ランクマーの二剣士 ☆☆☆☆

(ランクマーの二剣士 / フリッツ・ライバー / 創元推理文庫 2005)

『ファファード&グレイ・マウザー』シリーズの唯一の長篇で、創元文庫版シリーズ全5巻の最終巻です。
北国出身の蛮人で大男の剣士ファファードと、都会育ちの身軽な小男の盗賊グレイ・マウザーは、数々の冒険を潜り抜けた末、久しぶりにランクマーの都へ戻ってきます。貸金を踏み倒された借金取りやら、殺された仲間の仇を討とうとする盗賊やら、捨てられた恨みを晴らそうとする女たちやらの盛大な歓迎(笑)をどうにか切り抜けたふたりは、ランクマーの君主グリプケリオの宮廷へ招かれ、新たな任務を拝命することとなります。それは、内海を渡った彼方にある“八都の国”の領主への贈り物を積んだ船団の護衛でした。
穀物を中心とした積み荷の中で異色だったのは、ランクマーの富裕な商人ヒスヴィンの美しい娘ヒスヴェットが世話をする13匹の不思議な白鼠でした。人間のように服を着て芝居をするという白鼠は、神秘的なヒスヴィン本人やエキゾチックな小間使いフリックスと同じく、船員たちの注目を集めていました。特にマウザーはヒスヴェットを気に入り、しきりに口説こうとしますが、軽くあしらわれてしまいます。
やがて、船団は濃霧に迷い込んで巨大なドラゴンに襲われたり、穀物船の一隻がネズミの大軍に襲われて沈んだり、様々な災難が降りかかってきます――二人は知りませんでしたが、これまでも“八都の国”に向かった船団は何度も行方不明になったり全滅したりしていたのでした。そして、ヒスヴェットの白ネズミたちが先頭に立って黒ネズミの大軍を操り、大混乱に陥った船団は、不意に出現したヒスヴィンの船団に拿捕されてしまいそうになります――すべては、ランクマーの支配を狙うヒスヴィンの謀でした。しかし、ドラゴンと共に現れた異世界の動物捕獲人(なぜかドイツ語をしゃべります)の介入によって、ヒスヴィン一味は逃走します――マウザーのこめかみの下に、ヒスヴェットの白ネズミが射込んだ小さな矢を残して。
無事に積み荷(の一部)を届けたふたりのうち、ファファードは“八都の国”に残って酒池肉林の日々を楽しむ一方、マウザーは船団と共にランクマーへ帰還します。マウザーは君主グリプケリオにヒスヴィン親子を告発しようと考えていたのですが(同時にヒスヴェットへの下心もありました)、ヒスヴィン親子は先手を打ってグリプケリオに取り入っており、マウザーは逆に罪を着せられそうになって、這う這うの体で退出せざるを得ませんでした。さらに、ヒスヴェットに誘われた結果、殺されそうになったマウザーは、ヒスヴィン親子の陰謀を暴く手段を求めて、魔法使い“目なき顔のシールバ”の庵を訪れます。
一方、女でしくじって“八都の国”を追われたファファードは、途中、食屍鬼の集団に襲われますが、その中のひとり、女性のクリーシュクラを気に入り(女性に対するファファードの守備範囲はとても広いのです(^^;)、命を助けて旅に同行させることにします。しかし、シールバから「ランクマーとマウザーに危機が迫っている」という伝言を受け取ったファファードは、クリーシュクラと別れ、“八都の都”で手に入れた魔法の笛を携えて、魔法使い“七つの目のニンゴブル”の洞窟へ急ぐのでした。
そのころ、ランクマーは、日ごと夜ごとに地下から出現するネズミの大軍に悩まされていました。ヒスヴィンはグリプケリオに対して、ネズミを一網打尽にする魔法を心得ているが、適切な星回りになるまで使用できないので、しばらく待つように進言しています。一方、シールバから魔法の薬を手に入れてランクマーへ舞い戻ったマウザーは、シールバに指示された通り、ネズミの大軍のただなかで薬を飲み干しますが、そうするとマウザーの体は縮んでいき、ネズミと同じ体格になってしまいます(SF作家でもあるライバーらしく、この魔法では、しっかりエネルギー保存則が考慮されており、作動する際に面白い効果が起きるのですが、それは読んでのお楽しみ)。ネズミの評議会を構成する白ネズミの一匹、グリッグを殺してグリッグに化けた(ローブを着てヴェールをかぶれば、ごまかせます)マウザーは、評議会にもぐりこんでネズミたちの(というか、ヒスヴィンの)計画を聞き出します。その後、グリッグの部屋へ戻ったマウザーは、ヒスヴェットとフリックスが、同じように魔法の薬で体を小さくし、隣室に滞在しているのを知ります。愛憎半ばする気持ちでヒスヴェットに対峙するマウザーですが、そこにヒスヴィンも現れ、いよいよ事態は緊迫します。
ニンゴブルとシールバの助けを得てランクマーへ戻ったファファードは、ニンゴブルに指示された通り、ランクマーの古き神々の廟で鐘をかき鳴らそうとしますが、すでに街中はネズミの大軍で埋め尽くされていました。ファファードの鳴らした鐘の音に従って現れた古き神々はネズミたちを追い散らしますが、ネズミの数はあまりに多すぎました。追い詰められたファファードの背後に、ずっと彼を追ってきた“黒の乗り手”(笑)が迫りますが、ファファードを襲う代わりにネズミたちを切り捨て始めます。その正体は――。そして、魔法の笛を存在を思い出したファファードが、その笛を吹き鳴らすと……。
白ネズミやヒスヴィン親子に追われ、宮廷に戻ったマウザーは、グリプケリオの眼前でヒスヴィン親子と最後の対決に臨みます。一方、街中ではファファードの笛に呼び出されたネズミの天敵の群れが、情勢を一変させていました。

オススメ度:☆☆☆☆




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