忍者惑星テラ2 ☆☆☆☆

(忍者惑星テラ2 / 矢野 徹 / ハヤカワ文庫JA 1992)

『連邦宇宙軍シリーズ』の第4巻です。これまで合作していた高橋敏也さんが本業(テクニカル・ライター)多忙となったため、この巻から矢野さんが単独で執筆しています。

第3巻「マーズ・ドラゴン」で、火星を根城にしていた臓器密売団を壊滅させ、火星にあったエリミネーターの基地を破壊したシン・ムナカタ少尉は、外宇宙へ逃亡した元・連邦宇宙軍秘密諜報部のハーマンを追って、ソル2星系の惑星テラ2へ向かうこととなります。
テラ2は、その名の通り、かつて地球から植民者が送り込まれた惑星の一つですが、その後の動乱の中、500年にわたって地球との連絡・交流が絶たれていました(『銀河辺境シリーズ』で言う“失われた植民地”ですね)。テラ2に移住した植民者の中には、忍者の末裔、コーガ軍のグループが含まれており、彼らが健在であれば、ムナカタにとっても重要な協力者となってくれるはずでした。ムナカタの任務は、前作でも大活躍した女性型アンドロイド、ムラサキを唯一の相棒としてテラ2に着陸し、エリミネーターと臓器密売団の秘密を解明するか、あるいは逃亡犯ハーマンを発見して処刑することでした。作戦期間は最大20年――任務の困難さを物語る数字でした。ムナカタは、連邦宇宙軍の戦艦“フリードリヒIII世”(第2巻で絶体絶命のムナカタを救った、同期生のキャシー、減るダイバー・チームの凄腕戦闘機パイロット、ブラディ・アンも乗員です)で、2ヶ月をかけてテラ2へ向かい、キャシーの操縦する偵察艇で、ニロス大陸の農村地帯へ到着します。地球に似た地勢のテラ2では、地球のアフリカとヨーロッパに当たるニロス大陸、ウラル山脈以東のユーラシアに当たるEC大陸が2大国家を構成しています(南北アメリカに当たる未来大陸は、未踏の地です)。ロシア系の植民者が中心のEC国家は秘密主義で、臓器密売団の基地があるとすればこちらだと思われました。一方、日系を含むアジア系の人々が植民したニロスは、まがりなりにも民主国家を保っており、ムナカタが探すコーガ軍も、存続しているとすればニロスのどこかにいるはずでした。
EC大陸の辺境の村から旅してきたという触れ込みで、最初に出会った"花の村"の娘ヴィリアから周辺の知識を得たムナカタは、バスで首都ニロスポリスへ向かいます(アンドロイドのムラサキは、独自の行動を取るために姿を消しています)。首都へ着いたムナカタは、マットと名乗るうさんくさい情報屋の青年に声をかけられ、宿も世話してもらいますが、周辺には秘密警察らしい影も出没しています。やがて、理由もわからず(よそ者だから?)警察に追われたムナカタは、マットの手引きでコーガ軍団と接触することができました。実はマットは、コーガ軍団の現在の首領、サイゾウの孫イゾウで、どこからともなく現れたムナカタを地球から潜入した工作員だと見破っていました。
"花の村"の奥地にあるコーガ軍団の基地、シャングリラへ案内されたムナカタは、地球から持参した先祖の認識票(ムナカタの祖先はコーガ軍団の一員でした)を証拠として認められ、軍団の一員となります(このあたりの流れは、ティモシー・ザーンの「ブラックカラー」を思い起こさせます)。
ムラサキの協力もあって、ニロスポリスの管理コンピュータの女性人格ココの信頼を得たムナカタは、臓器密売団やエリミネーターに関する手がかりとなる情報を求めていきますが、先手を打ったEC国の工作員が"花の村"のヴィリア一家を拉致しようとします。ココの警告とイゾウたち軍団員の迅速な対応で事なきを得ますが、ECが国を挙げてニロス国へ侵攻しようとしていることは、間違いありませんでした。このときの戦いで重傷を負ったムナカタは、献身的な看病を続けてくれたヴィリアと愛を確かめ合うことになります(その最終的結果が、第1巻「ネットワーク・ソルジャー」のラストで描かれるわけですね)。
明らかに劣勢の戦力比を打開すべく、ムナカタの命を受けたムラサキは、シャングリラの武器庫に眠っていた男性型の戦闘アンドロイドをアクティブにし、ロボット部隊も稼働させます。コーガ軍団も、ハンググライダーや風船爆弾など、可能な限りの手段を使って、EC国の最新機械化部隊に対抗しようとします。戦いの火ぶたは切られ、劣勢になったEC軍の応援としてエリミネーターの一軍が出現します。しかし、ムラサキを始めとする地球のアンドロイド軍団が思いもかけぬ手段でコミュニケーションを試み、エリミネーター部隊は戦わずして撤退してしまいます。

任務を完了し、地球へ帰還するムナカタとムラサキを乗せた偵察艦ハツユキは、帰途に未知の宇宙船と遭遇することになりますが、それはまた、別の話――。

オススメ度:☆☆☆☆


忍者惑星テラ〈2〉 (ハヤカワ文庫JA―連邦宇宙軍シリーズ)
忍者惑星テラ〈2〉 (ハヤカワ文庫JA―連邦宇宙軍シリーズ)

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント