玩具職人クリオ ☆☆☆

(玩具職人クリオ / アルント・エルマー&H・G・フランシス / ハヤカワ文庫SF 2020)

『ペリー・ローダン・シリーズ』の第614巻です。前巻の続きで、深淵でグレイ作用に対抗するアトランらの行動が描かれます。

「領主ムータンの反撃」(アルント・エルマー):前巻のラストで、領主ムータンを退け、シャツェンの地下のヴァイタル・エネルギー貯蔵庫を解放したアトラン、サリク、レトス=テラクドシャン、ハルト人ドモ=ソクラトとアバカーのボンシンは、次の作戦を考えていました。シャツェンの平穏を完全に取り戻すには、ムータンからグレイ作用を一掃する必要がありました。ボンシンの超能力を使って、ムータンに大量のヴァイタル・エネルギーを投入すれば、それが可能かもしれません。しかし、ボンシンはパワーを使い切ったため休息が必要でした。そのため、レトスを付き添いに残し、アトラン、サリク、ソモ=ソクラトの3人が先行してムータン領へ向かいます。
領主ムータンの強力な部隊の攻撃や、ひたひたと迫りくるグレイ作用の脅威にさらされながら、3人はムータン領へ侵入しますが、いつの間にかドモ=ソクラトはグレイ作用の影響を受け、無意識のうちにアトランとサリクを裏切る行動に出ていました。それに気づかなかったアトランとサリクは、領主ムータンの罠にはまり、細胞活性装置を奪われてしまいます。ムータンは、ふたりの深淵の騎士を最強の兵士として使おうとしているばかりか、さらに狡猾な深謀遠慮をめぐらせていました。
レトス=テラクドシャンは、ボンシンと共にムータン領への最前線たるコルツブランチへ向かいます。アトランらが危地に陥っていることを知ったレトスは、ボンシンに力を取り戻させるため、コルツブランチのヴァイタル・エネルギー源“力の泉”を目指します。“力の泉”のエネルギーを吸収したボンシンは、エネルギートンネルを作ってシャツェンの軍勢をムータン領へ導きますが、襲ってきたムータン軍がアトランとサリクに率いられていることを知って愕然とします。ところが、パニックに陥ったボンシンが抑圧されていた全能力を解放し、“力の泉”のヴァイタル・エネルギーをすべてムータン領に注ぎ込みます。おかげでアトラン、サリク、ドモ=ソクラトは正気に戻り、ドモ=ソクラトがふたりの細胞活性装置を取り返します。
しかし、“力の泉”のエネルギー解放は、ムータンの目論見通りでいた。実は、コルツブランチの“力の泉”は、コントロールされているヴァジェンダなどのヴァイタル・エネルギー源とは異なる“野生の力の泉”であり、そのエネルギーを解放することは、この世界を統べる深淵法の一つを犯すことだったのです。

「玩具職人クリオ」(H・G・フランシス):広い深淵の中には、グレイ作用が及んでおらず、住人の誰もグレイ作用について知らない領域もありました。そんな領域のひとつヴァンヒルデキンには、玩具職人と呼ばれる種族サイリンが住んでいます。深淵でも最古の種族の一つであるサイリンは、頭脳と記憶を保持したまま新たな肉体を創造できるため、事実上の不死で、体内記憶に刻み込まれた様々なものを創り出すことができます。その能力を買われて時空エンジニアに召喚されたはずでしたが、今や本来の任務は忘れ去られていました。サイリンの中でも秀でた創造能力を持つクリオ(女性ですが、表紙イラストのインパクトは相当なもの(^^;)は、訪ねてきた謎の人物ノルブ・エルツェ・ウ・フェルトの依頼を受け、グレイ作用に対抗できる装置――早い話が携帯用ヴァイタル・エネルギー貯蔵庫である細胞活性装置を創り出してやります。
しかし、その直後、異変が襲い、クリオをはじめとするヴァンヒルデキンの住人は、見知らぬ土地に転送されてしまいます。コルツブランチで“野生の力の泉”のヴァイタル・エネルギーが解放され、深淵法が犯されたために、転送機ネットワークが暴走し、予期せぬ“種族放浪”(要するに、住人と居住地域がシャッフルされてしまう現象で、以前はプログラムに従って定期的に起こっていたようです)が発生してしまったのでした。
クリオはコルツブランチ近くに出現し、ダオと名乗る同族の男性に出会います。自分が無能力であることを隠そうと躍起になっているダオに気付かぬまま、クリオは移動手段や武器を創り出し、情報を求めて進みますが、後を追って来た灰色のヒューマノイドに撃たれ、ダオは殺されてしまいます。やがてクリオは、灰色のヒューマノイドは深淵法を犯した者を取り締まる“深淵警察”の駆除部隊であると知りますが、駆除部隊はグレイ作用の影響を受けているのか、出会う生物すべてを殺戮しようとしているかのようでした。
クリオは駆除部隊を尾行し、先んじて駆除部隊を倒そうとしますが、やがて駆除部隊に攻撃されている数人の異人を目撃し、かれらを助けます。もちろん、クリオが助けたのはアトランたちでした。

オススメ度:☆☆☆



玩具職人クリオ (宇宙英雄ローダン・シリーズ614) - アルント・エルマー, H・G・フランシス, 林 啓子
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