猫はペントハウスに住む ☆☆☆

(猫はペントハウスに住む / リリアン・J・ブラウン / ハヤカワ・ミステリ文庫 1994)

『シャム猫ココ』シリーズの第11作です。

物語はショッキングな報せがピカックスの町に届くところから始まります。南の都会で乗用車が銃撃されて炎上し、運転手が身元もわからないほど焼け焦げた遺体となって発見されたのですが、その車はピカックス在住のジェームズ・クィラランだと判明したというのです。土地の名士を失い、ピカックス市民たちは悲しみに沈みますが――。

その2週間前、クィラランのもとへ、昔馴染みのアンティークショップの経営者アンベリーナから電話が入ります。かつてクィラランがデイリー・フラクション紙の記者として活躍していた南の都会で、市の歴史的建造物の一つである集合住宅ビル“カサブランカ”(アンベリーナも住人のひとり)が、再開発のため取り壊されようとしているのだといいます。再開発のため買収を目論んでいるのは街の有力資産家で、裏社会のギャングも一枚かんでいるようでした。“カサブランカ”のオーナー、年老いた伯爵夫人アデレイドは世事に疎く、建物内の自室に引きこもり状態で、何の役にも立ちません。クィラランが相続したクリンゲンショーエン記念基金が“カサブランカ”を買収して修復してもらえないかというのが、アンベリーナの依頼でした。興味を引かれたクィラランは、現地視察という名目で“カサブランカ”に引っ越し、最上階のペントハウスに滞在して一冬を過ごす計画を立てます。もちろんココとヤムヤムも(不本意ながら)同行することとなります。
到着してみると、“カサブランカ”はまさに混沌とした建物でした。クィラランにあてがわれた14階(実際には13階ですが、13は不吉なためカウントされていません)のペントハウスAは、美術商だったという前の住人が遺したアンティークな家具や、マッシュルームとナイフをモチーフとした奇妙な絵で飾られており、隣室の住人(どうやら“アーティスト”と呼ばれる人種らしい)は夜昼問わず大音量の音楽をかけて饗宴を繰り広げています。他のフロアの住人たちも、アル中で鬱状態で色情狂のイザベル、被害妄想の老嬢、強面の無頼漢ヤズブロなど多士済々――おまけに駐車場も無法地帯で、自分に割り当てられた駐車スペースが空いている試しがなく、クィラランを悩ませます。管理人のミセス・タトルや警備員のルパートはまっとうな(笑)人たちで、それだけが救いでした。
やがて、ココが床に残されていた(上に重い家具が置かれて隠されていた)多量の血痕を見つけ、この部屋で殺人事件が起きていたことが明らかになります。前の住人ダイアン・ベシンガーは、自分が面倒を見ていた画家ロス・ラスマス(例のマッシュルームの絵の作者)に刺殺され、ロスは遺書めいた言葉を壁に書き残し、“カサブランカ”から飛び降りて死んでいました。
クィラランは、旧知のメアリー・ダックワースに仲介を依頼して、“カサブランカ”のオーナー、伯爵夫人アデレイドと面会します。屈強な執事兼ボディガードのフェルディナンドにエスコートされたアデレイドは、ブリッジやボードゲームだけを生き甲斐に、思い出に浸って生きている浮世離れした女性でした。ココの影響でスクラブルをマスターしていたクィラランは、スクラブルを通じてアデレイドに取り入り、“カサブランカ”について本を書くという計画を口実に(最初は口実でしたが、やがて本気でそうしようと考え始めます)、クリンゲンショーエン基金への建物の売却を依頼しようとしますが、アデレイドは理解できないのか、態度を明確にしません。
クィラランの周囲を含め、“カサブランカ”には不穏な事件が頻発するようになってきます。そして、クィラランの愛車が盗まれ、スクラブルでココが示した単語から、クィラランは決定的な手掛かりを得ます。そして、クィララン個人の身にも、“カサブランカ”事態にも、決定的な危機が訪れます。

オススメ度:☆☆☆




猫はペントハウスに住む (ハヤカワ・ミステリ文庫)
早川書房
リリアン・J. ブラウン

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