SFロボット学入門 ☆☆☆

(SFロボット学入門 / 石原 藤夫 / ハヤカワ文庫JA 1981)

工学博士号を持ち、堀晃さんと並ぶ昭和ハードSFの第一人者、石原さんの労作です。文庫版の出版は1981年ですが、ハードカバーが出たのは、さらに10年前の1971年(大阪万博の翌年)です。

神話やゴシック小説の時代の機械人間、人造人間から説き起こし、自動人形(オートマトン)やからくり人形を経て、チャペックによる「ロボット」という語の発明、アシモフの「ロボット工学の三原則」まで、文学作品におけるロボットの歴史を概観します。それと並行して、実際の工学機械の発展――計算機から電子計算機、サイバネティクスにサイボーグ、医療工学や工場用ロボットの実用化まで、1970年までの現実のロボットの歴史が、専門的かつ詳細に描き出されます。
とはいえ、AIBOもASIMOもコンセプトすら生まれておらず、工場におけるオートメーション機械(ロボットと呼ぶのはおこがましいかもしれません)が稼働しつつあるだけだった時代です。今では死語となってしまったLSIが最先端のコンピュータ技術部品ですから、書かれている内容も、今日からすれば旧態依然たる記述が各所に見られます。
それでも、「ロボット」という人類にとって革新的な概念の進化の道筋をたどるのは、とても興味深い体験であり、サイバーパンク以降の現代SF(と言ってしまっていいのか(^^;)で花開いたAI、ナノマシン、人間精神のプログラム化といったガジェットに至る歴史を改めて考察することができます。
巻末付録として掲載されている「古典ロボットSF解説年表」は、「神話伝承の時代」「カラクリ人形の系譜」「ロボットの誕生」「メカニカル・マンの活躍」「恐怖のロボットたち」「ロボット三原則の支配」「悲しいロボットたち」「黄金の1950年代」「三原則からの解放」という各テーマ毎に主要作品がまとめられています。今では忘れられ、入手困難(不可能?)な作品も相当数ありますが、それぞれのテーマについて70年代以降の代表作品を並べてみるのも面白いかもしれません(^^

オススメ度:☆☆☆


SFロボット学入門 (1981年) (ハヤカワ文庫―JA) - 石原 藤夫
SFロボット学入門 (1981年) (ハヤカワ文庫―JA) - 石原 藤夫

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