キング・コング ☆☆☆

(キング・コング / エドガー・ウォーレス&メリアン・C・クーパー / 創元推理文庫 2005)

1933年公開の映画「キング・コング」(第1作)のノヴェライゼーションです。ただし、いろいろといわくつきのようで・・・。
まず、英文の奥付にconceived by Edger Wallace & Merian C. Cooperと記されています。conceived は「原案」という意味ですから、実際の執筆者はウォーレスでもクーパーでもない、ということがわかります。解説によれば、映画「キング・コング」のプロデューサーだったクーパー(メリアンという女性のような名前ですが、男性です)は、ベテランの売れっ子作家だったウォーレスに協力を依頼したのですが、当時ウォーレスは体調を崩しており、一行も書かないうちに病死してしまいました。そこでクーパーは、急遽、デロス・W・ラヴレースというあまり著名でない作家に依頼して、脚本をベースに小説版「キング・コング」を執筆させたということです。デロスは完成した映画ではなく撮影前の脚本を元にしているため、映画での有名なシーンが小説に出てこなかったり、映画では割愛された場面が詳しく描写されていたり、という現象が起きています。

破天荒な行動で知られる映画監督デナムにヒロイン役としてスカウトされたアン・ダーロウは、行き先も自分がどんな役を演じることになるのかも知らされないまま、ワンダラー(漂泊者)号に乗り込みます。貧しい生活で物乞いするほどの境遇だったアンですから、飢えに苦しむこともなく、きらびやかな衣装を様々に着られるだけで、デナムに付き従うのを嫌がることはありませんでした。しかも、ワンダラー号の一等航海士ドリスコルは男らしいハンサムな男性で、ふたりは否応なく惹かれ合っていきます。
ワンダラー号がインド洋の中心部に達したとき、ようやくデナムはエングルホーン船長やドリスコルに目的地を告げます。デナムが数年前にノルウェー人の船乗りから入手したという手描きの海図には、既成のどの海図にも載っていない不気味な孤島が描かれていました。深い霧の中を海図に頼って進んだワンダラー号は、ついに髑髏のような山がそびえる孤島「髑髏島」に到着します。その島には「コング」と呼ばれる怪物が棲んでいると考えられており、デナムはアンとコングを主役として究極の「美女と野獣」映画を撮ろうとしていました。
上陸したデナム、アン、ドリスコルとエングルホーン以下の水夫たちは、原住民が神秘的な儀式を行っており、太古に築かれたと思われる巨大な壁の向こう側にいる何者かに、着飾った若い娘を生贄として捧げようとしている場面を目撃します。余所者の存在に気付いた呪い師は儀式を中断しますが、金髪のアンに気付いた呪い師は、アンの身柄を引き渡すよう要求しますが、もちろんデナムは拒否し、その日は原住民を刺激しないように引き下がります。しかし、その日の深夜、アンはワンダラー号に忍び込んだ原住民たちに拉致されてしまいます。そして、島に渡ったアンは壁の向こうへ追いやられ、現れた巨大な類人猿コングに連れ去られてしまいます。
追跡してきたドリスコルやデナムは、アンが連れ去られるのを目撃し、直ちに奪還部隊を組織します。ドリスコルとデナムが命知らずの水夫たちを率いていくことになりますが、デナムはコングを捕獲しようと大量のガス爆弾(催眠ガスが充填されているようです)も運ばせています。壁の内側に入り込んだ一行は、そこが、ドイルの「ロスト・ワールド」もかくやという太古に絶滅したはずの恐竜たちが生き残っている魔境であることに気付きます。出現した肉食恐竜をガス爆弾で退治したものの、沼地を渡る際に魚竜や首長竜の群れに襲われて銃とガス爆弾を失ってしまいます。トリケラトプスの群れに襲われた一行は、デナムとドリスコルを残して全滅してしまいます。それでもコングがアンを大事そうに抱えて髑髏山を登っていく姿に気付いたドリスコルはコングを追い、デナムはワンダラー号に戻って救助隊を再編成しようとします。
根城となっている洞窟に帰り着いたコングが、池から現れた首長竜と激闘を繰り広げている隙に、ドリスコルはアンを連れ出すことに成功します。コングの追跡を逃れるため、地下水の流れるトンネルに潜って脱出したふたりは、負傷しながらも川にたどり着いて、壁に集結していたデナムやエングルホーンと合流します。そして、追ってきたコングはガス爆弾の連続攻撃に耐えきれず、眠り込んで捕らわれの身となり、ワンダラー号に積み込まれてアメリカへ運ばれることとなります。
ニューヨークでは、コングを見世物にして大儲けしようとしたデナムが、劇場で檻に入れたコングをマスコミに大々的に発表します。ところが、記者のリクエストで檻の脇に立ったアンを見つけたコングは、鎖を引きちぎり、檻を壊してアンをさらい、街中へ逃げ出します。髑髏島と同じく、高所に逃れようとしたコングは、エンパイア・ステート・ビルによじ登ります。そして、要請を受けた空軍の戦闘機が飛来して――。

ちなみに映画に関しては、旧作「キング・コング」はTV放映すら見た記憶はなく、1976年公開のリメイク版(コングがワールド・トレードセンター・ビルに登るやつ)を十代の頃にリアルタイムで見ています(ただ、ストーリーは覚えておらず、ジェシカ・ラングのバスト(笑)しか印象に残っていませんでした(^^;)。

オススメ度:☆☆☆



キング・コング (創元推理文庫) - ウォーレス,エドガー, クーパー,メリアン・C., Wallace,Edgar, Cooper,Merian C., 三登志, 石上
キング・コング (創元推理文庫) - ウォーレス,エドガー, クーパー,メリアン・C., Wallace,Edgar, Cooper,Merian C., 三登志, 石上

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