世界の秘話 ☆☆

(世界の秘話 / 庄司 浅水 / 現代教養文庫 1972)

現代教養文庫版『奇談シリーズ』の1冊です。
姉妹篇「海の奇談」に通じる海洋奇談が4篇、歴史的事実から都市伝説まで多彩なテーマが4篇、そして全体の3分の1を占める「リンカーン暗殺事件」の、合計9篇が収録されています。

「アメリカ版 港口閉鎖決死隊」:19世紀末の米西戦争の際、キューバのサンティアゴ港に集結していたスペイン艦隊の出撃を防ぐべく、老朽化した貨物船を港の出口に沈める作戦を見事に成功させた、米海軍ホブスン少将の決死の作戦行動を描きます。話の枕に日露戦争の旅順港閉鎖と軍神・広瀬中佐のエピソードを置いて比較しているのも、時代を感じさせます。

「海戦と一匹のネコ」:同じ米西戦争で、サンティアゴ港から決死の脱出を図ったセルベラ提督率いるスペイン艦隊は、アメリカ艦隊の猛攻撃の前にほぼ全滅の運命に見舞われます。旗艦マリア=テレザは米海軍に拿捕され、セルベラ提督の飼い猫もホブソン少将に保護されました。このネコは、乗艦と共に、その後も数奇な運命をたどることになります。

「海の神秘」:海に関する様々な地理的・生物学的ミステリーをいくつか紹介しています。海底の地形に、海に沈んだと言われる古代大陸(ゴンドワナ大陸よりもムー大陸のほうが現実味があると論じているのも、時代ですね)、古代魚シーラカンスの発見、サケの回遊やウナギの産卵場所の謎など。サケの回遊に関しては、あとがきで「水産会社に勤める読者から誤りを指摘する手紙が来た、として訂正しており、著者の誠意を感じます(^^

「海にまつわる奇談」:マリー=セレスト号や、行方不明になった日本の軍艦・畝傍、タイタニック号の悲劇など、船にまつわる怪談・奇談をいくつも紹介しています。

「ナポレオンを敗退させた陰の女性」:ロシアに侵攻したフランス皇帝ナポレオンは、冬将軍に敗れ去ったと言われていますが、その敗退の裏には、ナポレオンの皇后ジョセフィーヌの従姉妹で、ジョセフィーヌ以上に数奇な運命の果て、トルコ皇帝に嫁いだ女性エイメの深謀遠慮がありました。

「迷宮とミノタウロス」:クレタのミノス王が、王妃が生み落とした半牛半人の怪物ミノタウロスを、建築家ダイダロスに設計させた迷宮に閉じ込め、アテナイから貢物として送られてくる若い男女を生贄として与えていました。アテナイの王子テセウスは自ら迷宮へ入り込み、ミノス王の娘アリアドネの協力でミノタウロスを倒し、迷宮から脱出したという物語は、ギリシャ神話で有名です。トロイアの伝説を信じて発掘に成功したシュリーマンと同様、イギリス人エバンスは、この伝説を信じてクノッソスの宮殿跡を発見したのでした。

「アンコール・ワットの謎」:珍しい蝶を採集するためにカンボジアのジャングルに足を踏み入れたフランス人博物学者アンリ=ムウオは、現地人の案内人からジャングルに眠る“呪われた都”の噂を聞かされます。興味を持ったムウオは、案内人が止めるのも聞かず、奥地へ進んで、ついにアンコール・ワットの巨大遺跡を発見します。

「世界征服とユダヤ人」:いつも時代にも、フリーメイソンとユダヤ人による影の世界政府という陰謀論は、まことしやかに語られているものです。

「リンカーン暗殺事件」:リンカーンの暗殺事件には、ケネディ暗殺事件と同じくらい不可解な謎があるという話は聞いていましたが(前夜にリンカーンが見た夢など)、犯人とされている俳優ブースと、その捜索の過程にも、今に至っても解明されていない様々な謎があるようです。(ちなみに、本書が書かれたのはケネディ暗殺が起きる前)

オススメ度:☆☆





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社会思想研究会出版部
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