逆説の日本史9 戦国野望編 ☆☆☆☆

(逆説の日本史9 戦国野望編 / 井沢 元彦 / 小学館文庫 2005)

『逆説の日本史』シリーズの第9巻です。前巻「中世混沌編」を読んでから6年半が経ってしまいました(^^;
いよいよ、テーマは現代の日本人が最も関心を持ち、小説や映画、ドラマで扱われることが多い「戦国時代」に入ります。が、その前に2つの小テーマ――「琉球王朝」と「倭寇」について、それぞれ1章が割かれ、本巻の前半はこれらに占められています。
現在は日本の領土となっている沖縄ですが、17世紀初頭、薩摩藩が侵攻して領地とするまでは、琉球王国という独立国家でした。そして、15世紀前半に統一された後は、軍事力を背景としない海洋交易国家(その点、ヨーロッパの「大航海時代」とは性格が異なります)として、韓国・中国(明)・シャム・マラッカ王国など、東アジアから東南アジアまで交易路を広げていたのです。もっとも、これには大国・明が鎖国政策をとり、自国民に国外との交易を許さなかった、という裏事情があるそうですが。
上記の明の鎖国政策は、次のテーマである「倭寇」に関する新事実にも大きく影響しています。中学・高校の日本史では、「倭寇」とは「室町時代に中国・韓国など大陸の沿岸を荒らしまわった日本の海賊」と学びました(少なくとも、昭和の後期には)。ところが、現代の学界の通説では、「倭寇」と呼ばれた海賊のうち、8割以上を占めていたのは、14~15世紀には高麗人、16世紀には明のもぐりの交易商人(明では交易が禁じられていましたから、外国と交易をしようと思えば非合法の活動をするしかありませんでした)だというのです。これらの事実は、朝鮮や中国の史料に明確に記録されているそうです。
これに関連して、日本の種子島に鉄砲を伝えたのはポルトガル船ではない、という史実が導き出されます。確か種子島には鉄砲を持ったポルトガル人がやって来たわけですが、かれらは中国人倭寇(というのも妙な表現ですが)の頭領・王直の船に乗って来たというのです。これには、日本に鉄砲という新たな武器をもたらすことで、非合法の交易商人である中国人倭寇には、膨大な利益を生み出す商売の道が開けるという理由がありました。
後半から、いよいよ本格的な「戦国時代編」に入ります。
この時代は、伝統的な日本の文化や思想が通用しなかった、歴史上唯一の(現代日本を除いたほうがいいかもしれません(^^;)時代です。とはいえ、戦国大名のすべてが伝統無視の常識外れ(笑)だったわけではありません。しかし、天下統一を成し遂げるためには、伝統的発想を打ち破る型破りの発想が必要だったわけで、そのような思想を最初から有していた人物こそ、あの人だったわけですね。名将と言われた武田信玄も上杉謙信も、従来型の領地運営に縛られていたため、必然的に天下を取るに至らなかったということになります。
こうして織田信長に話題が移ったところで、第10巻「戦国覇王編」に続きます。

オススメ度:☆☆☆☆


逆説の日本史9 戦国野望編(小学館文庫) - 元彦, 井沢
逆説の日本史9 戦国野望編(小学館文庫) - 元彦, 井沢

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