海の荒鷲 ☆☆

(海の荒鷲 / 大佛 次郎 / 少年倶楽部文庫 1976)

昭和8年、1年間にわたって「少年倶楽部」に連載されたものです。

九州で浪人の父と死に別れ、天涯孤独となった少年剣士・椿新太郎(三十郎ではない(^^;)は、船乗りになるために大阪へ向かう途中、赤間関(現在の下関)でその胆力と勇気を見込まれ、味岡太郎左衛門という船乗りに雇われることになります。しかし、味岡の正体は海賊の首領で、薩摩藩の御用金三千両を奪い、手下と共に逃亡します。味岡の正体を知った新太郎は、「死んでも海賊になんかなるものか」と啖呵を切って海に消えました(このシーンは、田中真弓さん――「ラピュタの」パズー――の声に脳内変換して読みました(^^;)。
新太郎は必死で泳いで、ある島に上陸しますが、なんとそこは海賊の根城で、訪ねた家は味岡の一人娘の節が留守を守っていました。節の言葉に従って逃げた新太郎ですが、あっさりと海賊どもに捕まってしまいます。しかし、味岡は新太郎の縄を解き、「十日間じっくり考えろ」と言って、元漁師の小六じいさんに新太郎の身柄を預けるのでした。
島内は自由に行動できるため、新太郎はあちこち見て回り、味岡の昔馴染みだという浪人崩れの堀陣十郎と川名佐母次郎が密談しているのを盗み聞きします。極悪人の二人は、味岡を裏切って汚職役人に島を襲わせ、御用金をわがものにしようと計画していました。堀と川名は、新太郎に手引きさせようと考えますが、もちろん新太郎は断り、刀で追われて断崖から転落してしまいます。その夜、大勢の役人が島へやってきて焼き討ちを始め、腕を負傷したものの無事だった新太郎は、節の身を案じて森の中を味岡の家へ向かいますが、そこで逃げてきた小六と節に出会います。島の地理に詳しい小六の指示で洞窟に隠れた新太郎と節ですが、海に飛び込んだ小六はフカに襲われて行方不明になってしまいます。
一方、火を放たれた味岡の家は焼け落ちますが、味岡の遺体は発見されませんでした。焼け跡を調べた堀と川名は、地下に掘られた抜け穴から味岡が逃亡したらしいと知って、愕然とします。抜け穴の奥に残っていた箪笥の秘密の引き出しから、古い絵地図が見つかりますが、海賊の宝の隠し場所の地図のようでした。堀と川名は、姿を消した節を捕らえて、味岡に対する人質にしようと考え、手勢を繰り出して新太郎と節を捕らえます。しかし、節も新太郎も強硬に抵抗するため、白洲で余計なことを言われないうちに始末することにし、小舟で海に連れ出して切り捨てようとします。
そこへ向かって来た高速の舟が銃撃し、二人は助け出されます。フカに食われて死んだと思われていた小六じいさんが、猟師の若者・直吉と一緒に救出に来たのでした。味岡は娘の節に、なにかあれば薩摩の山川港で落ち合おうと言葉を残していました。小六は、二人を山川港へ送り届けるため、旧知の破戒和尚(笑)牙山を頼ります。牙山は一行を連れ、薩摩へ向かう船を探して赤間関を訪れますが、そこには堀と川名も立ち回っていました。節は捕えられ、堀と川名の船に幽閉されますが、そこに単身、現れたのは牙山和尚でした。和尚は御用金を山分けしようと取引を持ち掛け、新太郎も引き渡そうと約束するのでした・・・。

主人公は新太郎のはずなのですが、あまり活躍の場がなく(登場シーンが一番の見せ場というのは、ちと寂しいです)、味岡、小六、牙山ら熟年組(笑)のほうが主役級の活躍をするのが、やや肩透かし感があります。

オススメ度:☆☆


海の荒鷲 (少年倶楽部文庫14) - 大佛次郎
海の荒鷲 (少年倶楽部文庫14) - 大佛次郎

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