オデュッセウスの宇宙船 ☆

(オデュッセウスの宇宙船 / ピーター・コロージモ / ボーダーランド文庫 1997)

以前に読んだ同じ著者の「神の宇宙船」と同様、『古代宇宙飛行士説』をベースにしたトンデモ本です。内容は同工異曲で、考えてみればタイトル自体も「神」と「オデュッセウス」を取り換えただけですな(笑)。1976年に大陸書房から出た「宇宙人伝説」という本の復刊のようです。

タイトルからわかるように、今回コロージモは、古代ギリシアのオデュッセウスの冒険譚は、超古代に行われた宇宙戦争の記録ではないか、とシュリーマンも真っ青の仮説を提示しています。有名なホメロスの叙事詩ばかりでなく、当時に流布していた別バージョンの物語をいくつも渉猟し、例によって仮説を補強する説話や歴史的叙述を、世界各地から膨大に集めて来ています。「神の宇宙船」と同様、収集した史料は膨大なのですが、それが信憑性につながるかどうかは別問題。彼の記述の特徴として、決して断言することなく、「~であるかもしれない」、「~という考えも否定することはできない」、「~も想像できるのではないだろうか」、「~とも考える余地がある」などという言い回しを駆使して、論述を進めていきます。解説の武田崇元という不思議現象研究家は、「押しつけがましさや独りよがりとは無縁で(中略)かえって説得力がある」とほめていますが、んなこたあありません(笑)。
驚いたのは、冒頭でジャック・ヴァンスの「大いなる惑星」のストーリーを紹介し、「作者ヴァンスは世界中の神話や伝説を題材にしながら、それを再構成してストーリーを創り上げている」と書いている点(この点には別に反対する理由はありません)。続いて、コロージモは古代ギリシアの作家たちも同じ手段を使って「オデュッセウスの冒険」を創り上げたと主張します(流布している神話や伝説を元ネタに作品を書くというのは、昔も今も変わりないでしょうね。この点も文句はありません)。ところが、それがなぜ著者が言うように「オデュッセウス物語」がすべて事実(古代宇宙戦争)に基づいているという説の根拠になるのか、さっぱりわかりません。
少なくとも、情報の密度が非常に濃いという点を考えると、「衝突する宇宙」と同程度の存在意義はあるのかもしれません。

オススメ度:☆
(実際の読了日:2012/2/26)



オデュッセウスの宇宙船 (ボーダーランド文庫)
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