塵よりよみがえり ☆☆☆☆

(塵よりよみがえり / レイ・ブラッドベリ / 河出文庫 2005)

ブラッドベリには珍しく、長篇です――と思ったら、純粋の長篇ではなく、彼が過去に様々な雑誌や短篇集に書いてきた“一族もの”というテーマの作品群を中心に、それらをつなぐストーリーを追加して、“一族”の年代記を創り上げたという次第。たしかに、由来を知らずに読んでいると「あれ、このエピソード、どこかで見たような・・・」という思いを何度か味わいました(「四月の魔女」のエピソードなど)。最後に解説を読んで、「ああ、そうだったのか」と納得した次第。というか、それまで“一族もの”というテーマの共通性にすら気付いていませんでした(^^;

イリノイ州北部の田舎町の郊外にある、開拓時代に建てられた屋敷には、いつしか人間ではない一族が住み着いていました。「鏡に映らない」とか「朝が来ると地下室の柩に戻って眠らなければならない」といった特色から、基本的に吸血鬼の一族と思われますが、それだけではないようです。4000年前の古代エジプトに由来を持つ“ひいが千回つくおばあちゃん”と呼ばれるミイラ、世界中のあらゆる場所に精神を飛ばして生物・無生物を問わず宿ることができる魔女セシー(「四月の魔女」の主人公ですね)、“霧と沼地の貴婦人”という通り名の吸血鬼とその夫、古代エジプトからやって来たアンデッドの猫アヌバ、幽霊ネズミのマウス、蜘蛛のアラク、煙突に住み着いた影の薄い幽霊や精霊たちなどが暮らしていました。ある日、邸の玄関に、生きた男の赤ちゃんが捨てられていました。男の子はティモシーと名付けられてすくすくと育ち、邸で唯一の「定命の者」として、一族の歴史を書き記す役目を与えられます。
万聖節前夜(平たく言えばハロウィン)になると、一族の親戚たちが世界中から集まってきます。「10月はたそがれの国」で「アンクル・エナー」として描かれていたアイナーおじさん(一族で唯一、翼を持っています)、悪逆王という異名を持つ邪悪で粗暴なジョンおじ、悪戯好きの従兄弟たちフィリップ、ウィリアム、ジャック――。これらの一族が、様々な騒動を巻き起こします。さらに血のつながりはなくとも同類の存在――「オリエント急行、北へ」に登場する熟年の(幽霊に「熟年」という表現は適切なのかわかりませんが(^^;)男女、時を遡って若返っていく少女アンジェリーナなども、一族の歴史に関わっては去っていきます。
しかし、やがて一族が暮らしていた屋敷にも破滅の時が訪れ、一族は新たな安住の地を求めて世界中へ散っていきます。そして、ティモシーはある決断を迫られることになるのでした。

オススメ度:☆☆☆☆



塵よりよみがえり (河出文庫) - レイ・ブラッドベリ, 中村 融
塵よりよみがえり (河出文庫) - レイ・ブラッドベリ, 中村 融

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