東日流妖異変 ☆☆☆☆

(東日流妖異変 / 篠田 真由美 / 祥伝社文庫 2005)

本格ヴァンパイア伝奇ホラー『龍の黙示録』シリーズの第2巻です。第1巻を読んでから、まる7年が経過していました(汗)。第1巻の細かなストーリーはほとんど忘れていましたが、ストーリー自体は独立していますし、背景となる世界観やおおまかな設定については今回も説明がありますので、大きな問題はありません(詳細は、第1巻の記事をご覧ください)。もちろん、順番に読むに越したことはありません。

タイトルから(わかる人には)おわかりのように、今回の舞台は東北、青森県の秘境(?)です(「東日流」は「つがる」と読みます。古史古伝に関心がある人には常識ですが(^^;)。
キリストの血を受け、2000年にわたって生き続けている美青年ヴァンパイア、龍緋比古は、現在は著述家として幻想怪奇文学や美術評論などを書いていますが、その一方、オカルト雑誌にもユニークな視点から超常現象や超古代史を論じるコラムも持っています。ある日、緋比古のもとへ届いた手紙の中に、オカルト雑誌アトランティード(明らかにモデルはG社のM)の読者である青森県在住の女子高生からのものがありました。そのを読んだ緋比古は、秘書の柚ノ木透子、メイドのライラ(美少女の時はライラ、美少年の時はライル、その正体は豹のような四足獣)に短い置手紙を残して、姿をくらましてしまいます。
透子とライラは、アトランティードの特集記事「キリストは日本で死んだ」を手掛かりに、キリストの墓があるという青森県新郷村に向かいます。雑誌の編集者から、奇妙な中年男が緋比古の住所をしつこく知ろうとしていたと聞いたのも無気味でした。新郷村へ着いてみれば、そこは単なる観光地で、神秘性などかけらもありませんでした。しかし、ライラが怪しい中年男を発見し(どうやらアトランティードの編集者が言っていた男らしい)、二人はレンタカーで男を追います。ようやく追いついた山奥で、男は粘液の塊のような“人間ではないもの”に変身し、ふたりは危地に陥りますが、突然現れた男の子(推定年齢7~8歳)に救われます。人間離れした能力を持つらしい男の子(於兎[オットー]と名乗ります)に連れられ、二人が訪れたのは、26代にわたって続く青森の名家・来往家の本家でした。
一方、緋比古は、手紙をよこした女子高生・石塔小矢が住む石塔村を訪れ、小矢の話を聞いていました。小矢は村の名家・石塔家本家の孫娘で、石塔家は“御還り様”と呼ばれる村の守り神を代々祀っています。現在の祭主は小矢の曾祖母、大刀自の律が務めていますが、100歳を遥かに越えているにもかかわらず、律は70前後にしか見えません。村では10年に一度“影祭”、100年に一度“御還り祭”なる神秘的な行われ、阿藤内と呼ばれる“御還り様”には人間の生き血が捧げられるといいます。今年が100年に一度の“御還り祭”に当たっているのですが、最近になって小矢の親友・美佐子が東京の親戚に行くと言ったまま連絡を絶ってしまっています。小矢は美佐子の身を心配し、自分や石塔村自体の将来にも不安を抱いて、藁をもつかむ気持ちで緋比古に手紙を送ったのでした。祭の謎を解く手掛かりを求め、寝たきりになっている小矢の祖父が書き溜めたという「東日流妖異変」を図書館の資料室で読んでいた緋比古と小矢は、大刀自の律に似た白衣の女に襲われます。
その頃、透子とライラは、来往家の当主・泰彦から、石塔村の“御還り様”にまつわる物語と、緋比古が石塔村にいるに違いないことを聞かされていました。かつて石塔村にも分家があった来往家は、門外不出の石塔村の秘密も、ある程度はつかんでいたのです。泰彦は、「日本中央」という文字が刻まれた石碑と、遮光器土偶のような石の像を透子に見せ、ここには古代神・荒覇吐が掲げていたという「荒覇吐の剣」が封印されているという仮説を告げます。そして、透子こそ、封印を解いて「荒覇吐の剣」を手にし、津軽の危機を救う存在だと語るのでした。
図書館から脱出した緋比古と小矢は、翌日の再開を約して別れますが、小矢は思いがけず美佐子からの連絡を受け、絶対に出歩かないという緋比古との約束を破って、深夜、美佐子の家に赴きます。そこに待っていたのは、美佐子の父親の遺体と、吸血鬼と化してしまった美佐子でした。異変を察知した緋比古は美佐子の家に向かい、美佐子に安息をもたらすことには成功しますが、小矢はどこかへ連れ去られていました。石塔家本家に正面から乗り込んだ緋比古ですが、あっさりと律の妖力に体の自由を奪われ、牢獄に閉じ込められてしまいます。そこで初めて緋比古は、100年に一度、地上に現れた“御還り様”と対面するのでした。
来往家で一夜を明かした透子は、前夜の泰彦の話を信じられないでいましたが、新郷村で自分たちを襲った粘液状の化物が数体で来往家を襲ったとき、オットーや泰彦の願いに応えて「荒覇吐の剣」を手にし、化物を退治します。こうして、津軽を救う女神と化した透子は、なかばやけくそで(笑)、オットーとライラを引き連れ、汚染された森のあちこちを浄化しながら石塔村へ向かって進んでいきます。
石塔村では“御還り祭”(早い話が、“御還り様”に血を捧げる乙女を選び出す儀式)の準備が整い、“御還り様”を信じない村の“異端者”は、すべて抹殺されています。“御還り様”が座乗した山車が村を練り歩き、まさに血の祭典とでも呼べる狂乱が繰り広げられる中、山車の前に龍緋比古が立ちはだかります。そして、背後の山からは、ウィレン越えを敢行したスカール軍のごとく(例えがマイナーで、すみません(^^;)、「荒覇吐の剣」を手にした透子、オットーとライラが駆けつけてきます。2000年前に日本へ渡って来た“御還り様”と緋比古との対決の行方は――。

オススメ度:☆☆☆☆


東日流妖異変 (祥伝社文庫―竜の黙示録)
東日流妖異変 (祥伝社文庫―竜の黙示録)

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