親分お眠り ☆☆☆

(親分お眠り / 牧 逸馬 / 現代教養文庫 1975)

現代教養文庫版・牧逸馬の「世界怪奇実話」全4巻の第4巻です。これで、高校時代に第3巻「街を陰る死翼」を読んで以来、第1巻「浴槽の花嫁」、第2巻「血の三角形」と合わせて、コンプリートしたことになります。現在では、約半数が収録された傑作集が光文社文庫から出ていますので、そちらが入手しやすいでしょう。

本書には11篇のエピソードが収録されていますが、上記傑作集との重複は2つだけ(「ローモン街の自殺ホテル」と「女王蜘蛛」)でした。

「アリゾナの女虎」:ロサンゼルスの鉄道駅に預けられていた2つのトランクから転がり出たのは、二人の女性の他殺死体でした。同居人で愛人関係にあったと思われる二人の殺害犯人として浮かび上がったのは、二人と親しく交際していた看護師の女性でした。

「神変美容術師」:美と若さに憧れる中年婦人たちを口八丁で手玉に取り、インチキ化粧品と美容術で大金を巻き上げていたマダム・ラシェルの手口とは――。

「海底の元帥」:第一次世界大戦の末期、ロシアを訪問しようとした英国海軍のキッチナア元帥の乗艦は、大嵐の中、ドイツ軍の機雷に触れて轟沈し、元帥は遺体も上がりませんでした。この事件をもとに、陰謀論が百花繚乱となります。

「S・Sベルゲンランド」:ニューヨークで成功した日本人実業家、藤村寿氏は、豪華客船S・Sベルゲンランド号に愛人のライスナア夫人を連れて乗り込み、週末の逢瀬を楽しんでいましたが、ニューヨークへへ帰還する朝、船内から煙のように失踪してしまいます。

「親分お眠り」:ニューヨークの暗黒街では、ドロッパア一家とオウギイ一家の対立が激化していました。ニューヨーク警察のウイレムズ警部は、この争いのどさくさに、ドロッパア一家のキッド親分をしょっ引こうとし、大胆にも正面から直談判に出かけます。この男気に心を動かされ、キッドは警察に出頭することにしますが、それが彼の命取りになりました。

「ゴールド・ラッシュ艦隊」:隠された財宝をネタにした詐欺は、いつの世にも世界のどこでも行われているようです。

「モンルアルの狼」:フランスのリヨン近くの小さな宿場モンルアルは、かつて盗賊が巣食っていた悪名高い村ですが、再び、この周辺の森で若い娘が女中周旋屋を名乗る男にかどわかされて殺される事件が続発します。森に住む熟年のドュモラル夫婦に嫌疑がかかりますが――。

「斧を持った夫人の像」:結婚を前提にした交際を求める未亡人が出した新聞広告を目にした中年男たちは、財産目当てでないことを証明するためにまとまった現金を持参してほしいという願いに応じて、インディアナ州の片田舎にある立派な荘園に出かけていきます。そうして荘園に足を踏み入れた男は、誰一人戻ってきませんでした。

「消えた花婿」:結婚式の当日に姿を消した船乗りの花婿は、何食わぬ顔で舞踏会に顔を出しているところを詰問されますが、そんな話は知らないと否定します。裁判になりますが、同一人物だという証言も、別人だという証拠も双方が確固たるもので――。

「ロウモン街の自殺ホテル」:パリのロウモン街にある「ホテル・アムステルダム」の14号室では、毎週金曜日に決まった宿泊客が首吊り自殺をします。しかし、その裏には巧妙な犯罪計画がありました。

「女王蜘蛛」:ユーゴスラビアのベルケレクルに住むヴェラ・レンツイ夫人は、若い男を屋敷に誘い込んでは殺し、その数は35人に達します。その動機は――。

オススメ度:☆☆☆




親分お眠り (1975年) (現代教養文庫―世界怪奇実話 4)
社会思想社
長谷川 海太郎

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