「白鳥」の殺人 ☆☆☆

(「白鳥」の殺人 / 折原 一 / 光文社文庫 1994)

「鬼面村の殺人」に続く光文社文庫版第2弾でしたので、こちらも黒星警部を主人公とするドタバタミステリかと思っていましたが、アリバイ崩しのシリアスな本格謎解きミステリでした。

親不知近くの信越本線で特急「白鳥」に飛び込もうとする青年と、「白鳥」の写真を取りに来た旅行雑誌のカメラマンがその様子を目撃する、というプロローグから始まります。
都内の証券会社に勤める石野亜矢子は、同期で同僚の営業マン河田光雄が飛び込み自殺をしたという警察からの報せを受けて、糸魚川警察署へ向かいます。光雄は顧客の資金を不正運用した疑いで1週間前に自主退職(実質的には解雇)していましたが、その直前、亜矢子にプロポーズしていました。それまで同期の友人としか考えていなかった亜矢子ですが、退職した後、光雄からの自殺をほのめかす電話も受けています。光雄の遺品の手帳に亜矢子の連絡先が載っていたため、勤務先とは別ルートで亜矢子に連絡が来たのでした。事件には続きがあり、光雄に不正を責任をなすりつけていた上司の横山が、荒川の河川敷で他殺死体となって発見されます。警察の見立てでは、恨みを持つ光雄が横山を殺し、糸魚川で自殺したというものでしたが、光雄の兄・次郎は信じず、弟の足取りを追って光雄のアリバイを証明しようと考えます。亜矢子も衝動的に同行し、手帳に残されていた光雄の足取りを追います。
横山が殺されたと思われる日曜日の光雄の行動を見ると、土曜の夜行列車で新潟へ向かい、日曜日は瓢湖で白鳥を眺めた後、出湯温泉の宿屋に宿泊しています。アリバイは成立するように思われましたが、警察では一蹴されてしまいます。横山を新潟に呼び出して殺し、その後レンタカーなどで荒川に運んで捨てれば、アリバイは成立しません。おまけに、光雄は電車内でも瓢湖でも宿屋でも、自分の存在を印象付けるようなわざとらしい目立つ行動をとっており、もともと控えめな性格の光雄にはそぐわないものでした。
諦めきれない次郎と亜矢子は、光雄の手帳に残っていた北沢早苗という女性について調査を始め、早苗が歌舞伎町のクラブのホステスで、株による財テクをしていたことを突き止めます。ところが、早苗はマンションの自室で殺されていました。部屋を訪ねた次郎が第一発見者となりますが、何者かに後頭部を殴られ、入院してしまいます。そして、現場からは光雄の名刺や指紋のついたグラスが発見され、早苗殺しの犯人も光雄だと目されてしまいます。
亜矢子は藁をもつかむ気持ちで、光雄が線路へ飛び下りるのを目撃・撮影したカメラマン・磯崎に連絡を取り、写真を見せてもらいます。その後、早苗が勤めていたクラブに磯崎が出入りしていることを知った亜矢子は磯崎をタクシーで尾行しますが、それが縁で私立探偵の大貫と知り合います。大貫は磯崎の妻に依頼されて磯崎の素行調査をしていたわけですが、亜矢子から光雄に関する事情を聞くと、独自に調査を開始します。
大貫は何度も新潟へ出向き、次郎とも接触して捜査を続け、ある晩、亜矢子に「事件解決はもうすぐだ」と電話してきますが、その直後に光雄と同じ場所から転落して死んでしまいます。大貫が遺した言葉から、次郎が事件に関係していると考えた亜矢子は、情報交換しようという磯崎に誘われ、磯崎のスタジオへ出かけていきますが――。

オススメ度:☆☆☆




「白鳥」の殺人 (光文社文庫)
光文社
2014-10-31
折原 一

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