銀狼の花嫁 ☆☆☆☆

(銀狼の花嫁 / デイヴィッド&リー・エディングズ / ハヤカワ文庫FT 2005)

『ベルガリアード物語』、『マロリオン物語』の前史をなす『魔術師ベルガラス』3部作の第1部です。3部作とは言っても、分厚い1冊の原書を邦訳版では3分冊で刊行しているわけで、姉妹篇の『女魔術師ポルガラ』も同じように3分冊でハヤカワ文庫FTから刊行されています(いずれ登場)。なお、物語上の時代は『ベルガリアード物語』、『マロリオン物語』に先立つ数千年ですが、小説として書かれたのは両シリーズの後ですので、当然ながら両シリーズのネタバレが(微妙ですが)出てきます。従って、両シリーズを先に読んでおくほうが無難ですし、物語の背景も理解しやすくなりますので、『ベルガリアード物語』、『マロリオン物語』(どちらもハヤカワ文庫FTから5巻本で新版が出ています。ちなみに『マロリオン物語』の旧版は全10巻でした。表紙のカラーイラストが倍見られてお得?(^^;)を片付けてから、こちらのシリーズに取り組みましょう。
また、本作から、作者名が単独のデイヴィッド・エディングズからデイヴィッド&リー・エディングズに変わっています。リーはデイヴィッドの奥様で、ふたりは最初から合作をしていたのですが、出版社の指示により筆名はこれまで夫単独だったのだとか――本作から、ようやく解禁(?)されたようです。全作品を通じて、女性キャラクター造形はは奥様のリーが担当していたそうで、ポルガラをはじめとする女性陣の生き生きした姿も、そういうことかとうなづけます。また、お二人はそれぞれベルガラスとポルガラに最もキャラクターが近いそうです(笑)。

