純白の梟 ☆☆☆☆

(純白の梟 / デイヴィッド&リー・エディングズ / ハヤカワ文庫FT 2005)

『女魔術師ポルガラ』三部作の第3作(最終巻)です。

“神をほふる者”につながるリヴァ王の血筋を守るため、ポルガラはガリオンの祖先となる男子が適切な女性と結婚して男児をもうけることに心を砕き、庶民に埋没して暮らすように仕向け、邪神トラク配下のグロリムの捜索の目を逃れていました。男子は鍛冶屋や樽作り、大工などを生業として生活し、危機が迫ってきたと感じれば、ポルガラの指示によって、さりげなく移動していきます。しかし、しばらくの間、ポルガラがエラト女公爵として生み出したと言えるセンダリアの国内にとどまっていたため、グロリムによる調査範囲が狭まる結果となってしまっていました。
そんな中、前兆とも言える“光の消滅”(単なる日食ではない)が発生し、ポルガラは母ポレドラからトラクが動き出したことを知らされます。さらにベルガラスやベルティン、ベルキラの双子は、『ムリンの書』をひもとき、今回アレンディアでトラクを迎え撃つのはリヴァの血筋の男子ではなく“リヴァの番人”たるブランドだと知ります。ベルガラスとポルガラはリヴァへ赴き、ブランドを説得して、トラクと対決する覚悟を決めさせます(とはいえ、トラクとの最終決着はまだ先ですから、ポレドラの介入で、“珠”は剣から外され、ブランドの持つ盾に移されます)。
陸橋を渡って西の大陸へ現れたトラクとアンガラク人の軍勢は、南から回り込んでアレンディアへ向かうという予測を裏切り、守りが薄かったドラスニアへ侵入して住民を皆殺しにし、次の動きをうかがっていました。ドラスニア南の国境に接するアルガリアの騎兵たちは、神出鬼没のゲリラ戦法でアンガラク勢力を削ぎ、その間にポルガラはポレドラと合体して一羽の梟となってトラクの砦に潜入し(一人で行けば、たちどころに招正体を暴かれてしまうでしょう)、トラクとゼダーとの会話を盗み聞いて、トラクの真の狙いがポルガラ自身であることを知ります。トラクは、その神の力でポルガラを支配し、自分の妻にしようと考えていました。
ベルガラスとポルガラはアローンの皇帝ラン・ボルーンと会い、トラクとの対決の場をボー・ミンブルとすることを納得させます。そして、古来より敵対していたアレンディア人とアスター人を、共通の敵であるアンガラク人に対抗させるために結束させ、トラク軍を消耗させながらボー・ミンブルへと導きます。そして、“運命”に定められた通り、トラクはブランドとの対決で残っていた片目を貫かれ、マロリーへ逃げ帰ります。
戦いの後始末のためトルネドラに残ったポルガラは、現在の“神をほふる者”の先祖ゲレインを樽職人に弟子入りさせ、目立たぬようにしていましたが、マーゴ人アシャラクを名乗るグロリムのチャンダーは、ベルガラスが繰り出す攪乱戦術を切り抜けて、ゲレインのもとへ迫っていました。ポルガラが気付かないうちに、ベラーの神官に扮したチャンダーは、ゲレインを熊神教徒に改宗させ、操ろうとしていたのです。かろうじて間に合ったポルガラは、チャンダーの本心が吐露されるよう仕向け、そのおぞましい目論見を知ったゲレインは正気を取り戻します。残念ながらチャンダーは取り逃がしてしまったため、ポルガラとベルガラスは、ゲレインと家族たちを北方のチェレクの山村エンガードに移動させます。この地でゲレインは村人たちに受け入れられ、平穏な暮らしを続けますが、ポルガラはポレドラから新たな警告を受けます。
グロリムのクトゥーチクが手下を送り込んで、ニーサの蛇神の女王サルミスラを操ろうとしているというのです。過去のサルミスラ(ニーサの女王は代々サルミスラを名乗ります)は、リヴァに暗殺者を送り込んで、もう少しのリヴァ王の血筋を根絶やしにするところでした。そんな目論見を未然に防ぐため、ポルガラは自らニーサの王宮へ乗り込むと、サルミスラの部下の宦官たちを味方につけ、グロリムの麻薬漬けになっていたサルミスラを目覚めさせると、グロリムをニーサから追い出します。
その世紀には“神をほふる者”が生まれるという予言を知ったベルガラスとポルガラは、“神をほふる者”を迎えるにふさわしい場所を求め、現在のリヴァ王の血筋の後継者、石工のダリオンをセンダリア東部のアナスの村へ移住させます。ダリオンの息子ダレルに男児ゲラン(ガリオンの父親)が生まれ、いよいよ時は近づいたように思われました。その間、ポルガラは再びポレドラの指示を受け、『ムリンの書』に記載されている、今後の流れに影響を及ぼす二人の人物を確認するために、敵地であるガール・オグ・ナドラクへ赴くことになります。妖艶な踊り子ポルアナとして地位を得たポルガラは、ヤーブレックという抜け目のない若者と、ナドラクの若き王ドロスタに接近し、任務を果たします。
一方、チャンダーの執拗な魔手は、アナスにも伸びようとしていました。チャンダーが巧妙に仕掛けた罠によってダレルが事故死し、未亡人となったアララは精神に異常を来してしまいます。ダレルは生きていると信じて徘徊する癖がついたアララにポルガラが注意を奪われているうちに、チャンダーはゲランの家に火を放ち、駆け付けたベルガラスの介入で生まれたばかりのガリオンは救われたものの、ゲラン夫妻は命を落としてしまいます。
ガリオンを静かに育てられる安住の地を求めるポルガラは、ガリオンと農家から盗み出したヤギ(赤ん坊にはミルクが必要ですから)を連れて、ファルドー農場へ至ります。好感の持てる鍛冶屋ダーニクと出会い、料理人としてファルドーに雇われたポルガラは、時たま旅の人として訪れるベルガラス、陰から見守るポレドラと共に、ガリオンを育てていき――『ベルガリアード物語』の発端に続きます。

オススメ度:☆☆☆☆


純白の梟―女魔術師ポルガラ〈3〉 (ハヤカワ文庫FT) - エディングス,デイヴィッド, エディングス,リー, Eddings,David, Eddings,Leigh, 晶子, 宇佐川
純白の梟―女魔術師ポルガラ〈3〉 (ハヤカワ文庫FT) - エディングス,デイヴィッド, エディングス,リー, Eddings,David, Eddings,Leigh, 晶子, 宇佐川

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