あんただけ死なない ☆☆☆

(あんただけ死なない / 森 奈津子 / ハルキ・ホラー文庫 2000)

作者曰く、「変なホラー」だそうです。確かにホラーにしてネタはかなり正統なのですが、いわゆる「奇妙な味」が横溢している印象です。

主人公の四方田緋紗子は、ローズ・マンションの住み込み管理人の仕事をしているバイセクシャルですが、自分でも説明できない不思議な能力がありました。中学生のころから、彼女を捨てたり裏切ったりして恨まれた相手は、必ず変死を遂げているのです。唯一の例外は、同性の恋人・小雪でした。性愛に奔放な小雪は、気まぐれで何度も緋紗子を裏切っていますが、いくら緋紗子が恨みに思っても、小雪の身にだけは何も起こりません(それがタイトルの由来)。
ある日、小雪の年下のセフレ(?)、秋也を二人がかりで弄んでいる時、霊感のある秋也は緋紗子に何者(何物)かが取り憑いているのを察知します。以降、その何者かは秋也のアパートにも出没し、言葉まで発するようになりました。一方、小雪は行きつけのバー「レッド・ドラゴン」の常連だった実直な目立たないサラリーマン、米田継雄と結婚することを宣言します。緋紗子はショックを受け、ダメだと思いつつも、小雪を奪った継雄を恨む気持ちを抑えきれません。結果、継雄は勤務先の会社の窓から転落して死亡してしまいます。
緋紗子が継雄の死に責任を感じて苦悩する中、ローズ・マンションに武井鉄郎と名乗る人当たりのいいフリーライターが頻繁に訪ねてくるようになります。雑誌にオカルト記事を書いているという鉄郎は、緋紗子に興味を持っているようで、「身近で怪奇現象が起きているなら、助けになる」と謎めいた言葉を残します。鉄郎の言葉に触発されたのか、緋紗子は自分の出生の秘密を探るべく、没交渉になっていた姉の恵子を北海道まで訪ねていくことにします(マンションの管理人の仕事は秋也に任せました)。恵子の別れた夫・野坂邦久に会った緋紗子は、姉の連絡先を聞き出し、札幌市内でスナックを営んでいる恵子のもとへ赴きます。
一方、「レッド・ドラゴン」で小雪と接触した鉄郎は、自分は緋紗子の恋人だと偽って緋紗子の実家・四方田旅館の住所を聞き出し、こちらも緋紗子の出生の秘密を探ろうとします。近所の住人から聞き出したのは、昔、四方田旅館の娘が神隠しに会い、1年後に身ごもった状態で発見されたという事実でした。小雪を自分のマンションに連れこんだ鉄郎は、本性をむき出しにし、小雪を監禁して犯すと、緋紗子を呼び寄せる材料として小雪を利用するのでした。
恵子に会い、自分と恵子との本当の関係を知った緋紗子は、自分に取り憑いているものの正体に思いを馳せつつ、東京へ戻ってきます。自宅の留守電に残された鉄郎のメッセージを聞いた緋紗子は、鉄郎のマンションを訪ね、監禁されて死にかけている小雪を発見します。そんな緋紗子に、鉄郎は自分も彼女と同類だと告白し、二人は結ばれるべきだと力説するのですが――。鉄郎と対決した緋紗子は、小雪だけが死ななかった理由を悟ります。

オススメ度:☆☆☆


あんただけ死なない (ハルキ・ホラー文庫)
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