けて、事態は緊迫感を増していきます。シリーズの舞台設定や時代背景、登場人物につきましては、第1巻「反逆の天使」の記事をご覧ください。

前巻、闇の傀儡師アブデルのくびきから解放されたディオン(実際には、彼のブラッドソードはアブデルの手元にあり、“絆”を通じて精神に影響を受ける危険は残っています)は、スターファイア王家の正統な世継ぎであることを公表します。一躍、銀河中のマスコミの寵児となったディオンに、銀河連邦の大統領ロブスは不安をおぼえており、アブデルの操り人形となっているロブスは、ディオンを失脚させるべく狡猾な罠を次々と巡らせてきます。老練なディクスター将軍、ガーディアンのタスクや親衛隊のエイジス大尉らに守られ、ディオンはそれらの罠をかろうじて切り抜けますが、プレッシャーは限界に達していました。メイグレイが伝言も残さず宇宙艇を奪って姿を消したことも、ディオンの不満と不安を高めています。
ディオンの後見役でもある星域軍総帥デレク・サガンは、座乗するフェニックス二世号にディオンを呼び出します。デレクは、アブデルの脅威を認識しており、今やアブデルの傀儡となってしまっているロブスの銀河連邦との開戦も辞さない構えでした。そのため、連邦を離脱した三大勢力の支配者――第24星域を支配するガス呼吸生物リキルス卿、完全女系制の宗教国家、第24星域を統率するディルーナ男爵夫人、ソルガート星系の(見かけ上は)蛮族の領主ベア・オレフスキー――をフェニックス二世号に招待しています。デレクは、ディオンを3人に引き合わせたうえで、王として銀河連邦に対し開戦を布告させようと計画していたのですが、ディオンは首を縦に振ろうとしません。デレクは、腹心のアスク提督に命じて、ディオンとディクスター将軍、タスクと恋人ノラを逮捕・監禁しますが、思いがけない人物の訪問を受けます。
デレクを訪ねたのは、看護師としてフェニックス二世号に乗艦していたブラザー・フィデレスで、彼はかつてデレクやメイグレイらブラッド・ロイアルが子供時代を過ごした修道院を運営していたアダマント教団(18年前の革命のさなか、壊滅したと思われています)の修道士でした。デレクと二人きりになったフィデレスは、思いがけない伝言を伝えます。死んだはずのデレクの父が、教団の修道院で死の床に就いており、死ぬ前に息子に会いたがっているというのです。心を決めたデレクは、ディオンらを解放すると、アスクとディクスターに後を託し、ブラザー・フィデレスやエイジス大尉を連れてフェニックス二世号から旅立ちます。デレクは銀河辺境の忘れられた惑星に建つ教団のアカデミーの廃墟で、メイグレイと再会します。思念同調により、デレクだけはメイグレイの居場所を知っていましたし、メイグレイもデレクにもたらされた情報を知っていました。しかも、メイグレイは思念を飛ばして、デレクの父親の生存が事実であることを確認しています。デレクは、自分に代わってフェニックス二世号の指揮とディオンの後見役を務めるよう託し、メイグレイも受け入れます。そして、デレクはブラザー・フィデレスと共に父が待つ惑星へ出発します――そこで、アブデルの罠が待ち受けていることを承知の上で。
同じころ、銀河ネットワークでは、前巻で発生した武器商人スナガ・オーメの殺害事件の犯人としてデレク・サガンの名が挙げられ、ロブス大統領の名のもとに出頭命令が布告されていました(もちろん、アブデルの罠の一環です)。そんな中、フェニックス二世号に帰還したメイグレイは、デレクの代行としてディオンと腹を割って話そうとします。一方、父のいる修道院へ到着したデレクとブラザー・フィデレスは、予想通りアブデルの罠にかかり、デレクは壮絶な拷問を受けるとともに、フィデレスはアブデルの伝言を持ってフェニックス二世号に向けて送り出されます。メイグレイも、デレクの運命を知ってショックを受けていました。
アブデルの意を受けたロブスは、デレク・サガンが最終兵器である空間回転爆弾の情報を手土産に、人類に敵対するコレイシア人の陣営に亡命したという情報を公表します。ディオンをコレイシア人との戦争に追い込もうというアブデルの陰謀でしたが、メイグレイはそれを逆手に取っての乾坤一擲の計画に打って出ます。メイグレイは、デレク腹心の暗殺者スパラファシルと連絡を取り、脱走兵エイジス、ダニエル(実はブラザー・フィデレス)と共にディオンを裏切ってフェニックス二世号を脱出します(もちろんアスクやディクスターも承知の上の偽装)、愛するデレクを追ってコレイシアへの亡命を目論みます。一方、予定されていたタスクとノラの結婚式を隠れ蓑に(ふたりの結婚は本当です)、ディオンは新婚旅行としゃれ込む(笑)タスクとノラの宇宙艇に密航(笑)して、ソルガート星へ赴き、ベア・オレフスキーに協力を求めます。そこでディオンは、ベアの一人娘カミラと運命的な出会いをするのでした。

最終巻「最後の守護者」に続きます。いつか登場。

オススメ度:☆☆☆☆


宿命の始動―ディオン・スターファイア〈5〉 (富士見文庫―富士見ドラゴンノベルズ) - マーガレット ワイス, Weis,Margaret, 理子, 小林
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