猫は鳥を見つめる ☆☆☆

(猫は鳥を見つめる / リリアン・J・ブラウン / ハヤカワ・ミステリ文庫 1995)

『シャム猫ココ』シリーズの第12作です。

前作で、一度は死んだと思われながら、無事にピカックスへ戻って来たジム・クィララン。自分が相続したクリンゲンショーエン家の敷地を探索していたクィラランは、古びたりんご園の納屋を見つけ、たちまちその雰囲気に惚れ込んで、そこに引っ越す決心を固めます。ココとヤムヤムも新居に不満はないようで、特にココは、庭に飛来する野鳥ショウジョウ紅冠鳥(本書の原題になっているCARDINALは英語名)をガラス越しに観察するのに夢中になっています(美しさを鑑賞しているのか、「美味そうだな」と思っているのかは、クィラランにもわからないでしょうけれど(^^;)。
ある晩、クィラランの納屋は一団の地元の素人劇団員の襲撃を受けます。彼ら「ピカックス演劇クラブ」が演じていた『ヘンリー八世』の公演が千秋楽を迎え、打ち上げで盛り上がった劇団員やスタッフが総勢40人、後援者でもある名士クィラランに敬意を表しに(?)やって来たのです。地元のデパートの経営者ラリー、警察署長ブロディの娘フラン、クラブの会長キャロル、アンティークを扱うスーザン、レストラン『古い水車小屋』亭のボーイ見習いデレク、新たに町に引っ越してきた建築デザイナーのハフ(クィラランの納屋を改装したのもハフでした)、古本屋の老店主スミス、クラブの広報担当ヒクシー、舞台装置を製作する剥製師の息子ウォリー、そして演出担当の高校校長ヒラリー・ヴァンブルックなどが顔を揃えていました。ヒラリーは教育者や学校運営の手腕を買われ、隣町ロックマスターの高校から引き抜かれてきたのですが、劇の演出家としては独善的かつ辛口で、劇団員からは煙たがられており、パーティでも浮いているようでした。
一堂がにぎやかに帰って行ったあと、クィラランは自動車が1台、駐車したままになっているのに気づきます。言ってみると、車内ではヒラリーが射殺されていました。ピカックスにはヒラリーを嫌っていた人物はいくらでもいて、誰もが容疑者候補になり得ますが、特に当日クィラランの納屋で騒いでいたメンバーは戦々恐々としていました。特にウォリーは高校時代、ヒラリーから理不尽な仕打ちを受けて退学させられていましたし、スミスなどは自分が拳銃を所有しているというだけで、ひどく不安がっています。おまけに、ハフは翌朝からどこかへ姿を消しており、いかにも犯人が高跳びしたような行動と思われました。
クィラランは、恋人のポリーに会いたいと思いましたが、あいにく彼女は友人の結婚式に出るためにロックマスターに滞在中でした。電話では「早く会いたい」と言っていたポリーですが、帰ってきても心ここにあらずといった様子で、クィラランとの会話も弾みません。さらに、ポリーと同じ結婚式に出ていた共通の友人から、ポリーが特定の男性と親しくしていたこと、ポリーがクィラランに話した内容とは異なる行動をしていたことを聞かされ、クィラランは心穏やかではありません。
気を紛らすように事件の調査を始めたクィラランは、ハフが失踪した理由が事件と無関係なことを突き止め、ヒラリーの裏稼業の秘密も暴き出します。また、ヒラリーが生活費の援助をしていたフィオーナの息子ロビンが出場する障害物競走を見物するため、ロックマスターの競馬場へ出かけたクィラランは、ポリーが親しくしていた男――調教師のスティーヴ・オヘアを知ります。オヘアはロビンの師匠でもありました。オヘアの本性を確かめるため、餌(金と名誉)をちらつかせて納屋に招待したクィラランですが、フィオーナとロビンの母子も一緒にやってきます。ポリーの目を覚まさせるためにも、ヒラリーの殺害犯を突き止めるためにも、クィラランは事態を打開しなければなりませんでしたが、事を動かしたのは、今回もココでした。

オススメ度:☆☆☆


猫は鳥を見つめる (ハヤカワ・ミステリ文庫)
猫は鳥を見つめる (ハヤカワ・ミステリ文庫)

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