プシオン・ルーレット ☆☆☆

(プシオン・ルーレット / エルンスト・ヴルチェク&トーマス・ツィーグラー / ハヤカワ文庫SF 2020)

『ペリー・ローダン・シリーズ』の第615巻です。前半は前巻の直接の続きで、深淵にまつわる重要な事実が明かされ、後半は612巻の続きで、風雲急を告げる銀河系に舞台が移ります。

「プシオン・ルーレット」(エルンスト・ヴルチェク):サイリンの玩具職人クリオは、時ならぬ“種族放浪”に巻き込まれてムータン領に送られ、深淵の騎士たちと出会います。ジェン・サリクの細胞活性装置に触れたクリオは、はるかな太古からの記憶をよみがえらせるのでした。
まだ深淵がグレイ作用の影響を受けていなかった頃、“大いなる再建”(これが何を意味するかは明らかですね)に貢献すべく、ティジドによる遺伝子操作で生み出された種族がサイリンで、しかもクリオは最初に生み出された特別なサイリンでした。サイリンは、身近にある物質を取り込んで、無意識化に刻み込まれた記憶に基づいて、ありとあらゆるものを創り出すことができました。そのような能力を持つサイリンがヴァジェンダのもとで携わっていたのは、ヴァイタル・エネルギー貯蔵庫である黄金の卵を無数に創り出す作業でした。時空エンジニアは、消え去ったトリイクル9に代わるプシオン・フィールドを直径1光年の深淵に構築するために、各所にヴァイタル・エネルギー貯蔵庫を設置して、地下洞窟網を通じてヴァジェンダのヴァイタル・エネルギーを深淵全体に行き渡らせることを計画していました。
やがて、悠久に近い時が流れたあと、サイリンに新たな指示が下されます。既に深淵には、時空エンジニアに召喚された数十億の知性体が集まっていました。そのプシオン力をトリイクル9と同じ性質のものにするため、時空エンジニアは、種族をシャッフルすることを繰り返して最適な配置を実現しようと考え、定期的に“種族放浪”を発生させていました。突然、新たな環境に送り込まれた諸種族が必要とするものを供給するのが、クリオをはじめとするサイリンに新たに課せられた使命でした。
しかし、結局、“種族放浪”計画は失敗に終わり、時空エンジニアは3条からなる深淵法を公布します。その第1条は、“種族放浪”を引き起こすことになる野生の力の泉を操作することを厳禁していました。ボンシンがコルツブランチの地下の野生の力の泉のエネルギーを解放したため、深淵法が犯されて“種族放浪”が発生したのは、前巻に書かれている通りです。
そして、深淵警察である駆除部隊は、大駆除者の指揮のもと、深淵法を犯したアトランたちを駆除すべく、執拗に追跡してきます。アトランは、事情を説明して誤解を解こうと、大駆除者との面談を希望し、ヴァイタル・エネルギー貯蔵庫で双方は対峙します。しかし、グレイ作用の影響を受けている駆除者たちは聞く耳を持たず、アトランたちはヴァイタル・エネルギーの流れに身を投じて、ヴァジェンダへ向かう決心をするのでした。

「サイコフロスト」(トーマス・ツィーグラー):銀河イーストサイドでフェルト星系へ近づく無限アルマダを撮影しようとしていたメイセンハートのチームが乗り組む“キッシュ”は、エレメントの支配者が銀河系へ送り込んだ“冷たい群れ”の一体が入り込んだため、クルーたちはサイコフロストの初期段階、心理反復要素によって、同じ行動を繰り返していました。実は、“冷たい群れ”とは、冷気のエレメントに捕らえられてマイナス宇宙に消え去った銀河系の諸種族が、マイナス宇宙の諸法則に沿ったメタボリズムを持つよう変容したものでした。“キッシュ”に入り込んでいたのは、かつてはブルー族だったイーンでした。
フロストルービンからタウレクと共に“バジス”へ帰還したローダンは、状況を知ると、テレポーターのグッキーとラス・ツバイを連れ、“キッシュ”船内へ進入しますが、サイコフロストの心理反復要素に捕らえられてしまいます。しかし、なぜかイーンはメイセンハートのクルーとローダンたちをプラットフォームに移動させ、自らは“キッシュ”でハイパー空間へ消えます。
やがて、“キッシュ”がプリイルト星系の惑星ツュリュトに向ったことが判明し、“バジス”もそれを追います。ローダン、タウレク、グッキー、ラスのほか、ローダンの妻ゲシール、エルンスト・エラート、メイセンハート、6名のサヴァイヴァル・スペシャリストは。スペースジェット“カシミール”で、極寒惑星となってしまったツュリュトに着陸します。ツュリュトに住んでいるブルー族のハネ人20億人を救出するのが任務でしたが、群がる冷気生物のサイコフロストの影響を受け、幾度となく危地に陥り、犠牲者も出ます。全滅しないで済んだのは、“カシミール”の艦長サッチンガーが連れていた知性あるハシリゴケ(ヴィシュナ第4の災厄の際、知性ある植物に進化したもの)のクレールの能力のおかげでした。
冷気生物のリーダーは、元エルトルス人のトルムセン・ヴァリーでしたが、彼だけはマイナス宇宙へ送られる前の、過去の記憶を保持していました。クレールが遺した指示に従って、ローダンはヴァリーとコンタクトしようとします。

オススメ度:☆☆☆



プシオン・ルーレット (宇宙英雄ローダン・シリーズ615) - エルンスト・ヴルチェク, トーマス・ツィーグラー, 稲田 久美
プシオン・ルーレット (宇宙英雄ローダン・シリーズ615) - エルンスト・ヴルチェク, トーマス・ツィーグラー, 稲田 久美

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