血の三角形 ☆☆☆

(血の三角形 / 牧 逸馬 / 現代教養文庫 1975)

現代教養文庫版『世界怪奇実話』全4巻の第2巻です。これで、残るは第4巻「親分お眠り」だけとなりました。そのうち(たぶん来年くらい?)登場。
本シリーズについては、新版の傑作選である「牧逸馬の世界怪奇実話」(島田荘司さんの解説付き)の記事をご参照ください。

本書には、8つのエピソードが収められていますが、うち4篇(「血の三角形」、「運命のSOS」、「双面獣」、「土から手が」)は上記の新版にも収録されています。

「血の三角形」:ロンドンの歯科医クリッペン博士は、妻を毒殺して地下室の床に塗り込め、若い愛人を男装させて客船でアメリカへ逃亡します。クリッペン博士が、シャーロック・ホームズものの作者コナン・ドイルに毒殺トリックを提案していたというエピソードが興味深いです。

「生きている戦死者」:ハンガリーの首都ブタペストに屋敷を借り、ブリキ屋の経営者だと自称していた中年男ベラ・キスは、第一次世界大戦に従軍して戦死しますが、彼は戦前にブタペスト周辺で連続した猟奇的な連続女性暴行殺人事件の犯人でした。しかも、戦死したのは別人だったというのです……。

「カラブウ内親王殿下」:イギリスの片田舎の農家にふらりと現れた若い女性は、理解不能な言語を話しました。やがて、彼女が話している言葉はインドネシアのごく一部で使用されているものだと判明し、女性は、自分はジャワの王族の娘カラブウで、海賊に誘拐され、はるばるイギリスまで連れて来られたが、港で隙を見て逃げ出してきたの、と訴えます。不幸なカラブウ姫は、地元の有力者の家でもてなされますが――。

「運命のSOS」:かのタイタニック号の悲劇を、周辺の船舶の状況も含め、様々な角度から描いたもの。情報ソースが当時のものですから、後に誤りとわかった情報も混じっているようですが、緊迫感と臨場感は出色の出来です。

「双面獣」:7歳の女の子ドロシイが、下校途中に姿を消し、やがて性的暴行を加えられた遺体となって発見されます。周辺では、似たような事件が散発的に起きていました。聞き込みの結果、怪しい自動車と運転者が浮かびますが、作成されたモンタージュとそっくりだったのは、地元の教会で補祭を務める敬虔な信者ホテリングでした。

「土から手が」:乾いた河床から差し招くように突き出ていた手の持ち主は、仕事熱心な赤十字の看護婦でした。死因は、違法な堕胎手術の失敗によるもので、刑事たちは付近のもぐりの医師を洗い始めます。

「給仕と百万弗」:100万ドルの札束の詰まった包みを持って、少年給仕が銀行から姿を消します。警察、スクープを狙う新聞記者、現金を横取りしようとする暗黒街のチンピラなどが血眼になって給仕を探し求め、狂乱の夜は更けていきます。

「果して彼女は」:裕福なイタリア貴族ボンテルマニ伯爵が自室で撲殺され、同席していたと思われる女は姿を消していました。一見、単純に思えた事件はボローニャの市政を巻き込む一大スキャンダルに発展します。

オススメ度:☆☆☆


血の三角形 (1975年) (教養文庫―世界怪奇実話 2) - 長谷川 海太郎
血の三角形 (1975年) (教養文庫―世界怪奇実話 2) - 長谷川 海太郎

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック