まぼろし城 ☆☆☆

(まぼろし城 / 高垣 眸 / 少年倶楽部文庫 1976)

昭和11年、1年にわたって「少年倶楽部」に連載された作品。江戸時代初期(17世紀前半、元和から寛永の頃)を舞台に、将軍直属の隠密剣士・木暮月之介が活躍する3篇が収められています。

「まぼろし城」:その年、木曽福島の大馬市には、将軍家が買い上げる名馬の候補12頭を選び出すために、御馬役がわざわざ江戸から出張って来ていました。桐作少年が手塩にかけて育てた白馬も、12頭の筆頭格として選ばれています。しかし、その夜、髑髏の仮面をかぶった黒衣の一隊が出現し、12頭の馬を奪って逃走します(黒の乗り手?(^^;)。彼らは、この地に出没する“まぼろし武士”と呼ばれる異形の集団でした。追って来た桐作を銃撃する(幸い、弾は外れます)という一幕の間に、12騎だった一行はなぜか13騎に増えていましたが、根拠地“まぼろし城”に到着すると、余計な1騎は“まぼろし武士”の首領に江戸の隠密という正体を暴かれ、谷底へ突き落されてしまいます。
谷底で、白馬を探しに来た桐作と出会った木暮月之介は、桐作から彼の一族の数奇な物語を聞かされます。桐作の父・霧右衛門は木曽義仲の子孫である山棲族(つまりは山の民、山窩)の頭領でしたが、侵入してきた“まぼろし武士”たちに打ち負かされ、一族は四散してしまいました。父を失った桐作は、母と妹と暮らしながら、仇である“まぼろし武士”を倒す術を探し求めていたのでした。同じころ、桐作の家を“まぼろし城”の首領が訪れ、霧右衛門が遺した「神州山絵図」(日本全国の山岳地帯を精密に描いた秘伝の地図)を奪っていきます。これがあれば、“まぼろし武士”が各地の山棲族を平らげて日本全国の征服を実行に移すのも不可能ではありません。
一方、木曽福島の代官所には、首領からの矢文が届きます。12頭の名馬の身代金として、1200両と人足500人を差し出せというのです。そのことを代官から聞いた月之介は“まぼろし城”攻略のため、桐作と共に一計を案じます。首領の正体とは――(最初から、日本人でなく、〇〇〇〇〇であることは明白でしたが(^^;)、クライマックスは「みなしごハッチ」の最終回風の燃える展開となります(笑)。

「荒海の虹」:「まぼろし城」事件を解決した木暮月之介は、隠密飛脚が届けてきた密命を受け、佐渡島へ向かいます。佐渡金山から御用金百万両を運ぶ御用船巴丸が行方不明になったのです。幕府からも大目付・松村新八郎が急行し、八潮丸に乗って佐渡の小木港へ向かっていましたが、前方に漂っている巴丸を発見します。幽霊船の祟りを恐れる船頭たちを尻目に、少年・雲太郎(実は巴丸の大船頭・潮兵衛の息子)が操る伝馬船で巴丸へ向かった月之介と新八郎、その配下たちは、人っ子一人いない船倉で御用金の千両箱を見つけますが、中身は石ころに変わっていました。新八郎は、大船頭以下、巴丸の乗組員や役人たちが共謀して御用金を盗んで隠匿したと決めつけ、雲太郎も共犯として捕縛してしまいます。
時化が迫る中、八潮丸と巴丸は佐渡へ向かいますが、月之介の指示で巴丸は港へ向かわず、島の裏側へ回ります。そこには怪しげな唐人船が停泊しており、月之介に命じられた雲太郎は巴丸を真っ向から衝突させます。新八郎たちが唐人と戦っている隙に、月之介は船内を探索しますが、御用金はまだ積み込まれてはいませんでした。あくまで潮兵衛を疑う新八郎は、雲太郎だけが留守を守る潮兵衛宅へ踏み込みますが、月之介は2日後の月の出に海豚瀬浜で御用金を引き渡すと断言します。翌日、海豚瀬浜の集落を訪れた富山の薬売りがいました・・・。

「渦潮の果て」:江戸から遥か離れた薩摩藩で不穏な動きがあるのを察知した幕府は、何人もの隠密を潜入させましたが、ことごとく正体を見破られています。そんな中、隠密の三木俊太郎は、薩摩武士に追い詰められながらも、密書を結び付けた伝書鳩を放ち、弟・富士丸のもとへ届けようとします。薩摩の見張りに見破られ、密書を奪われそうになりますが、木暮月之介の介入で攻守逆転します。俊太郎からの密書には、薩摩藩が強固な軍艦を複数建造中であること、陸軍・水軍の精鋭部隊を鍛錬中であること、弾薬や銃砲を整えつつあることが記されています。しかも、薩摩には大阪城で果てたはずの豊臣秀頼が落ち延びており、真田幸村が軍師となって計画を統率しているといいます。
江戸幕府転覆の危機を感じた月之介は、富士丸と共に薩摩藩に潜入し、幸村の配下の忍び・猿飛佐助の警戒網を潜り抜けて、牢獄に幽閉されている俊太郎を発見します。仮死状態になる薬を差し入れて、死刑が確定している俊太郎を救い出そうとしますが、その作戦も幸村に読まれていました。危うく逃げ延びた月之介は、刺し違える覚悟で幸村に迫りますが、幸村の口から出たのは意外な言葉でした。

オススメ度:☆☆☆


まぼろし城 (少年倶楽部文庫) - 高垣眸
まぼろし城 (少年倶楽部文庫) - 高垣眸

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