シャツェンの博物館 ☆☆☆☆

(シャツェンの博物館 / クルト・マール / ハヤカワ文庫SF 2020)

『ペリー・ローダン・シリーズ』の第613巻です。第610巻前半のエピソード「つむじ風ミュータント」の続きで、深淵でのアトラン、サリクらの苦闘が描かれ、マールが2話続けて書いています。

「ホルトの聖櫃」:「つむじ風ミュータント」で、グレイ領主ムータンのゴンドラの一つを奪ったアトラン、ジェン・サリク、テングリ・レトス=テラクドシャン、ハルト人ドモ・ソクラト、アバカー族の少年ボンシンの5人は、味方と情報を求めて、ムータンの領土に隣接したシャツェンを目指していました。シャツェンには、時空エンジニアたちが残した超科学の機械類が保存されている博物館や資料館が点在していますが、一方で、領土拡大を狙うムータンの侵略目標になっていました。最初の目標は、ムータンとの境界に近いコロニーのコルトブランチで、ここは過去にドモ・ソクラトが設置したものでした。
一行が乗ったゴンドラは、ムータンが送り込んだ兵士たちが乗るレトルト浮遊生物ラタンの群の追跡を何とか振り切って、シャツェンとの境界に達しますが、ゴンドラが飛行できるのはグレイ効果があるムータンの領土上空のみだたっため、墜落してしまいます。ジャングルを抜けてコルトブランチを目指す一行ですが、ムータンはコルトブランチ攻略のため予め送り込んであったラタンと兵士たちの襲撃を受けます。ムータン軍の動きは、ドモ・ソクラト不在の間、コルトブランチの責任者を代行しているティジドのフォネハーも把握していました。援軍を出そうとしたフォネハーの前に、ボンシンのテレポーテーションでドモ・ソクラトら5人が現れます。グレイ効果を伴って押し寄せるムータン軍をなんとか撃退したアトランは、最も近い博物館へ向かいます。
アトランらが目指したのは、保管係グルシュウ=ナスヴェドビン(二つの動植物種族が共生する知性体です)が管理するリング博物館でした。ところが、この博物館では、かつて衝動洗濯中のソクラトが大混乱を引き起こしたことがあり、ハルト人はお尋ね者扱いになっていたのです。素知らぬ顔でドモ・ソクラト以下の面々を迎え入れたグルシュウ=ナスヴェドビンは、一行を罠にかけて捕え、博物館で最も貴重な収蔵品である“ホルトの聖櫃”の前で、裁判にかけようとします。ところが、聖櫃はアトランらを深淵の騎士だと認め、事態は一変します。

「シャツェンの博物館」:ついに、シャツェン征服に向けたムータン軍の総攻撃が始まります。攻撃に先立ち、領主ムータンは様々な手段を講じていました。昆虫のような大きさのスパイ生物が飛び回り、地下ではヴァイタル・エネルギーの流れを阻止するヴァイタル破壊者が活動しています。そのために断続的にグレイ効果が現れ、もともと平和的で戦いを好まない博物館の保管者たちは、決断できず右往左往するばかり――アトランの説得も、功を奏しません。しかし、時空エンジニアが残した超兵器が博物館に所蔵されていることを知ったアトランは、超兵器を使ってムータン軍を迎え撃つことにします。
一方、領主ムータンから現場指揮を任されたティジドのナーヴリドは、自分の権限を拡大解釈し、独断専行で行動しようとしていました。グレイ領土から持ち込んだ貴重なグレイ生成器を駆使し、一気に勝負をつけようとします。しかし、アトランとサリク、ドモ・ソクラトが前線を攪乱している間に、中央博物館では、時空エンジニアが設定した防御フィールドをボンシンが超能力で無力化し、超兵器が使用可能となります。レトス・テラクドシャンはグレイ生成器を破壊し、ティジドの野望を粉砕します。
アトランらは、時空エンジニアの秘密が隠されている中央博物館へ向かい、サイモン・ライトのような(笑)ホルトの聖櫃もボンシンに抱えられて同行します。中央博物館の保管者ヘナー=バクは直ちに深淵の騎士の権威を認め、博物館を包囲するムータン軍と、じわじわと広がりつつあるグレイ作用の脅威を語ります。アトランらは、地上の戦いは保管者に任せ、ヴァイタル・エネルギー貯蔵庫を疲弊させているヴァイタル破壊者を排除すべく地下へ向かいます。そこには、領主ムータン自身が待ち構えていました。

オススメ度:☆☆☆☆


シャツェンの博物館 (宇宙英雄ローダン・シリーズ613) - クルト・マール, 若松 宣子
シャツェンの博物館 (宇宙英雄ローダン・シリーズ613) - クルト・マール, 若松 宣子

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