戦士ブラク対女錬金術師 ☆☆☆☆

(戦士ブラク対女錬金術師 / ジョン・ジェイクス / 創元推理文庫 1977)

「ブラク・シリーズ」の第2巻です。世界観や成立の経緯については、第1巻「戦死ブラク対謎の神殿」の記事をご覧ください。前巻が短篇集だったのに対し、今回は長篇です。ストーリーは独立していますが、前巻のエピソードと密接なつながりもあるため、やはり第1巻を先に読むのをお勧めします。

愛するリヤ姫と別れ、南の楽園カーディサンを目指すブラクですが、カーディサンへつながる南西の道は岩崩れで塞がれており、西へ向かうしかありませんでした。途中、若い女性の悲鳴を聞いたブラクは、凶悪な"人食い蛇"(暗黒神ヨブ・ハゴスの創造物の一つ)の潜む洞窟に落ちた羊飼いの娘エリノアを救いますが、エリノアは野蛮なブラクの態度に怯えて逃げてしまいます。高い岩柱のてっぺんで瞑想にふけっているネストリアマスの僧侶アンブローズから、この国は呪われているという話を聞いたブラクは、さらなる情報を求めて領主ストラン侯の屋敷へ向かおうとします。
途中、隊商宿に立ち寄ったブラクは、ケルベロスのような巨大な犬(ただし、頭は一つだけ)を連れた神秘的な美貌の女が馬車で乗りつけるのを目撃します。彼女はタマー・ゼッドと名乗るメイジアン派の僧を連れており、巨大な犬のことをスカーレットジョウと呼んでいました。スカーレットジョウはブラクが乗って来た馬を貪り食ってしまい、怒ったブラクは大剣で襲い掛かろうとしますが、女に止められます。後でストラン侯の戦士隊長イスカンダーから聞いたところでは、その女は錬金術師セルサス・ハーケイナスの娘ノーディカですが、1年前にタマーと出会った頃から人が変わったようになり、父セルサスが発見した錬金術最高の秘密(つまりは卑金属を黄金に変える物質変成術)を父を殺して奪い取り、ストラン侯の兵士たちを篭絡して、この国を奪おうとしているということでした。ノーディカに見詰められたブラクは、どこかで相手に会ったことがあると直感しますが、それ以上のことはわかりません。
翌朝、ストラン侯の息子ペンマが隊商宿を訪れ、ブラクをストラン侯の屋敷に招待します。イスカンダーからブラクの度胸と腕っぷしについて聞いたストラン侯が、ぜひ会いたいということでした。ストラン侯は、兵士たちが次々にノーディカに寝返っていることに心を痛め、絶望しかけていましたが、ブラクが事態を抱かしてくれるのではないかと望みを抱いていました。ブラクが食事中、危急を告げる鐘の音が響き渡ります。野原に出たブラクは、ノーディカの兵士たちがペンマを集団で襲っているのを目撃し、救出に駆けつけます。奮戦したものの、多勢に無勢、ブラクは頭を殴られて気を失い、ペンマは拉致されてしまいます。
ブラクは、イスカンダーからの情報で、難攻不落のノーディカの城砦に単身乗り込む決意を固めます。誰にも登攀は不可能と言われていた西壁を登り切ったブラクは、ペンマを逃がしたものの、ノーディカの捕虜となってしまいます。ブラクの前に現れたノーディカは、自分の錬金術の秘法を実現するにはペンマよりもブラクのほうが生贄として役立つ、とうそぶきます。ノーディカの父サラナスが発見した秘法を行うためには、地水火風の四大を象徴する4人を生贄として季節風に捧げる必要があるというのでした。そして、残りの3人は、すでに地下牢に捕らえてあるといいます。その目の中に、ブラクは前巻で死んだはずのアリアン(ヨブ・ハゴスに仕える不死の司祭セプテガンダスの娘)と同じ光を見るのでした。
地下牢に押し込められたブラクは、"人食い蛇"から救ったエリノアが捕まっているのに驚きます。残りのふたりは、あくどい鍛冶屋ルンガと異国の船に乗り組んでいた水夫ダリオスでした。その後、ブラクとエリノアは、タマーの罠にかかって牢獄から出され、地下道に閉じ込められてしまいます。そこは、タマーとノーディカがセルサスを死に追いやった同じ穴でした。穴の底には、"人食い蛇"が潜んでおり、人の気配に気づいて姿を現した“人食い蛇”に対し、ブラクは戦いを挑んだ末、ついに倒すことに成功します。また、ノーディカの父セルサスも横穴の一つに生き残っていることがわかりますが、残念ながらセルサスは完全な狂気に陥っていました。断末魔の“人食い蛇”岩を崩したおかげでノーディカの城砦に戻ることができたふたりは、ペンマやストラン侯の兵士が城に攻め寄せていることを知りますが、ルンガの裏切りのおかげでブラクは再び囚われの身となり、ついにはノーディカの膝下にひざまずくことになってしまいます。
時がいたり、ノーディカが錬金術の秘法を実行する日がやって来ます。他の3人と共に生贄に捧げられたブラクは、起死回生の手を考えつき、心の声で岩柱のアンブローズに呼びかけます。

