エリュシオン脱出 ☆☆☆

(エリュシオン脱出 / クルト・マール&ペーター・グリーゼ / ハヤカワ文庫SF 2021)

『ペリー・ローダン・シリーズ』の第634巻です。前巻からの続きで、セポル星系でのエピソードに一応の決着がつきます。

「エリュシオン脱出」(クルト・マール):永遠の戦士カルマーの従者である戦士の輜重隊がセポル星系に設置した"歳の市"に入り込んだレジナルド・ブルは、貴重なホワルゴニウムを取引材料に最大の歓楽場エリュシオンの運営者クーリノルと交渉し、エルファード人メリオウンと戦士カルマーの会話を盗み聞きすることに成功します。しかし、残りのホワルゴニウムを狙うクーリノルに拘束されてしまいます。
一方、エルファード人ヴォルカイルに追われたイルミナ・コチストワとキドは、自らを"患者の船"と呼ぶ未知の宇宙船の内部に逃れますが、その船自体が有機生命体でした。数奇な進化の過程をたどり、エレンディラ銀河にも16体しかいない知性体クカー種族の一体ヤダーは、不治の悪性腫瘍に全身を蝕まれていました。症状の進行を遅らせる薬を手に入れる資金を稼ぐため、"歳の市"について回っていたのです。イルミナとキドは、メタバイオ変換能力を使って悪性腫瘍を完治させることに成功します(難しい処置ではありませんが、とにかく相手が大きいので時間と労力はかかりました)。感謝のしるしに、ヤダーは自分の組織を使って小型宇宙船ドラヤダー(もちろん知性があります)を作り、イルミナとキドを脱出させますが、ヴォルカイルの目をごまかすことはできず、ふたりは船を離れて"歳の市"の雑踏に逃げ込まざるを得ませんでした。
ブルは、計略を使って軟禁されていた部屋を抜け出すことに成功しますが、クーリノルが操るロボット部隊の執拗な追跡を受けます。逃げるブルは美食家のエイリアンの食卓に紛れ込んでしまい、食われそうになりますが、前回にエリュシオンに導いてくれたドラクカーのウイスキーからもらった護符が功を奏し、なんとか逃げ延びます。ウイスキーと出会ったイルミナとキドは、ウイスキーの案内でエリュシオンへ向かいますが、怒り狂ったヴォルカイルはエリュシオンに突入し、破壊の限りを尽くします。パニックに陥ったクーリノルは、ブルとイルミナを合流させ、ヴォルカイルを止めさせようとします。当のヴォルカイルは、同じエルファード人のメリオウンの説得で矛を収め、新たな使命を帯びてシオム・ソム銀河へ向かうことになります。
そして平穏を取り戻した"歳の市"から、ブル、イルミナ、キドはロワ・ダントンの迎えを受け、それぞれのヴィールス船に復帰すると、惑星ナガトに不時着した"ラサト"の捜索に着手します。

「ナガトの動物使い」(ペーター・グリーゼ):ロナルド・テケナーとジェニファー・ティロンをリーダーとする"ラサト"は、前々巻でヴォルカイルの攻撃を受け、惑星ナガトの地表に不時着していました。変光星セポルが発するプシオン性嵐が止むまで、40日間は宇宙空間と通信することすらできませんし、墜落時に発した救難信号が誰かに受信されたかどうかも不明のままです。おまけに、搭載艇で飛行していたアンティの少女パス、シャバレ人の自由掠奪者ロンガスク、パイロットのファルコが行方不明になっています。
“ラサト”周辺を偵察しようとしたテケナーですが、無数の動物や猛禽類の襲撃を受け、かろうじて艦内に撤退します。動物たちの行動に不自然さを覚えた異星生物心理学者のジェニファーは、動物たちを操っている黒幕の存在を推測し、そのことは当たっていました。実は、この惑星に住む知性体であるナガト人は、イグアノドンのような姿をしていますが、言葉をしゃべり、鳴き声や身体の塗装など様々な手段を使って動物たちを利用しています。第二調教師であるヴァイチャスは、空位となった第一調教者の座をライバルのカイリビと争っていましたが、勝利条件は、最も手なずけにくいと言われるワデルダー(人間にそっくりだが知性のない種族)を集落へ連れ帰ることでした。
一方、搭載艇でジャングルに不時着したパスは、ファルコやロンガスクともはぐれ、ふたりや“ラサト”の手掛かりを求めてジャングルをさまよっていました。途中、パスは、イグアノドンのような恐竜が全裸の人間(実はワデルダー)を狙っているのを目撃し、プロジェクション生成能力を使って大石をイグアノドンの頭に落とし、人間を逃がしてやります。しかし、イグアノドンの反応と行動から知性があるのではと考えたパスは、トランスレーターを使って、ナガト人の第二調教師ヴァイチャスと意思疎通することに成功します。自分の能力がセポルのプシオン嵐の影響を受けないことを知ったパスは、上空に自分のメッセージを表示して“ラサト”に無事を知らせるとともに、ファルコとロンガスクの捜索と収容をナガト人に依頼します。
パスはヴァイチャスから、ナガト人は再生者(ヴァイチャスも属している、環境との共存を図る一族)、寄生者(戦いを好み、他種族を収奪して生きている一族)、孤立者(積極的な行動をまったくせず、惰性だけで生きている一族)の3種族に明確に分かれていることを知ります。その話を聞いたジェニファーは、ストーカーが示した第三の道のマークとの類似性に注目するのでした。再生者のリーダーであるオグホルと接触したテケナーは、勝負に勝って(実はパスがプロジェクションを発生させて“ズル”をしたのですが)第一調教師となったヴァイチャスの協力も得て、戦士カルマーが設置したステーションを発見します。そして、ステーションが発する法典ペプチドの影響で永遠の戦士の掟を信奉するようになった寄生者を説得し、ナガトに平和を打ち立てようとしますが、交渉が成立しようとした瞬間に、至福のリングが完成して戦士カルマーが介入し、ナガトはカルマーの計画通“恒久的葛藤”の期間を過ごすことになります。
修理が済んだ“ラサト”は、上空で“ラヴリー・ボシック”や“エクスプローラー”と合流し、ヴォルカイルを追って、次の目的地シオム・ソム銀河へ向かって旅立ちます。

オススメ度:☆☆☆


エリュシオン脱出 (ハヤカワ文庫 SF ロ 1-634 宇宙英雄ローダン・シリーズ 634) - クルト・マール, ペーター・グリーゼ, 鵜田 良江
エリュシオン脱出 (ハヤカワ文庫 SF ロ 1-634 宇宙英雄ローダン・シリーズ 634) - クルト・マール, ペーター・グリーゼ, 鵜田 良江

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