物語は、『マロリオン物語』のラストシーンの直後から始まります。世界が平和を取り戻した後、暖炉を前にくつろいだベルガラスが、ガリオンとダーニクにせがまれ、5000年にわたる自分の半生(?)と、神々と世界の関わりと歴史について語り始めるのでした……。
世界の大地が、まだ現在とは異なる様相だったころ、ガラという村で生まれた男の子は、父親の顔も名も知らず、母親もすぐに亡くなったため、みなしごとなり、村人たちに養われていました。本名もわからず、村の名にちなんだガラスという通り名が、そのまま自分の名前として定着しました。思春期に差し掛かったころ、ガラスは村の長老の娘とスキャンダルを起こしたため、村を出奔してしまいます。足の向くまま西へ向かったガラスは、古ぼけた荷馬車を操る人の好さそうな老人と出会い、しばらく共に旅を続けます。老人は行く先々の土地の習慣や文化などについて教えてくれましたが、やがて唐突に別れを切り出し、ガラスはひとり西に向かって旅を続けます。秋の終わりに、老人ばかりが暮らす村へたどり着いたガラスは、そこでひと冬を過ごし、春先に旅を再開します。西に進み、肥沃な谷を見つけたガラスは、ここで時を忘れて過ごし、いつの間にか次の冬が訪れます。雪に降り込められ、凍え死にそうになっていたガラスは、姿なき声に導かれて岩造りの塔に入り込み、温かな食事と柔らかなベッドにありつきます。
こうして“師”の塔に住み着いたガラスは、“師”の指示に従って様々な作業や勉強にいそしみ、ついに大きな岩を思考の力だけで動かせる能力を身につけます(正確には、自分の中に眠っていた能力を目覚めさせます)。この時点で、“師”は一番弟子であるガラス少年にベルガラスという名を与え、自分の正体を明かします――“師”は、神々の中で最も年長で力あるアルダーでした(もちろん、ガラスが出会った荷馬車の老人はアルダーでした(^^;)。
ベルガラスの最初の仕事は、アルダーと共にプロルグを訪れ、ウル神に面会することでした。会談のテーマは、アルダーが観察を続けている“珠”に関することでしたが、まだベルガラスは、自分の運命が石とどのように関わることになるのか、知りませんでした。
ベルガラスが名前を授けられて500年後、アルダーに導かれた様々な出自の人々が谷を訪れてきます。口喧しいアレンディア人のゼダー(後のベルゼダー)、アローン人の双子の羊飼いキラとティラ(後のベルキラとベルティラ)、生意気なメルセネ人のマコー(後のベルマコー)、不幸な生い立ちのアンガラク人サンバー(後のベルサンバー)、類人猿のように粗雑な外見と言動をしますが鋭い知性の持ち主ディン(後のベルディン)が、アルダーの弟子として、ベルガラスと共に谷での生活を始めます。やがて、7人の弟子はそれぞれ自分の塔を建てて暮らし始め、アルダーの指示を受けて、務めを果たすために世界各地へ出かけていくようになります。動物に変身する技術を会得したベルディンから教えを受けたベルガラスも、ぎこちないながら(笑)動物に変身できるようになり、旅をする際、時間の節約や気晴らしのため、鳥や狼に変身するようになります。
あるとき、ベルゼダーに問いかけられたアルダーは、“珠”が世界の運命を左右するものだと語ります。そしてその直後、谷を訪れた竜神トラクはアルダーを打擲して“珠”を奪い去ってしまいます。アルダーは、トラクが“珠”を使って世界を破壊するのを防ぐために、他の神々に協力を仰ぐことを決め、弟子たちを伝令として世界各地の神々のもとへ送り出します。熊神ベラーを訪ねて北へ向かったベルガラスは、狼に変身して疾駆中、魅力的な(笑)雌狼に出会い、道連れとなります。結局、雌狼はベルガラスの正体を知ってからも、つかず離れず一緒に旅を続け、ついに谷間でついてきてしまいます。同盟する神々を崇拝する人々は、トラクが支配するアンガラク人の国に攻め込み、トラクの立てこもる城砦に迫ります。形成を逆転させようと“珠”を使おうとしたトラクは、“珠”の力を暴走させて世界を引き裂いてしまいますが、永遠の炎に片目を焼かれ続ける運命に見舞われます。アルダー神は新たな大地を浮かび上がらせ、激減した人々のための新たな土地とするのでした。
アルダーは弟子たちに、この先も“珠”をめぐる争いが起きるが、その試練を乗り越えるために必要な準備を世界に整えさせる必要があると説明し、新たな使命を与えて世界各地へ送り出します。トラクが潜伏するマロリーにはベルディンとベルゼダーが探索に向かい、ベルガラスの旅には例の雌狼が付き従っていました。あるとき、谷に戻ったベルガラスは、谷の入り口に小屋に住むポレドラという女性と知り合い、いつのまにか塔で一緒に暮らし始めます。
弟子の中には己の使命の遠大さに耐えきれず、自らを消滅させるもののいました(ベルサンバーとベルマコー)が、ベルガラスは精力的に活動し、後のガリオンにつながる血筋を確保すべく、アローン人のもとへ赴きます。帰還後、ベルガラスはポレドラが身ごもったことを知りますが、アローンの王チェレクと3人の息子ドラス、アルガー、リヴァが谷を訪れ、マロリーへ渡る陸橋の発見を告げます。アルダーは時が至ったと判断し、トラクから“珠”を奪回すべく、3人の若者とベルガラスをマロリーへ送り込みます。ポレドラとお腹の赤ん坊を心配しながらもマロリーへ向かった別ガラスは、巧妙な作戦と運にも助けられ、“珠”を取り戻して谷へ帰還します。しかし、そこで聞かされたのは、双子の赤ん坊が無事に生まれたものの、ポレドラは難産のため死んでしまったという報せでした。

第2部「魔術師の娘」に続きます。

オススメ度:☆☆☆☆




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