密林 ☆☆☆ (密林 / 鳥飼 否宇 / 角川文庫 2003) この作者は初読みです。裏表紙の紹介文に引かれ、予備知識なしに読み始めました。 勤務先の金融会社を辞めて昆虫採集のプロ(つまり昆虫の販売業者)になろうとしている松崎と、子供時代からの親友で広告会社勤務の柳澤は、柳澤の休みを利用して、沖縄本島の"やんばるの森"を訪ねていました。オ… トラックバック:0 コメント:0 2021年01月19日 続きを読むread more
伏魔殿 ☆☆☆☆ (伏魔殿 / 松岡 圭祐 / 徳間文庫 2001) 以前に読んだ「バグ」と同じく、シリーズではない単発作品です。 愛知県の地方都市・生稲市(架空の町です)の布施宮神社では、毎年2月、日本三大奇祭の一つに数えられる「諸肌祭り」が行われています。市民から選ばれた神人(しんのびと)に向かって、褌だけを身に着けた2万人の裸男(はだか… トラックバック:0 コメント:0 2020年12月09日 続きを読むread more
殺人迷路・悪霊物語 ☆☆ (殺人迷路・悪霊物語 / 江戸川 乱歩ほか / 春陽文庫 / 1993) 春陽文庫版「合作探偵小説」シリーズ(より正確には「リレー探偵小説」ですが)の1冊。内外のリレー式探偵小説・ミステリにつきましては、過去の「女妖」の記事などをご覧ください。 戦前(昭和7~8年)の「殺人迷路」と戦後(昭和29年)の「悪霊物語」の2篇が収められ… トラックバック:0 コメント:0 2020年11月17日 続きを読むread more
麻雀事件簿 ☆☆ (麻雀事件簿 / 佐野 洋 / 徳間文庫 1985) 著者の佐野さんは、昭和から平成にかけて活躍したミステリ作家ですが、かなり作品数が多かったのと、いわゆる社会派ミステリに近かったため守備範囲から外し、読んだのはSFミステリ「透明受胎」ほか数冊だけでした。一方、麻雀が趣味で、福地泡介さんの麻雀エッセイなどにも登場しており、冷静で緻… トラックバック:0 コメント:0 2020年11月15日 続きを読むread more
奇想、天を動かす ☆☆☆☆ (奇想、天を動かす / 島田 荘司 / 光文社文庫 2003) 『吉敷竹史シリーズ』の第11巻です。 平成元年、浅草・仲見世の乾物屋で400円の駄菓子を買った浮浪者風の老人が、消費税12円(当時は導入当初で、消費税は3%でした)を請求されたのに払おうとせず、追ってきた女主人をナイフで刺殺するという事件が発生します。老人は、小… トラックバック:0 コメント:0 2020年10月30日 続きを読むread more
赤緑黒白 ☆☆☆ (赤緑黒白 / 森 博嗣 / 講談社文庫 2005) Vシリーズの第10巻(最終巻)です。 マンションの駐車場で射殺された男性は、全身に赤い塗料をスプレーされており、真っ赤でした。メタナチュラル協会(MNI)という宗教団体の会計係を務めていた被害者の名前は、赤井寛でした。数日後、保呂草潤平の部屋を、田口美登里という女性が訪れ… トラックバック:0 コメント:0 2020年10月04日 続きを読むread more
魔神の遊戯 ☆☆☆☆ (魔神の遊戯 / 島田 荘司 / 文春文庫 2005) スコットランドのネス湖畔を舞台に御手洗潔が活躍するミステリ。御手洗が教授として在籍しているスウェーデンのウプサラ大学医学部の同僚を相手に、御手洗が過去に体験した事件を語るという体裁になっています。 御手洗がロンドンで出会ったロドニー・ラーヒムという画家(?)は、数奇な人… トラックバック:0 コメント:0 2020年10月03日 続きを読むread more
僧正の積木唄 ☆☆☆☆ (僧正の積木唄 / 山田 正紀 / 文春文庫 2005) タイトルから想像できるように、ヴァン・ダインの「僧正殺人事件」を下敷きにし(もちろん、ファイロ・ヴァンス、マーカム地方検事、ヒース部長も登場)、若き日の金田一耕助が探偵役を務めるという、オールドファンにはたまらない道具立てのミステリです。 ニューヨークを震撼させた「僧… トラックバック:0 コメント:0 2020年10月02日 続きを読むread more
