夢探偵 ☆☆☆

(夢探偵 / 石川 喬司 / 講談社文庫 1981)

副題が「SF&ミステリー百科」となっていますが、1975~6年に、雑誌「平凡パンチ」に連載された、ミステリとSFを紹介するコラムをまとめたもの。著者の石川喬司さんは、昭和後期を中心に活躍したSF作家・評論家、競馬評論家として知られています(平成に入ってからは、あまり名前を聞きませんが)。本書は、かなりマニアックな分野にも踏み込んでいますが、連載された媒体が媒体なだけに(高度成長時代のサラリーマン男性を読者層とした週刊誌です。小学生時代、父の机で見つけて初めて「女性のヌードグラビア」を目にしたのも「平凡パンチ」でした(^^;)、エッチな(←昭和の死語?)テーマやタイトルが頻繁に取り上げられています。
自分にとって、ミステリとSFの世界へ誘ってくれた書物は、「世界の名探偵50人」(藤原宰太郎)と「新版・SFの世界」(福島正実)なのですが、この2冊のダイジェスト版として、コンパクトにまとまっています(上記の事情から、お色気方面に偏っているのは、ご愛敬)。1テーマが文庫本で10~15ページ程度のため、さくさく読み進めることができます。ただし、書かれた時代が時代ですから、ジャンルすら確立していなかった「ホラー」や「ファンタジー」といったテーマはまったく扱われていませんし、SF分野のトレンドは「ニューウェーブ」までで「サイバーパンク」などは欠片も出てきません(当たり前)。ミステリに関しても、日本における“新本格”の勃興などは、希望を含めて予測すらされていません。
また、取り上げたテーマの代表作として紹介されている作品のネタバレがかなり多く(本人も承知の上で、かなり気にしているようではありますが、言い訳をしながら堂々とネタバレさせています)、「Yの悲劇」や「アクロイド殺し」などは許容範囲で踏みとどまっていますが、「黄色い部屋の謎」は完全にトリックのネタバラシをしていますし、SFでも「幼年期の終わり」や「冷たい方程式」は結末までバラしてしまっています。紹介されている作品の7割がたは既読でしたので、あまりネタバレは気になりませんでしたが、ミステリ/SF初心者の方は、気を付けたほうがいいです(自分も、未読の作品いくつかの記事は、読まずにスルーしました(^^;)。
改めて入門書として読むには古すぎますが、古参のSFファン、ミステリファンにとっては、当時のトレンドを懐かしみながらページを繰るのも一興かもしれません。

オススメ度:☆☆☆




夢探偵―SF&ミステリー百科 (講談社文庫)
講談社
石川 喬司

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