魔道士の魂3 ―ダルトンの策略― ☆☆☆

(魔道士の魂3 ―ダルトンの策略― / テリー・グッドカインド / ハヤカワ文庫FT 2005)

『真実の剣』の第5シリーズの第3巻です。

前半は前巻の続きで、地上に出現した邪悪なチャイムの存在、リチャードを神に選ばれし夫だと信じるバカ・タウ・マナの“霊の女”デュ・シャイユなどをめぐるリチャードとカーランの葛藤が描かれます。カーランは、女同士の腹を割った話し合いで自分とデュ・シャイユの立場を明らかにし、デュ・シャイユも状況を受け入れます。しかし、デュ・シャイユは配下の兵士たちと共に、リチャードに護衛として付き従うと言い張り、いくら説得されても翻意しようとしません。また、デュ・シャイユがもたらした情報から、ミッドランズに侵入した至高秩序団の大軍団が、予想された北方ではなく、西へ向かって進撃していることが明らかとなります。至高秩序団の目的地は、豊富な食料が蓄えられているアンデリスだと思われました。
カーランは聴罪師長として訪れた経験をもとに、アンデリスの歴史をリチャードに語ります。かつて文化的に遅れていた原住種族アンダーは、北方から移動してきたハーケンに侵略され、被征服民として暮らすことになります。しかし、独裁者でも圧制者でもなかったハーケンは、自分たちの進んだ文化や技術についてアンダーに教育を施し、アンダーもハーケン並みの教養や文化を持つようになっていきますが、アンダーは先祖がハーケンに征服された事実を忘れてはいませんでした。飢饉がアンデリスを襲ったとき、アンダーはハーケンに対して反旗を翻し、ハーケンの財産を没収して、両者の立場は完全に入れ替わってしまいます。その流れは現在まで続き、前巻までで描かれたような現状に至っているわけです。そればかりでなく、カーランが口にした中でリチャードが危機感をおぼえたのは、アンデリスには、押し寄せる大軍も一瞬にして全滅させてしまう“ドミニー・ダーチ”と呼ばれる超兵器があるという事実でした。至高秩序団がアンデリスを征服すれば、彼らは“ドミニー・ダーチ”に守られた難攻不落の拠点をミッドランズに確立することになり、リチャードのダーラ軍は窮地に陥ることになります。一方、至高秩序団の到着に先立ってアンデリスを味方に引き入れれば、圧倒的にダーラ軍の有利になることも明らかでした。リチャードは、ゼッドに指示されたアイディンドリル行きを取りやめ、カーラン、デュ・シャイユとともにアンデリスへ向かう決心を固めます。モルド・シスのカラがアイディンドリルへ向かい、ゼッドに指示された行動をとるとともに、チャイムについて書かれた文書を探してリチャードのもとへ取って返すこととなりました。チャイムの攻撃を受け、デュ・シャイユを失いそうになりながらも、一行は行動を開始します。
アンデリスでは、文化長官補佐官ダルトン・キャンベルが次々に巧妙な陰謀を繰り出して、おのれの野望を達成しようとしていました。しかし、アンデリスにも、チャイムの仕業と思われる不可解な事故が頻発しています。そんな中、ダルトンの手駒となってしまったハーケンのフィッチは、友人モーリーと共に暴力や殺人に加担していきますが、ついには文化長官ベルトランが犯した悪事(フィッチが好きだったベアタを手籠めにしたこと)のスケープゴートとして、アンデリスから逃亡しなければならないこととなってしまいます。

オススメ度:☆☆☆




魔道士の魂 3 (真実の剣第5部 ハヤカワ文庫 FT (396))
早川書房
テリー・グッドカインド

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