熱域 ☆☆☆☆

(熱域 / 森 真沙子 / 小学館文庫 2005)

タイトルは「ヒート ゾーン」と読みます。地球温暖化と温室効果によって灼熱地獄となった大都会・東京を舞台にしたSFホラー・ミステリ(つまりジャンルミックスで、科学的・論理的に解釈すればSFミステリになるし、超自然的要素を踏まえた解釈をすればホラーにもなるという、ボーダーライン上に位置する作品)です。

語り手で主人公の千原霞は、お台場の高層ビルの最上階に居を占める気象予報会社、ウェザーリポート社に勤める28歳の女性気象予報士です。同社は24時間、気象予報専門のテレビ放送をしており、霞も自分のコーナーは持っているものの、一線級の予報士とは言えず、二軍扱いを余儀なくされています。
気象予報士として一流にのし上がりたい霞ですが、家庭に問題を抱えていました。20年前に両親が離婚しており、8年前に母親が亡くなって、母と暮らしていた弟(そのとき14歳)の晧介が一緒に暮らすようになりましたが、そのころ晧介は矯正施設に入っており、いろいろと問題を抱えていたようでした。同居するようになってからは、オートバイに凝ってレーサーを目指したものの、19歳のとき事故を起こして半年入院生活を送ってからは、生活が荒れ、ほとんど家に寄りつかないようになってしまっています。霞自身は、医師の一橋忠明と結婚していましたが、価値観の違いから1年前に別れ、マンションで一人暮らしです。
そして今、追い打ちをかけるように、父親が重い脳梗塞で入院してしまいました。おまけに晧介には、新宿近辺で続発している会社荒らしに関係していると疑われ、警察に追われているようでした。とにかく父の入院を晧介に知らせようと、霞は晧介の行きつけのライブハウスや暴走族のたまり場を訪ね回り、晧介の元恋人でレディースの水森杳子や先輩格の谷口猛にも問合せますが、晧介の行方はわかりません。
すると、警察から、晧介がバイクで事故を起こしたという連絡が入ります。晧介は白バイの職務質問を受けてバイクで逃げ、猛スピードで道路わきの電柱に激突し、燃え上がったのだといいます。遺体を確認に行った霞ですが、晧介の血液型を知って愕然とします――晧介の血液型は、霞の両親からは決して生まれないはずのものでした。
晧介の事故に釈然としない霞は、自ら現場へ赴いて目撃者を探し始めます。すると、晧介を追跡していた白バイが警察発表と異なり2台いたこと、激突する前に晧介が火を噴いたように見えたことなどが、新事実として浮かび上がりますが、警察は単なる錯覚、記憶違いと断定して、取り合おうとしません。霞は、晧介を襲ったのは“人体自然発火現象”なのではないかと考え始めます。
あらためて晧介について調べ始めた霞は、谷口から、晧介がずっと清涼飲料水のモニターをしており、定期的にメーカーのアイスシャワー社による血液検査を受けていたこと、お台場の高層マンションに隠れ家のように部屋を借りていたことなどを知ります。マンションに行ってみた谷口と霞は、何者かが先に部屋を調べていた痕跡があることに気付きます。
同僚の土門のアドバイスに従って、アイスシャワー社から化学検査などを請負っていたMK科学研究所を調査してもらうため、私立探偵の黒崎に依頼します。さらに、晧介の出生の秘密を求めて、母親の実家のあった高知まで赴き、晧介が入所していた矯正施設の担当教官だった松崎にも面会しますが、重要な情報は得られませんでした。帰京すると、MK研究所の所長や晧介と一緒にモニターをしていた青年などが不審死しており、なんらかの組織が暗躍していることが霞にも感じられました。やがて、突然上京した松崎から、晧介が特異体質だったことを知らされ、その原因や、船員だった父が幼い晧介を引き取った事情もわかってきます。そして、自分が勤めるウェザーリポート社の決して表に出てこない綱淵社長がカギを握っていることを知った霞は、社長と対決すべく、決死の覚悟で行動に出ます。

オススメ度:☆☆☆☆




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