世界の怪奇 ☆☆

(世界の怪奇 / 庄司 浅水 / 現代教養文庫 1975)

現代教養文庫版『奇談』シリーズの1冊。
タイトルから明らかなように、世界で発生した(とされる)超自然の怪奇現象を紹介する内容です。刊行されたのが1975年で、それよりも前に取材したネタが使用されているため、コリン・ウィルソンの「世界不思議百科」や、海外オカルト本の古典とも言える「フェノメナ」、フランク・エドワーズの著書(角川文庫「超自然の謎」「四次元の謎」など)で取り上げられている怪現象との重複も、かなりあります。逆に言えば、当時メジャーだった(笑)怪現象が多く取り上げられているわけですね。もちろん、その後、解明されたり捏造だと判明したりした事件も紹介されていますが、それは仕方のないこと。他のシリーズと同様、著者の庄司さんは中立的な立場で、時にはツッコミを入れつつ、「こんな話があるのだが、真相はどうなのだろう」と各事案を冷静に扱っています。
テーマごとに13章に分かれていますので、その内容を紹介しておきましょう。

1.メァリー・セレスト号のなぞ:ほぼ、当時流布していた内容(誤った情報も混じっています)を、そのまま掲載していますが、乗員がすべていなくなった理由として「麦角菌中毒による幻覚と錯乱」を挙げています。この説を唱えたのは、イギリスの科学評論家(現在ではSF作家として知られていますが)E・F・ラッセルだというのが、興味深いところです。

2.ワラター号の謎:旧日本海軍の軍艦"畝傍"をはじめ、世界中の海で行方不明になった艦船に言及するとともに、それの代表的海域と言える「バミューダ三角海域」を中心に紹介しています。バーリッツの「謎のバミューダ海域」が主な情報ソースですが、懐疑派であるクシュの労作(角川文庫「魔の三角海域」)についても好意的に紹介するなど、バランスが取れています。

3.消え失せた密使:19世紀初頭、英国の若き外交官バサーストは、密命を帯びてウィーンへ派遣されましたが、不可解な状況の下で疾走してしまいます。これ以外にも、いわゆる「神かくし」に事例として、有名な(?)デヴィッド・ラング事件など数例を紹介しています。

4.吹雪の夜の出来事:いわゆる、自身のドッペルゲンガーと遭遇した人々の事件を紹介しています。

5.正夢:タイトルの通り、夢が正夢となった例として、スコットランドのポルテウス夫人がたびたび夢に見た内容(出征して戦地にいる夫、ポルテウス大尉の動向)が、後に事実だったと判明した事件を紹介しています。

6.フォックス姉妹とハイズヴィル事件:フォックス姉妹による霊との通信は、スピリチュアリズム全盛の中でセンセーショナルに扱われましたが、後に姉妹の告白によりインチキだったと判明しました。しかし、すべてが偽りだったのか、疑問を呈しています。

7.超自然現象の総本山リリー・デール:この章の内容は、初めて知りました。アメリカの降霊術の中心になっているのは、ニューヨーク州のリリー・デールという村なのだそうです。アメリカ版イタコが多数住んでいるそうで、庄司さんは日本の恐山になぞらえています。

8.超自然現象のいろいろ(一):ポルターガイスト、テレポーテーション、千里眼などのエピソード。

9.超自然現象のいろいろ(二):超能力者か霊媒か、D・D・ホームとユーサビア・パラディーノが紹介されています。

10.ひとりで動き出す棺:有名な「バルバドスの動く棺桶」事件を紹介。不思議な現象だとコメントした後、他の場所でもたびたび発生しており、それほど珍しい現象ではない、と注記があります。

11.自然発火による殺人:これも有名な「人体自然発火現象」のエピソードをいくつか紹介していますが、「結局、何が原因かわからない」という結論になっています。

12.怪奇三題:カリフォルニアの砂漠に描かれた巨大な女性の絵(なぜか本書では、ナスカの地上絵は扱われていません)、アイルランドの墓地に現れる若い花嫁の幽霊(この霊に口づけされた男は、直後に必ず死ぬそうです)、ネズミが大量に逃げ出すたびに不幸が起きるアメリカの不思議な住宅。

13.ふたたび生まれ変った人たち:いわゆる「生まれ変り」――前世の記憶を持って生まれた人々のエピソードを紹介します。

オススメ度:☆☆


世界の怪奇 (1975年) (現代教養文庫)
世界の怪奇 (1975年) (現代教養文庫)

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