白墨の男 ☆☆☆

(白墨の男 / カトリーヌ・アルレー / 創元推理文庫 1982)

アルレーの異色作です。タイトルの「白墨の男」とは、事故や犯罪の現場で被害者の倒れていた状況を表すために白墨で描かれた人間の輪郭のことです。つまり、「中身がない」人間という意味です。途中で主人公が犯罪に巻き込まれるエピソードがありますから、ジャンルは「ミステリ」としていいのですが(当時の文庫のジャンル分けは、「サスペンス」を示す猫マーク)、本質的にはロマンスでしょう。

43歳になるオールドミスの売れない女流作家イリスは、意中の男性との恋にも破れ、人生に疲れてしまい、この世に別れを告げるつもりで当てもなくアウディを走らせていました。気まぐれでヒッチハイクの若者、22歳の医学生アルフレッド(通称ドゥドゥー)を車に乗せますが、なんとドゥドゥーはイリス以上に具体的な自殺願望の持ち主でした。ドゥドゥーの提案で、ふたりは3日間を自由気ままに過ごし、それが過ぎたら死を迎えようという了解に至ります。
ドゥドゥーの希望で田舎暮らしをしている彼の祖母を訪ねたり、自由気ままに旅しているロシア人のカメラマンを同乗させたりした後、ふたりは食事をするため、とある町のレストランに乗りつけます。ところが、ホテルの正面の銀行が強盗に襲われ、行き掛かり上、ふたりは逃亡する銀行強盗の一味が乗ったプジョーを追跡することになってしまいます。農地を越え、石切り場に一味を追い詰めたドゥドゥーは、現場に止まっていた重機を運転して強盗団を行動不能にし、追いついてきた憲兵隊に引き渡します。
一躍、ヒーロー(およびヒロイン)になってしまったイリスとドゥドゥーは、町長や銀行の幹部などから大歓迎を受け、一晩中、ディナーやパーティーに引き回されて、へとへとになってしまいます。疲れ切ってホテルに落ちついた二人ですが、シャワーを浴びたまま全裸でベッドで寝てしまったイリスの身体を見てしまったドゥドゥーは、手を出さずにはいられず、二人は男女の関係になってしまいます。
その後、本心では死ぬかどうか迷いながらも、意地で初志貫徹しようとする二人は、肉体に重度の障害を持ちながらパラリンピックのスキーの名選手として活躍するマチアスと出会い、さらに動揺します。さらに、映画を撮っている若きポーランド人女性ミーナと出会い、ドゥドゥーが彼女に惹かれていることに気付いたイリスは、身を引いて、ひとり消えて行こうと考えますが――。

オススメ度:☆☆☆


白墨の男 (創元推理文庫 (140‐19))
白墨の男 (創元推理文庫 (140‐19))

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント