アルカイック・ステイツ ☆☆☆☆

(アルカイック・ステイツ / 大原 まり子 / ハヤカワ文庫JA 2000)

コンパクトで、しかも壮大なワイドスクリーン・バロックです(解説によれば、ヴォークトの「武器製造業者」をイメージしているとか)。
舞台は28世紀。この時代、太陽系は3つの強大な勢力が拮抗し、微妙なバランスの上に力関係が成り立っていました。
一つは、人類文明を代表する、遺伝子改変された巫女である女王アグノーシアが支配するジェネラル・アグノーシア、一つは銀河系を跋扈する各異星文明――宙行種族の調停機関が太陽系及び人類文明と交流する(?)ために設置された権威評議会で、最高評議員カルヴァンと8人の人類代表、4体の異星種族代表の合議制によって運営されています。残りの一つ、最も異色な勢力は、前世紀に太陽系に重なるように出現した異質の文明――古代銀河帝国の蜃気楼(ローダン・シリーズでいえばプロジェクションでしょうか)、アルカイック・ステイツ(通称ステイツ)でした。ステイツは太陽系の各惑星上に出先機関である様々な“館”(常に千変万化し、確定した実体を持ちません)を出現させ、運よく(ステイツの建物に入り込むには、一度死ななければなりません)足を踏み入れた者に奇跡的な超科学の産物をもたらすのでした。
ある晩、アグノーシアの遺伝子上の姉であるアヴァターが、テロリストの襲撃を受け、細胞レベルまで粉砕されてしまいます’(ただし、死んだわけではありません)。犯行を行い、粉砕されたアヴァターの細胞群を持ち去ったのは、政府転覆をたくらむ過激な革命家エマニエル・スラウチでしたが、彼はステイツの“館”に出入りして、人知を超えた作用を持つ超兵器をいくつも入手していました。火星へ逃亡したスラウチは、細胞レベルに分解されても生きながら得ているアヴァターと合法的に結婚し、アヴァターの配偶者として、アグノーシアが姉アヴァターの権利を侵害していると告発し、本来ジェネラルとなるべきアヴァターの地位の回復(同時にアグノーシアの退位)を要求して裁判を起こす正当な権利を手に入れます。
事態を重く見たアグノーシアは、権威評議会が基地としている人工惑星ベース・アルファを自ら訪れて、協力を求めます。評議員のひとりトラントは過去に(今回も)アグノーシアと深い関係だったことがあり、評議会がアグノーシアの提案を受け入れるべく画策しますが、カルヴァンを筆頭とする反対派の意見を覆すことはできませんでした。トラントの子供を身ごもったアグノーシアは、自ら被告兼弁護人として、スラウチとアヴァターの夫妻から提訴された裁判に臨みますが、スラウチがステイツの超悪趣味なスカトロ兵器(笑)を使用したため、混乱のうちに閉廷となります。
この頃から、世界各地で異変が発生し始めます。時間流や次元の壁が乱れ始め、過去と未来が交錯し、貨幣経済は崩壊します。ステイツの謎めいたパワーが介入しているようでしたが、おかげで人類は、原始的欲望をむき出しにして、わずかな食べ物を求めて殺し合う弱肉強食の世界に生きることになってしまいます。そんな中、何人ものアグノーシアが世界各地に出没し(まだお腹が目立たなかったり、臨月に近かったり、いろいろです)、事態の収拾を図ります。混乱に乗じて太陽系を併合しようとした権威評議会のカルヴァンを斃し、ステイツの代表者(というよりも、実際には走狗に成り下がっています)となっているスラウチとアヴァターを見つけて、ステイツと協定を結ぶべく、直談判に向かいます。
そして、アグノーシアが出産を迎えたとき、もたらされた新たな秩序とは――。

オススメ度:☆☆☆☆


アルカイック・ステイツ (ハヤカワ文庫JA)
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