千里眼とニュアージュ(上・下) ☆☆☆☆ (千里眼とニュアージュ 上・下 / 松岡 圭祐 / 小学館文庫 2005) 『千里眼』シリーズの長篇第11作です(現在では角川文庫から「完全版」が出ています)。岬美由紀と、「蒼い瞳とニュアージュ」の主人公、コギャル風臨床心理士の一ノ瀬恵梨香がそろい踏みするコラボレーション作品(それ以上に深い関わりがあるのですが)です。 日本… トラックバック:0 コメント:0 2020年09月27日 続きを読むread more
修道女マリコ ☆☆☆☆ (修道女マリコ / 久美 沙織 / 扶桑社文庫 1994) 修道女にして心理学者(聖華大学心理学部助教授)の小原摩利子が探偵役を務めるミステリ、『修道女マリコ』シリーズの第1巻です。 アンジェラ修道会(聖アンジェラは実在しますが、アンジェラ会という団体は架空のものです)が経営する女子学生寮・聖泉寮で、3月のある日、寮生のひと… トラックバック:0 コメント:0 2020年09月13日 続きを読むread more
女囮捜査官3 聴覚 ☆☆☆☆ (女囮捜査官3 聴覚 / 山田 正紀 / 幻冬舎文庫 1998) 『五感推理シリーズ』の第3巻です。登場人物や設定は、第1巻「触覚」の記事をご覧ください。 なお、以下のストーリー紹介では、時系列を整理して記していますが、作中では誘拐事件に関わるリアルタイムな流れと、そこに至るまでの過去の経緯が交互に錯綜して描かれており、サスペン… トラックバック:0 コメント:0 2020年09月08日 続きを読むread more
試験に敗けない密室 ☆☆☆ (試験に敗けない密室 / 高田 崇史 / 講談社文庫 2005) 『千葉千波の事件日記』シリーズの第2巻です。短篇連作集だった第1巻と異なり、今回は長篇です。 夏休みの終わりに合わせ、高校2年生の千葉千波と浪人生の語り手(通称“八丁堀”または“ぴいくん”)と饗庭慎之介は(3人についての詳細は、第1作の記事をご覧ください)、千… トラックバック:0 コメント:0 2020年09月01日 続きを読むread more
試験に出るパズル ☆☆☆☆ (試験に出るパズル / 高田 崇史 / 講談社文庫 2004) 「QED」シリーズで知られる作者の別シリーズ(いくつもあるので、ついていくのが大変です(^^;)のひとつ『千葉千波の事件日記』シリーズの第1作です。 主人公(探偵役)の千葉千波は、容姿端麗・頭脳明晰・父は資産家という非の打ちどころのない高校2年生ですが、パズル好… トラックバック:0 コメント:0 2020年08月25日 続きを読むread more
千里眼 トランス・オブ・ウォー(上・下) ☆☆☆☆☆ (千里眼 トランス・オブ・ウォー 上・下 / 松岡 圭祐 / 小学館文庫 2005) 『千里眼』シリーズの長篇第10作です。 前作「ヘーメラーの千里眼」と同様、リアルタイムの事件のみならず、自衛隊時代の岬美由紀(前作の回想シーンで描かれた訓練生時代の後のようです)の苦悩や葛藤にも半分近くのページが費やされます(上巻の大部分が、こ… トラックバック:0 コメント:0 2020年08月09日 続きを読むread more
幽体離脱殺人事件 ☆☆☆ (幽体離脱殺人事件 / 島田 荘司 / 光文社文庫 2000) 『吉敷竹史シリーズ』の第10巻です。 吉敷は、ふと立ち寄った有楽町の居酒屋で、京都の証券会社から出張してきたという小瀬川杜夫と知り合います。泥酔した小瀬川は家庭にも居場所がないことをさんざん嘆いた後、ホテルに送ってくれた吉敷に感謝して、名刺を渡します。数日後、三重県… トラックバック:0 コメント:0 2020年08月02日 続きを読むread more
