盗品つき魔法旅行! ☆☆☆

(盗品つき魔法旅行! / ロバート・アスプリン / ハヤカワ文庫FT 2000)

ユーモア・ファンタジー『マジカルランド』シリーズの第3巻です。
前巻で、どうにかこうにかクラー次元のポッシルトゥム王国の宮廷魔術師の地位に就いたスキーヴは、今日も師匠の魔物(天冴鬼)オゥズの下で魔法の修業に励んでいますが、お色気が服を着て(しかも服はほんのわずか(^^;)歩いているようなタンダの誘いで、異次元旅行に旅立つことになります。タンダが拒否したため、オゥズは同行しません――なぜかと言えば、タンダはオゥズの誕生日プレゼントとして、なにか珍しいものを探そうとしていたからです。
こうして、珍品が見つかりそうな辺鄙な次元を旅しているうちに、飢え死にしそうになったスキーヴ(なにせ、そういった次元の食べ物ときたら、まともな人間が受け付けるようなものではありません――タンダは平気でナメクジやらミミズやらを生でがっついていますが)の訴えを聞いて、タンダは人間らしい食べ物がある“偏人”の次元ジャークへ移動します。そこの住人はヒューマノイドでしたが、“偏人”という名のとおり、背が高すぎたり小さすぎたり、太り過ぎていたり痩せっぽちだったり、不細工すぎたりイケメン過ぎたり――かどうかはわかりませんが、とにかく偏っています(半村良さんの小説に、どこからどう見ても平均的な阿部玲二[アベレージ]というキャラクターが出てきましたが、それの逆ですね)。そんな住民たちがお祭り騒ぎをしているのは、どうやらライバルの都市との間で行われる年に一度の“大一番”に勝利したためのようでした。そして、彼らが引き回しているトロフィーときたら、四本足の金ぴかの巨大ヒキガエルの背中で二人の偏人がなまめかしく絡み合っているという代物。ところが、それを見たタンダは、これこそオゥズへのプレゼントにぴったりだと決めつけてしまいます。当然、都市の貴重な宝物ですから、非合法な手段で盗み出すしかありません。スキーヴとタンダは夜中に保管場所へ忍び込みますが、すでにトロフィーは失くなっており、タンダは駆けつけた警備員に捕まり、スキーヴは次元跳躍機で一人逃げ帰ることになってしまいます。
スキーヴから事情(プレゼントの件だけは秘密)を聞いたオゥズは、タンダを助け出すためにスキーヴと共にジャークへ赴きます。住民のひとりグリフィン青年を道連れにした(脅して同行させた、とも言う)オゥズとスキーヴは、まずジャークの情報収集にいそしみます。タンダが捕まった都市タ・ホーは、5年ぶりにライバルのヴェイガスに“大一番”で勝利したわけですが、肝心のトロフィーがヴェイガスの工作員に奪還されてしまい(タンダとスキーヴが忍び込んだ時、トロフィーが失くなっていたのは、そういう事情でした)、両都市の間で戦争が勃発しそうになっていると言います。抜け目のないオゥズは、タ・ホーは魔法使いを雇う気はないかと持ち掛けますが、すでにタ・ホーにもヴェイガスにも魔法使いがいることが判明します。おまけに、タ・ホーの魔法使いは、ヴェイガスが送り込んだ魔物(つまりタンダのこと)を捕らえているといいます。
タ・ホーに雇われている魔法使いというのは、なんと第1巻で出会った魔狩人クィグリーでした。ともかくタンダ(睡眠の術をかけられて眠り続けています)の身の安全を確認したふたりは、今度はヴェイガスに敵情視察に赴き、人間山脈のような肥満体の女魔術師マッシャと対面します。口八丁で自分たちは味方だとマッシャに思い込ませたオゥズは、トロフィーの保管場所を聞き出すと、衆人環視の中、巧妙な手段でトロフィーを盗み出し、タ・ホーとヴェイガスそれぞれの都市の代表との交渉に臨みます。そして、すったもんだの末、両都市の代表チームとオゥズのチームと三つ巴で“大一番”の競技を行い、勝利者が文句なしにトロフィーを手に入れることを取り決めます。
“大一番”の競技は、1チーム5人で行うラグビーかハンドボールのような球技で、ボールを相手チームのゴールに入れれば1点が入ります。キャプテンは動物に騎乗し、メンバーはゴールキーパー、ディフェンス、オフェンスなどの役割に分かれます。さっそく、他のメンバー3人を探しにディーヴァ次元のバザールに向かうスキーヴとオゥズですが、“大一番”は荒っぽい競技で、死者や重傷者が何人も出るのが当り前という事実は知りませんでした。ともかくも、前作でも活躍したガーゴイルのガスと、たまたまガスの店に来ていたタンダの兄、トロールのチャムリィの2名をスカウトして、いったんクラー次元へ戻ります。そして、スキーヴの騎乗用に(不本意ながら)ドラゴンのギャオン、最後のメンバーとしてポッシルトゥムのバダックス将軍を仲間にすると、ジャークの競技場へ向かいます。
競技の開始前、グリフィンから、タ・ホーとヴェイガスのチームが連合してスキーヴのチームを潰しにかかってくることを知らされたり、魔女マッシャがバダックスに一目惚れしてモーションをかけてきたり、賭けで一儲けを狙う悪魔たちが客席に大量に紛れ込んでいることが判明したり、相手チームのキャプテンが騎乗する獣がとんでもないヤツだったり、不安要素がてんこもりで競技は始まります。不慣れなせいで、序盤は得点を決められてしまったスキーヴのチームですが、慣れてきたギャオンの活躍、スキーヴの適切な魔法などで盛り返していきますが、追い詰められたスキーヴを救おうとしたオゥズが重傷を負い、戦線離脱を余儀なくされてしまいます。補充メンバーがいない以上、棄権による敗北となってしまいますが、会場には、もうひとり魔物が控えて(?)いました……。

オススメ度:☆☆☆




盗品つき魔法旅行!―マジカルランド (ハヤカワ文庫FT)
早川書房
ロバート アスプリン

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