ムレムの書4 聖跡を赴く者 ☆☆☆

(ムレムの書4 聖跡を赴く者 / マシュー・J・コステロ / 富士見文庫 1991)

猫型種族ムレムが支配する異世界を舞台とするファンタジー『ムレムの書』の第4巻です(原書では、第3作の前半に当たります)。どうやら原書では1作ごとに作者が代わっているようで、今回(と原書の後半に当たる第5巻)は初顔のコステロが書いています。

ストーリーは第1巻第2巻の直接の続きですが、かなり時間は隔たっています。第2巻のラストで、侵略してきた東の領主の勢力をクラグスクロウの砦で打ち破った英雄タルウェは、現在はアルの都の王となっていました。しかし、妻スラスを辺境での任務に追いやり、酒と享楽に明け暮れており、昔を知る高地ムレムの軍人パラランは苦々しく思っています。折しも、タルウェの愛妾フェイラが男の子を身ごもり、跡継ぎができたことになりますが、タルウェは喜びを見せず、パラランの忠告も冷たくはねつけます。タルウェが西の都から来た全権大使ウィドニクの言いなりになっているのを心配するパラランですが、タルウェはフェイラを北方のヤルー王のもとに預けることを決め、パラランに護衛役を命じます。それもこれも、薬でタルウェを操り人形にしてしまったウィドニク――実はかつてクラグスクロウで敗れ去った東の領主の配下の魔法使いクウィニド――の差し金でした。悪辣なヤルー王は、ただちにフェイラを後宮の一員にするとともに、パラランを地下牢へ閉じ込めます。それから数か月――男の子を生み落としたフェイラはヤルーを刺し殺し、パラランを解放して共に脱出します。追手が迫る中、フェイラは自らを犠牲にしてパラランと赤ん坊を逃がし、パラランは山間の豊かな村に赤ん坊を託した後、アルへ戻ってクウィニドを討ち果たします。ここまでが、長いプロローグ。
そして時は流れ、高地ムレムの若者ファロン(明記はされていませんが、明らかにフェイラの息子です)は、村人たちと異なる毛並みのために村八分に遭い、家畜ブンダの番人として孤独な暮らしを送っていました。そんな中、自分と同じような毛並みの(つまりは平地ムレムということですが)紳士プレイノの訪問を受けたファロンは、プレイノの依頼で、遥か南方の都市ティゼールの有力貴族ロウ公宛ての手紙を届けることになります。
旅の途中、小太りで気のいい自称"魔法使い"のケイッシルと道連れになったファロンですが、山賊に襲われて、手紙を縫い込んだマントを奪われてしまいます。取り返すため、山賊の根城となっている廃都ファールへ忍び込んだファロンは、ファールでしたたかに生き抜いてきた孤児アシュリの助力を得て、マントの奪回に成功します。アシュリも旅に同行することになりますが、この少年には未来を予知する不思議な能力があることに、ファロンは気付いていました(一方、"魔法使い"のケイッシルには、まったくそんな気配はないのですが(^^;)。
ようやくティゼールに到着した一行ですが、ロウ公の兵士たちに捕まって牢獄にぶち込まれてしまいます。しかし、それはロウ公がファロンが本人かどうかを確認するためのものでした。実際には、ロウ公が求めていたのはファロン自身だったのです。東の領主たちからムレムの世界を守るために必要な魔法を探しに、砂漠の彼方にある聖都グファールの廃墟に赴いてほしい、というのがロウ公の依頼でした。いったんは断ったファロンですが、ロウ公の娘タリーヌに挑発され(というか、タリーヌの美貌にも惹かれて)、グファール行きを承知します。タリーヌ、大女のアナラ、アシュリとケイッシルと共に、ファロンは旅立ちます。途中でケイッシルが逃げてしまうというハプニングはありましたが、砂漠に詳しいシロム(どうやら追放された死刑囚のようですが、タリーヌは頓着しません)を案内役に雇って、一行は砂漠に足を踏み入れます。巨大アリジゴクに襲われながらも、聖都にたどり着いた一行は、手分けして魔法の探索に乗り出しますが、ファロンとアシュリに危険が――。

というクリフハンガー状態で、第5巻「ティゼールの魔術師」に続きます。いつか登場。

オススメ度:☆☆☆



ムレムの書〈4〉聖跡を赴く者 (富士見文庫―富士見ドラゴン・ノベルズ) - マシュー・J. コステロ, 佐竹 美保, 椋田 直子
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