狂桜記 ☆☆☆ (狂桜記 / 栗本 薫 / 角川文庫 2005) 副題が「大正浪漫伝説」となっているように、『六道ヶ辻』シリーズと同じ(架空の?)大正時代を舞台にしたゴシック・ホラー・ミステリです。 東京まで列車で1時間ほどの関東地方の地方都市・南吾野(海と山が近くにあるという描写から、湘南のどこかがモデルと思われます)の名家、柏木家の屋敷… トラックバック:0 コメント:0 2020年07月31日 続きを読むread more
女囮捜査官2 視覚 ☆☆☆☆ (女囮捜査官2 視覚 / 山田 正紀 / 幻冬舎文庫 1998) 『五感推理シリーズ』の第2巻です。登場人物や設定の詳細は、第1巻「触覚」の記事をご覧ください。 首都高速南池袋パーキングエリアで大事故が発生します。深夜の2時、居眠り運転のトラックが突っ込んでタンクローリーに衝突し、漏れたガソリンに引火して駐車中の何台もの車を… トラックバック:0 コメント:0 2020年07月24日 続きを読むread more
宇宙神の不思議 ☆☆☆☆ (宇宙神の不思議 / 二階堂 黎人 / 角川文庫 2005) 水乃サトルが探偵役を務めるミステリシリーズの第5作ですが、大学生時代のサトルを描く「~の不思議」ものとしては「奇跡島の不思議」に続く第2作です。「奇跡島」を読んだのは15年以上前で、ストーリーなどまったく忘れていましたが、あの島で事件に巻き込まれてサトルに救われた武田シ… トラックバック:0 コメント:0 2020年07月04日 続きを読むread more
血蝙蝠 ☆☆☆ (血蝙蝠 / 横溝 正史 / 角川文庫 1981) 戦前の昭和13~16年に発表された短篇のうち、それまで単行本に収録されていなかった作品を集めたもので、拾遺集とも言うべき作品集です。横溝さんには珍しい純粋SF(!)を含む9作品が収録されています。 「花火から出た話」:下宿でのらくら暮らしていた船員上がりの風間は、物故した高… トラックバック:0 コメント:0 2020年06月22日 続きを読むread more
畸形の天女 ☆☆☆ (畸形の天女 / 江戸川 乱歩ほか / 春陽文庫 1993) 先日の「黒い虹」に続き、春陽文庫版『合作探偵小説』シリーズの第5巻です。戦前の「黒い虹」と異なり、こちらは昭和28年から翌年にかけて探偵雑誌「宝石」に連載されたリレー小説ですが、4名の執筆者は乱歩以下、大下 宇陀児、角田 喜久雄、木々 高太郎という一流どころが揃っていま… トラックバック:0 コメント:0 2020年06月18日 続きを読むread more
黒い虹 ☆☆☆ (黒い虹 / 江戸川 乱歩ほか / 春陽文庫 1993) 春陽文庫版『合作探偵小説』シリーズ(全6冊)の第4巻です。第2巻「江川蘭子」と第6巻「女妖」は過去に読んでいますし、残りの3冊も購入済みですので、そのうち登場。内外のリレー方式で書かれたミステリ作品については、上記の記事をご覧ください。 本作は、戦前の昭和9年に雑誌「… トラックバック:0 コメント:0 2020年06月15日 続きを読むread more
マスグレイヴ館の島 ☆☆☆ (マスグレイヴ館の島 / 柄刀 一 / 光文社文庫 2005) 作者の第6長篇。タイトルから明らかなように(わかる人にしかわかりませんが(^^;)、シャーロック・ホームズへのパスティーシュ作品です。イングランド、ノーフォーク近くの岬と小島を舞台に、シャーロッキアンの、シャーロッキアンによる、シャーロッキアンのためのイベントにからむ… トラックバック:0 コメント:0 2020年06月03日 続きを読むread more
夜は千の鈴を鳴らす ☆☆☆ (夜は千の鈴を鳴らす / 島田 荘司 / 光文社文庫 2001) 『吉敷竹史シリーズ』の第9巻です。 国鉄が民営化されてJRになった翌年の昭和63年――当時は、ブルートレインを初めとする寝台特急が日本全国を結んでいました。代表的な寝台特急、東京発の「あさかぜ1号」が福岡駅へ到着した時、「デュエット」と呼ばれる二人用コンパートメン… トラックバック:0 コメント:0 2020年06月02日 続きを読むread more
