ヘッド・ワイフ ☆☆

(ヘッド・ワイフ / 式 貴士 / 角川文庫 1985)

作者の第6作品集です。式貴士さんに関する詳細は、「イースター菌」の記事をご覧ください。本書にはエロ・グロ・ナンセンス度をパワーアップさせた(笑)短篇9作品と、全体の3分の1を占める「日本一長いあとがき」で構成されています。ちなみに「あとがき」は、第4作品集「連想トンネル」(現時点で未読)の読者アンケート結果に関する報告がメインで、驚くべきは回答者の名前(本名)と年齢・職業が明記されていること。個人情報保護などという概念が存在しなかった昭和という時代を象徴していますね(^^; 紹介された本人も喜んでいたのでしょう。

「マイ・アドニス」:彫刻の勉強をしている美大生の語り手(女子)は、家庭教師をすることになった中学3年の美少年、純に一目惚れしてしまいます。裸身の純をモデルにした語り手の彫刻は評判を呼び、フランス留学することになった語り手は、純の家の庭にあった老木に純の姿を彫り込むと、誰にも見られないように蔦で隠します。しかし、純から、奇病で死にかけているという手紙が届きます。

「ホーデン・ベビイ」:太志には奇妙な特技がありました。なんと自分の一物を象の鼻のように使って、水を(膀胱に)吸い込むことができたのです。さらに技術を極めた太志は、射精した液を逆流させて精嚢に吸い込むことまできるようになります。結婚した太志は、妻のゆかりにも自分の秘技のすべてを披露しますが、やがて太志の妊娠(!)が明らかになります。つまり、セックスの際に技を使ったため、卵子まで精嚢に吸い込んでしまい、そこで受精した卵子が精嚢に着床してしまったというわけなのですが――。

「スペース・エロス」:身体は大きいのに弱気なのが悩みの語り手は、祖父が残した指輪に不思議な力があることを発見します。指輪の宝石を90度ひねると、指輪をはめた本人と本人が触れている相手が、異次元の狭い空間へ移行してしまうのです。その空間で30分間(指輪の宝石が元の位置に戻るまで(^^;)を過ごしても、戻った現実世界では1秒も経過していません。最初は、気に入らない上司や横暴な取引先の担当者にヤキを入れる(笑)ために使っていましたが、やがてエッチな(笑)目的に役立てるようになります(「時間よ止まれ」テーマのAVみたいです(^^;)。

「スカトロ・エレジー」:三代続いた特異体質(いつでも好きなだけ排便できるというもの)の家系に連なる神武蔵は、母の遺言にぴったりの女性(太く長い立派なお通じを出す)と出会い、結婚を前提に付合い始めます。ところが、ハイキングの途中で遭難し、崖の途中で立ち往生してしまいます。崖を下りるため、武蔵はさらなる特異体質(便どころかナマコのように内臓まで排出してしまう)を使って、立派なロープを作り出します。

「エイリアン・ラブコール」:エイリアンのマドカに惚れ込まれたミュージシャン(?)のところへ、マドカから粘液質のラブレターが執拗に届き続けます。現代のストーカー事件のようの思われますが、このミュージシャンというのは、ギリシャ神話の――。

「ホルモン・フィルム」:フィルムメーカーの技術者・山形進は、自分が開発した特殊な乳剤を使って、恋人の絵里奈の柔肌にエロチックな刺青(?)を施すことに成功します。性的に興奮したときだけ、おしろい彫りのように画像が浮かび上がるものでした。しかし、進が急死してしまい、悲しみと体の疼きを紛らわすため、絵里奈は何人もの男と交渉を持ちます。やがて、ラブホテルで隠し撮りされた絵里奈のセックスを見たやくざが刺青に目を止め、絵里奈を誘拐してしまいます。ところが、裸にしてみても、絵里奈の肌には刺青などありませんでした。

「ソウル・スネイク」:スワッピングの魔力に取り憑かれた夫婦に、好事家の友人が南米のヘビのミイラを贈ります。ミイラを砕いてセックスの前に飲むと、女性は相手の男性の魂を吸い込んでしまうというのです。半信半疑で試してみると、たしかに事が済んだ後、妻がその時の相手の男性としか思えない言動をするのでした。相手がまともな人物ならいいのですが、もし変質者やシリアルキラーだったら・・・。

「アンタッチャブル」:小弓は、全身のうぶ毛が猫と同じという特異体質で、超敏感なため、年頃になると誰にも手を触れさせないばかりか、公共交通機関に乗ることも避けるようになっていました(つまり、触っただけでイッちゃうから)。そんな小弓も、真面目そうな正和という青年と見合い結婚しますが、正和は一件カタブツに見えながら四十八手に通じた性豪でした。ところが、前戯では盛り上がった初夜も、いざ本番となると盛り上がらないことおびただしく――。

「ヘッド・ワイフ」:式さん版「ドウエル教授の首」? 交通事故で首から下が麻痺してしまった妻・憂理香の願いを受け入れ、夫の薫は憂理香を、最近実用化された“首人間”にしてしまいます。しかし、愛し合ってはいても、五体満足な夫と首だけの妻では不都合もあり、ついに薫はある決断を下します。

オススメ度:☆☆


ヘッド・ワイフ (角川文庫 (6217)) - 式 貴士
ヘッド・ワイフ (角川文庫 (6217)) - 式 貴士

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