魔術師の娘 ☆☆☆☆

(魔術師の娘 / デイヴィッド&リー・エディングズ / ハヤカワ文庫FT 2005)

『魔術師ベルガラス』の第2分冊です。
「銀狼の花嫁」のラストで、アルダー神が邪神トラクに強奪された“珠”を取り戻すことに成功して帰還したベルガラスですが、身ごもっていた妻ポレドラがお産の際に死んだと聞かされます。悲嘆にくれたベルガラスは、自殺衝動に駆られ、ベルディンら兄弟弟子によって塔に軟禁されている間、双子の娘ベルダランとポルガラにもあまり注意を向けませんでした。正確に言えば、ベルダランは父に懐いていましたが、ポルガラは母を奪った存在とみていたのか、父ベルガラスを明らかに敵視しているようでした。結局、なんとか正気を取り戻したベルガラスは、ポレドラの思い出が溢れている谷にとどまることに耐え切れず、ひとり宛てなく放浪の旅に出ます。数年にわたって港町カマールで酒浸りの生活を続けていましたが、アルダー神に一喝されて立ち直り、本来の使命を果たすべくアレンディア、トルネドラ、ニーサ、マラゴーといった各地を巡っていきます。
十数年後、ベルディンに呼び戻されたベルガラスは谷へ帰り、年頃の少女に成長したベルダランとポルガラに再会します。ベルダランは可愛らしい少女になっており、宿命づけられている鉄拳リヴァの妻となるのにふさわしい成長ぶりでした。対照的にポルガラは著しい知性を見せながら、身なりには頓着しない変わり者で、相変わらず父への反抗的な態度を崩しません。いずれにせよ、ベルダランとリヴァとの結婚をまとめるために、ベルガラスはベルディンやポルガラもつれて、風の島へ赴きます。驚いたことに、ドレスをあつらえて髪を整えたポルガラはすっかり垢抜けてしまい、風の島の若者たちの人気を独り占めにして、ベルガラスをやきもきさせることになります。そして、リヴァとベルダランの結婚式は、白いフクロウに見守られ、滞りなく終わるのでした。
ポルガラと二人きりになったベルガラスは、ポルガラが自分の同じくらい魔法の天分に恵まれており、おまけにアルダー神からの伝言を受け取ることもできることに気付いて、愕然とします。ポルガラも、ようやく本気で魔法に取り組む決意を固めたようで、ベルガラスに真剣に教えを請い、魔法書を片端から読み進んでいきます。やがてベルダランが懐妊し、リヴァの跡を継ぐ“珠”の守護者となる王子ダランを生み落とします。ポルガラも誕生に立ち会いますが(ベルガラスはリヴァと同様、部屋の外に追い出されていました(^^;)、このころからベルダランの体は、寒く乾燥したリヴァの過酷な気候に少しずつ蝕まれていくことになります。
その頃、東の大陸のマロリーに渡り、トラク神や手下のグロリム僧の動向を偵察していました。ベルガラスとポルガラは、宿命が語る未来を知るために、一見して狂人扱いを受けている人物を探し歩き、ダリネに住むボーミク、ムリン川のほとりの掘立小屋で暮らす名無しの狂人の二人を見つけ出します。二人とも、何らかのタイミングでトランス状態となり、意味不明のことを延々と話すのですが、その中に宿命のキーワードを聞き取ったベルガラスは、予言者たちが語る内容を一言一句漏らさず書き留めるよう命じます。予言者たちはやがて寿命が来て死にますが、彼らが語った内容は「ダリネの書」、「ムリンの書」として貴重な予言書となるのでした。
ベルディンから、トラクの腹心であるクトゥーチクがこちらの大陸のクトル・マーゴスに出張ってきていることを聞いたベルガラスは、クトゥーチクが潜伏するラク・クトルを“表敬訪問”(笑)して、敵の出方を探ります。その後、ベルガラスは、はるかな未来にガリオンと結婚することになるセ・ネドラの血筋を生み出すべき各地で暗躍します(地球の歴史の中でキニスン家とマクドゥガル家の血筋を絶やさず守り続けるアリシア人のように(^^;)。そんな中、風の島のベルダランが病気で重体だという報せが届き、ベルガラスもポルガラも駆けつけますが、ポルガラの必死の看病にもかかわらず、ベルダランは天に召されてしまいます。老齢に達していた鉄拳リヴァは抜け殻のようになり、まだ少年のダランを摂政にし、ポルガラと補佐役ブランドにダランの成長を支えさせます。
その後数百年にわたり、ベルガラスとポルガラは世界を渡り歩き、西方諸王国の歴史が正しい方向に進むよう影響を与え続けます。あるとき、「ムリンの書」の一節が気になったベルガラスは、“珠”の守護者であるリヴァの家系に危機が迫っていることに気付きます。ポルガラと共に変身して風の島へ急行したベルガラスは、蛇神の女王サルミスラが送り込んだ暗殺者が、賢王ゴレク以下の王族が皆殺しにされる現場を目の当たりにしますが、末っ子の幼いゲラン王子だけが海に逃れるのを見つけ、ポルガラに救出させます。ゲランの生存をトラクから隠すことにしたベルガラスは、摂政ブランドにのみ真相を知らせ、ポルガラにゲラン(とその子孫)の保護と養育を託します。
西方諸国を分断しようとするトラクの策謀を阻止すべく、ベルガラスはアローン人の各国家に働きかけ、リヴァ一族を襲ったサルミスラの統治するニーサ攻略の連合軍を組織します。攻撃は成功し、サルミスラは死の前にすべてを告白します。
しかし、トラクとその手先たちの陰謀は続き、ポルガラはゲランの子孫を保護し続け、ベルガラスはクトゥーチクをはじめとするグロリムの動向を探り続け、第3巻「王座の血脈」へ続きます。

オススメ度:☆☆☆☆




魔術師の娘 (魔術師ベルガラス2 ハヤカワ文庫 FT (395))
早川書房
デイヴィッド&リー・エディングス

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