オススメ度:☆☆☆☆


戦士ブラク対女錬金術師 (1977年) (創元推理文庫―ブラク・シリーズ〈2〉) - ジョン・ジェイクス, 一ノ瀬 直二
戦士ブラク対女錬金術師 (1977年) (創元推理文庫―ブラク・シリーズ〈2〉) - ジョン・ジェイクス, 一ノ瀬 直二

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この記事へのコメント

山田太郎(ジョン・スミス)
2021年01月07日 21:56
戦士ブラクはコナンの亜流という意見もあり、賛否両論ですが、自分は結構好きな話でした。よく読んでたのは高校時代で、たぶん戦士がモンスター倒すゲームブックの戦士とかも影響だと思いますが、部族で仲違いして理想郷カーディサンを目指し独り旅の蛮族傭兵戦士ブラク的な生き方カッコいいと今でも感じるものがあります。もう妻いて五十近いのに今でも山登りや長い徒歩の独り旅が好きなのもたぶん戦士ブラクの影響😊で?長編として2大怪獣・恐竜と大蛇融合の「マンワーム」と牛サイズ猛犬「スカーレッドジョー」がなかなか気に入った話でしたが、スカーレッドジョーは最後は城崩壊で潰れたらしいですが、ブラクが大剣で口から串刺しにして倒した方がよかったと思いました。巨大猛犬の飼主で赤髪妖術使姫のノーディカは前作魔導士セプテガンスの娘アリアンの復活した姿?らしいですが、やはりアリアンの方がいいですね😊。ラストはその飼犬に喰われたとこなどあまりカッコいい最後とは言えなかったし?あの世界、ハワードのコナンの世界よりもっと後の、初期のローマ帝国の時代的です。自作の吸血双子の話では砂漠地帯の隊商など如何にもシルクロードみたいで。更にアメリカ西部劇的な感じも?作者のジェイクスは確か西部劇モノも書いてたと?
〇に
2021年01月10日 17:46
お返事が遅くなり、申し訳ありません(^^;
熱いメッセージ、ありがとうございます。
第3巻「戦士ブラク対吸血双生児」も入手済みなのですが、書庫に登場するのは来年の前半になりそうです。
山田太郎(ジョン・スミス)
2021年01月11日 19:02
自分はロード・オブ・ザ・リングのワーグを見たらブラクのスカーレッドジョーを思いだしたんです。創元社の武部氏の挿絵は仔牛サイズのピットブルで、ワーグはハイエナ似でしたが?最近コロ病の流行によるのか鬼滅の刃病も流行中ですがたぶん現世と魔界と表裏一体の伝奇的なストーリーがウケたのでは?最近皆本を読まない人が増えましたが😐ブラクの世界観も馬車や隊商、村や街の人々の生活感あり、昔のヨーロッパ舞台の映画見てるような感じに、未知なる脅威的な魔法や魔導士や怪物、邪神ヨブ・ハゴスなどの存在などは、魔法当たり前のピクニック的なゲームのファンタジーとは一線を画すモノだと。
〇に
2021年01月13日 19:55
コメント、ありがとうございます。
たしかに、現代のファンタジーには、元祖「コナン」や「ブラク」、「ファファード&グレイ・マウザー」やムアコックの諸シリーズなど、昏い雰囲気の重厚な「剣と魔法」のヒロイック・ファンタジーは見当たらないようですね。ラノベ風のものも、それはそれで悪くはないのですが(^^