宮廷魔術師は大忙し! ☆☆☆

(宮廷魔術師は大忙し! / ロバート・アスプリン / ハヤカワ文庫FT 1998)

ユーモア・ファンタジー『マジカルランド』シリーズの第4巻です。
今回、師匠のオゥズが甥っ子のルパートに呼ばれて里帰りしてしまったため、スキーヴは独りでポッシルトゥムの宮廷魔術師の仕事をこなさなければならなくなります。そんな折、事もあろうに国王ロドリック5世が「1日だけ休暇を取りたい」と言って城を出て行ってしまいます。国王とバレないために、スキーヴお得意の変装の魔法で、スキーヴの姿になって――代わりに、スキーヴは国王の姿に化けて玉座に座って公務をこなさなければならないわけです。思いあぐねたスキーヴは、お目付け役オゥズをいいことに、自分も国王に倣って国を捨てて出て行こうと考えます(後は野となれ山となれ)。宰相グリンブルから退職金をせしめたスキーヴですが、荷造りをしに部屋へ帰ると、待っていたのは前巻で登場した超肥満体の女魔術師マッシャでした。前巻でポッシルトゥムのバダックス将軍とねんごろ(笑)になったマッシャは、バダックスに逢いに来るとともに、魔術師としての腕を磨くべくスキーヴに弟子入りしようとしていたのです。混乱したスキーヴは、結局、逃亡計画を棚上げにします。
翌日、国王に化けて玉座につき、通常の政務を問題なくこなしていたスキーヴですが、やがてロデリックが身を隠そうとした理由を知ることになります。なんと、隣国トーレズのヘムロック女王の一行が、ロデリック5世との結婚のために到着したのでした。女王はヘムロック(hemlock=「ドクニンジン」)という名の通り、美人ではありますが、男と見れば色仕掛けで骨抜きにするか殺してしまうかという強烈な性格の持ち主――今回の婚礼も、政略結婚というよりも“侵略結婚”と呼ぶほうが正しいかもしれません。それだけでも頭が痛いのに、女王の馬車に同乗してきたのは、ジュリー御大の軍(第2巻で、ポッシルトゥム王国を侵略してきた大軍。借金のカタにマフィアに命じられて進軍を続けていましたが、スキーヴの知恵によって借金を踏み倒し、現在はみなポッシルトゥム市民となっています)を送り込んできたマフィアの代理人でした。
腹背に難題を抱えたスキーヴは、マッシャ、グリンブル、バダックスにことの真相を明かし、善後策を練ります。結果、マッシャとグリンブルはスキーヴに化けて休暇(?)中のロデリック国王を連れ戻すべく出発し、スキーヴとバダックスはジュリー御大に面会してマフィアがどのように行動するかを聞き出そうとします。ジュリー御大曰く、マフィアは大軍を消し去ってしまった大魔術師スキーヴに一目置いており、組織に役立てるべく手を組もうとするか、それが無理なら全力で息の根を止めにくるか、二つに一つだそうです。
国王ではなく宮廷魔術師としてヘムロック女王と会談したスキーヴは、実利的戦略の達人ヘムロック女王の言動から、有効な対マフィア戦略を考えつきます。富と権力を志向するマフィアに対して、自由になる世界を一つ与えてやればいいのです。スキーヴはオゥズが置いて行った次元跳躍機を使って、マフィアの代理人シャイ=スターとファミリーのボス、ドン・ブルースを、用心棒たちと共にディーヴァの市場へ連れていきます。この自由市場を取り仕切っている組織はありませんから、マフィアは甘い汁の吸い放題、その代わり、自分のことは放っておいてほしい――というのがスキーヴの口上でした。この案をすっかり気に入ったドン・ブルースは、準備を整えにクラー次元へ戻っていきますが、スキーヴは跳躍機がないまま置き去りにされてしまいます。
あわてず騒がず、なじみのガスの居酒屋へ向かったスキーヴは、チャムリィとタンダの兄妹と出会い、タンダの能力で無事にクラー次元、ポッシルトゥムの自室へ戻ってきます。そこには、ロデリック国王、国王を連れ戻したマッシャとグリンブルが待ち受けていました。翌日、本物の国王とヘムロック女王の婚礼はつつがなく進み、スキーヴがディーヴァ市場で手に入れてきた魔法の指輪によって、国王の身の安全も保障されます。
用事を済ませて戻ってきたオゥズは、ことの顛末を聞き出すと、自分がいなくても事態を収拾した弟子の手腕に、驚くでもなく褒めるでもなく、不自然な反応を見せます。そこへ、ディーヴァ市場から、大魔術師スキーヴに助けを求める使者が現れます。どうやら、ドン・ブルースの組織が阿漕なシノギを始めて、市場の商人たちが困り果てているとのこと。オゥズは例によって口八丁で交渉をまとめ、一行はディーヴァ市場からマフィアを追い出すべく、巧妙な作戦を展開します。早い話が、マフィアよりももっと阿漕な組織が市場を侵食し、マフィアのショバを荒らし始めたわけです。財政的に困窮したマフィアは、闘技場での格闘技をめぐる高額のイカサマ賭博に手を出してスッテンテンになり、さりげなく第三者として助け舟を出したスキーヴに全権を委任して、退散していくのでした。
こうしてディーヴァ市場の顔役となったスキーヴは、冒頭の目論見通りポッシルトゥムの宮廷魔術師を引退し、ディーヴァの商人たちに与えられた屋敷に、オゥズと共に移住しますが、どうやら、この屋敷は“訳あり”物件だったようで――次巻へ続きます。

オススメ度:☆☆☆




宮廷魔術師は大忙し!―マジカルランド (ハヤカワ文庫FT)
早川書房
ロバート アスプリン

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