予知夢 ☆☆☆ (予知夢 / 東野 圭吾 / 文春文庫 2003) 『探偵ガリレオ』のシリーズ第2作。第1作に続き(読んだのは15年も前ですが(^^;)、今回も短篇集です(初長篇は、第3作「容疑者Xの献身」。そのうち登場)。 前作同様、警視庁捜査一課の草薙刑事が、オカルトめいた怪奇な事件にぶつたるたびに、友人の物理学者で帝都大学助教授の湯川学の… トラックバック:0 コメント:0 2020年05月31日 続きを読むread more
女囮捜査官1 触覚 ☆☆☆☆ (女囮捜査官1 触覚 / 山田 正紀 / 幻冬舎文庫 1998) 『五感推理シリーズ』の第1巻です。1巻の「触覚」から始まって、「視覚」、「聴覚」、「嗅覚」、「味覚」と続きます。読んだのは幻冬舎文庫版ですが、直近では朝日文庫から「おとり捜査官」というタイトルで再刊されていますので、そちらのほうが入手しやすいかもしれません(同じシリ… トラックバック:0 コメント:0 2020年05月22日 続きを読むread more
日本探偵小説全集8 久生十蘭集 ☆☆☆☆ (日本探偵小説全集8 久生十蘭集 / 久生 十蘭 / 創元推理文庫 1988) 創元推理文庫版「日本探偵小説全集」の第8巻です。この作者については、過去に現代教養文庫版『久生十蘭傑作選』全5巻(「魔都」、「黄金遁走曲」、「地底獣国」「昆虫図」、「無月物語」)と、遺作となった「肌色の月」を読んでいます。ミステリ、怪奇幻想小説、伝奇冒… トラックバック:0 コメント:0 2020年04月18日 続きを読むread more
鮎川哲也名作選 ☆☆☆ (鮎川哲也名作選 / 鮎川哲也 / 河出文庫 2002) 河出文庫版『本格ミステリコレクション』の第4巻です。このシリーズの他の巻は比較的マイナーな(失礼)作家さんなのに対し、今回の鮎川さんはビッグネーム。そのため、他の巻とは異なる編集方針を取っているそうです。鮎川さんの「傑作選」などは、これまで数多く出版されてきており、それらと… トラックバック:0 コメント:0 2020年04月07日 続きを読むread more
亜智一郎の恐慌 ☆☆☆☆ (亜智一郎の恐慌 / 泡坂 妻夫 / 創元推理文庫 2004) 江戸末期を舞台にした時代ミステリ短篇集です。 タイトルからおわかりのように、主人公の亜智一郎は、亜愛一郎のご先祖様(笑)。江戸城の雲見番(本書だけの設定で、実際に存在していた役職ではないようです。ひたすら星や雲の動きを観察して天変地異を予測する役目で、要するに江戸時… トラックバック:0 コメント:0 2020年03月22日 続きを読むread more
早春の少年 ☆☆☆☆ (早春の少年 / 栗本 薫 / 講談社文庫 2004) 副題が「伊集院大介の誕生」となっているように、中学生時代の伊集院大介を主人公とした「十六歳の肖像」ならぬ「十四歳の肖像」です。 時は高度成長期――。山間の地方都市、平野市も都市開発や工業化、より大きな周辺都市のベッドタウン化などの波が押し寄せています。閉鎖的な田舎町だっ… トラックバック:0 コメント:0 2020年02月24日 続きを読むread more
剣と薔薇の夏(上・下) ☆☆☆☆ (剣と薔薇の夏 上・下 / 戸松 敦矩 / 創元推理文庫 2005) 2005年の日本推理作家協会賞を受賞した重厚な歴史ミステリです。作者の戸松さんは初読みですが(実はこれまで名前も知りませんでした)、たいへん寡作な作家で、数冊のミステリを出しているだけとのこと(本作は執筆開始から完成まで17年かかったとか)。 舞台は南北戦… トラックバック:0 コメント:0 2020年02月11日 続きを読むread more