放浪処女事件 ☆☆☆☆

(放浪処女事件 / E・S・ガードナー / ハヤカワ・ミステリ文庫 1983)

『ペリー・メイスン・シリーズ』中期の作品(32作目の長篇のようです)。

ペリー・メイスンは、クライアントのデパート経営者アディスンから、浮浪罪で警察に勾留されている若い娘ベロニカ・デールを身請けするよう依頼を受けます。聞けば、ベロニカはヒッチハイクをしていて、たまたま通りかかったアディスンが乗せたのだそうです。お金もなく泊まる当てもないと聞いたアディスンは、父親のような思いやりから(と本人は言い張ります(^^;)、高級なロックアウェイ・ホテルの支配人に頼み込んで部屋を取ってやったのですが、その晩、なぜかベロニカはホテルを出て夜道をふらつき、パトロールの警官に挑発的な態度を取って逮捕されたのだといいます。メイスンはすぐに保釈金を積んでベロニカを解放します。ベロニカはメイスンに対し、自分は18歳で、インディアナ州の小さな町でレストランを経営する母親と二人暮らしだったが、都会に憧れて1週間前に家出をし、ヒッチハイクでロサンジェルスを目指してきた、と語ります。その姿は、実に無邪気で、アディスンが親切な気持ちになったのも当然、という感じでした。
その翌日、ベロニカの話を裏付けるように、ベロニカの母親だという婦人ローラ・メ・デールがメイスンの事務所を訪れ、娘を助けてくれた礼を言います。ローラはホテルにいる娘と電話で話したものの、ベロニカの自立心を尊重し、会わずに帰ると告げ、謝礼金の小切手を渡して立ち去ります。どうやら、アディスンが自分のデパートで働けるよう、ベロニカに便宜を図ったようでした。
ところが、数日後アディスンが困り果ててメイスンを訪ねてきます。ゴシップ新聞の記者の関係者を名乗るエリック・ハンセルという男が、アディスンが若い娘(ベロニカ)と不埒な関係になっている、というネタを記者に売り込むと言ってきたとのことです。恐喝に間違いないのですが、したたか者のハンセルは言質を取られないよう、仄めかすばかりでした。たとえ根も葉もない記事だったとしても、数週間後に株主総会を控えているアディスンにとっては、スキャンダルは致命傷となります。共同経営者のファーレルともうまくいっていませんが、幸いファーレルは現在、休暇を取って釣り旅行に行っているため、この問題は今のうちに片づける必要がありました。メイスンはデラ・ストリートやポール・ドレイクの協力を得て、アディスンの署名がある偽造小切手をハンセルにつかませ、一泡吹かせようとします。小切手偽造の容疑でハンセルを警察に逮捕させ、それをきっかけに恐喝の目論見も暴き出そうという意図でした。実際、逮捕されたハンセルはホルコム部長刑事から散々な(笑)目に遭わされます。
一方、アディスンは共同経営者ファーレルの不審な行動にも頭を悩ませていました。もともとデパートはファーレルの父親とアディスンが創業したもので、ファーレルは父親の株を相続して共同経営者となったわけですが、正直言って無能で、しかも美人のローレインを妻にしているのも、やもめのアディスンには癪の種でした。ところが、田舎へ鱒釣りに行っているはずのファーレルの車がロサンジェルス市内を走っているのを、ローレインが目撃したといいます。おまけにファーレルは、アディスンが目をつけていた郊外の家を、知らぬ間に買い取ってしまっていました。実際、アディスンがベロニカを拾ったのも、ファーレルが購入した別宅の様子を探りに行った帰り道でした。アディスンはファーレルが浮気のために別宅を用意したのではないかと疑っており、それを突き止めれば、ローレインはファーレルと離婚するのではないかと期待して(笑)いるわけです。
アディスンと一緒にファーレルの別宅を訪ねたメイスンは、ファーレルが室内で射殺されているのを発見します。窓ガラスには銃弾が貫通した穴が開いており、外部から撃たれたものと思われました。その後、警察の調査で凶器の拳銃が発見されますが、それはアディスンの持ち物でした(アディスンは、護身用としてファーレルに貸したのだと主張します)。検死の結果、犯行はアディスンがベロニカを拾った晩だと断定され、警察は、ファーレルを殺して車で町へ戻ろうとしたアディスンが、途中でヒッチハイクをしていたベロニカに出会ったのだと考えます。ベロニカをデラのアパートに匿ったメイスンですが、警察に踏み込まれ、ベロニカは検察側の重要証人として身柄を確保されてしまいます。
こうして始まったアディスンの裁判は、メイスンの仇敵、地方検事ハミルトン・バーガーの自信満々のペースで始まります。しかし、ポール・ドレイクの協力でベロニカやハンセル、アディスンのデパートの幹部(アディスン派とファーレル派)など関係者の身辺調査を続けたメイスンは、思いもよらない人間関係や事実を発見するのでした。

オススメ度:☆☆☆☆


放浪処女事件 (1978年) (ハヤカワ・ミステリ文庫) - E.S.ガードナー, 文村 潤
放浪処女事件 (1978年) (ハヤカワ・ミステリ文庫) - E.S.ガードナー, 文村 潤

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