ブルースカイ ☆☆☆☆

(ブルースカイ / 桜庭 一樹 / ハヤカワ文庫JA 2005)

『GOSICK』シリーズ(すべて購入済みらしい)などの作者、桜庭さんですが、これが初読みです。
「少女」をテーマにした時代の異なる3つのエピソードで構成される、ある種のワイドスクリーン・バロックで、大原まり子さんの「アルカイック・ステイツ」や山田正紀さんの「エイダ」の、ラノベバージョン(低く見ているわけではありません)と言えるかもしれません。高次元の存在(未来人?)が介在しているのも、ヴォークト以来のワイドスクリーンバロックを思わせます。

第1のエピソードの舞台は、17世紀初頭のドイツ、ケルン選帝侯領レンスの町です。10歳の少女マリーは、祖母エリカと二人、古ぼけた水車小屋で暮らしていました。流れ者の二人は、町の人々と距離を置きつつ、粉を突きながら質素な生活を送っています。ある時、マリーは教会で、金髪の少女、17歳のクリスティーネと知り合い、祖母の言いつけに背いて、ついクリスティーネを水車小屋に連れてきてしまいます。エリカは顔を曇らせ、「結界が破られた、害悪がやって来る」とつぶやきます。そして、魔女(?)だったエリカは、マキシミリアンという蟇蛙の使い魔に語り掛け、未来を目にします。エリカがマリーに告げたのは、「アンチ・キリストが思いがけない姿で現れる」という言葉でした。
しばらくして、レンスに魔女狩りの一団が現れ、リーダーのブイルマンを中心に、市民の中に潜む魔女を見つけ出して火刑に処すべく行動を開始します。最初に魔女として検挙されたのは、クリスティーネでした。一方的な裁判で有罪とされ、火刑になる前夜、マリーは牢獄のクリスティーネを訪ね、約束を交わします。魔女狩りの嵐は吹き荒れ、ついにエリカにブイルマンの魔手が迫ります。エリカはマリーを納屋に逃がし、そこに現れる"青い空"を頼るよう指示して、ブイルマン一味に引き立てられていきます。そしてマリーは、突然、納屋に落ちてきた黒髪、黒い瞳の少女に出会います。未知の言葉を話し、見たこともない服を着た少女は(現代の日本人が見れば、セーラー服の女子高生だとすぐにわかる姿ですが)、不安と驚きで震えるばかり――年下のマリーが、この"アンチ・キリスト"の食事の世話をしなければなりませんでした。
冬の晩、祖母のエリカが拷問を受けている建物に忍び込んだマリーは、思いもかける祖母の正体を知ります。死を恐れない祖母の指示に従って、マリーとエリカは町を抜け出し、新大陸へ向かう帆船に乗り込みます。しかし、黒衣の男たちが空から襲ってきて、アンチ・キリストは姿を消してしまいます。
第2のエピソードは、近未来のシンガポールです。この時代、男子はみな性的に淡白な草食系、逆に女史は肉食系になっており、ゲームデザイナーのディッキーは、同僚の女性チャムに関係を迫られては、気が進まないながら受け入れる、という性生活を送っていました。ヴァーチャル・リアリティ・ゲームの舞台となる世界の設計を命じられたディッキーは、中世ヨーロッパの城塞都市(レンス?)のイメージを創り上げ、キャラクターデザイナーのモーリスがテスト用に創り出した10歳くらいの少女をヴァーチャル空間に住まわせます。そして、AIプログラマーのチャムがプログラミングした少女は、自立したキャラクターとして、ゲーム世界に存在を始めます。ヴァーチャル空間に入り込んでゲームを試験していたディッキーは、いきなりゲーム空間に出現したセーラー服の少女と出会います。驚くべきことに、ゲームのスイッチを切っても、少女は存在し続けていました。ブルースカイと名乗った少女は、日本の鹿児島県の出身だと語り、今は何年かと訊いてきます。ディッキーはブルースカイを自室に連れ帰りますが、時間監視官に追われていると語るブルースカイは、自分の言葉通り、黒衣の怪人にさらわれてしまいます。
第3のエピソードの舞台は、2007年の鹿児島――17歳の女子高生青井ソラは、ごく普通の高校生活を送っていましたが、鹿児島市が大爆発に見舞われた時、たまたま携帯電話を使っていたせいで、高次元のシステムへのアクセス回路が開いてしまい、システムに入り込んだバグとして、時空を超えて追われることとなります。

オススメ度:☆☆☆☆


ブルースカイ (ハヤカワ文庫JA) - 桜庭一樹
ブルースカイ (ハヤカワ文庫JA) - 桜庭一樹

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