動乱2100 ☆☆☆

(動乱2100 / ロバート・A・ハインライン / ハヤカワ文庫SF 1991)

「デリラと宇宙野郎たち」「地球の緑の丘」に続く、ハインライン作品集『未来史』の第3巻です。ごく初期の作品3作が収められています。

「もしこのまま続けば」:21世紀のアメリカ合衆国は、“現人神予言者”と呼ばれる宗教的指導者の独裁制の下に置かれており、庶民は厳しい戒律と圧政に苦しんでいました。陸軍士官学校を卒業したジョン・ライルは、首都ニュー・エルサレムの本部で、“予言者”の親衛隊の一員として警備の任務に就いていました。幼いころから“予言者”の宗教教育を受けて育ったライルは、当初は何の疑問も抱かずに勤務していましたが、予言者に“仕える”処女のひとり、シスター・ジュディスに出会ったことで、大きく運命が変わります。
ライルはジュディスに一目惚れしてしまい、先輩士官のゼブに相談します。そして、ジュディスが、ある目的のために“予言者”に呼ばれることを聞かされますが、それは思いもかけない事実でした。ある晩、ジュディスは予言者に召喚されますが、なんらかの不都合が起きたようで、本部のどこかに幽閉されたようでした。ジュディスが頼りにしていたシスター・マグダーリンとゼブの協力を得たライルは、ジュディスを救出して、安全な場所へ保護しようと考えます。その結果、反体制派のカバル党に身を投じることになるのでした。
カバル党は、教えられていたような悪魔崇拝主義者ではなく、現人神予言者の独裁から国民を解放しようとする革命勢力で、予想以上の力を持っていました。ライルも軍人としての経験を生かし、連絡員やスパイとして幾多の任務を重ねますが、メキシコへ逃れたというジュディスとは手紙をやり取りすることしかできません。
やがて、一気に体制を転覆させるべく、カバル党の大規模な反抗が始まり、ライルも最前線へ赴きます。
革命は成功するわけですが、最後の1行は、ある意味ホラーですな(^^;

「疎外地」:「もしこのまま続けば」の革命が成功し、アメリカは新たな自由主義国家となりましたが、その方針や思想と相容れない人々も多数いました。そういった社会的不適格者は、心理矯正を受けて体制に順応するか、国外に設けられた“疎外地”へ追放されて自由勝手に生きていくか、どちらかを選択することができます。
過激な自由主義者を気取る青年デイヴ・マッキンノンは、暴力の罪で裁判を受け、自ら疎外地行きを選びます。しかし、実際に赴いた“疎外地”は、デイヴの自惚れた世間知らずの理想主義をあっという間に粉砕してしまいました。理不尽な暴力が支配する無法地帯(法と秩序は、権力を握った悪党どもに都合よくつくられています)に放り出され、身ぐるみ剥がされたデイヴは、留置場に放り込まれます。
牢獄で知り合った盗人マギーの手引きで脱走に成功したデイヴは、マギーの仲間のところに身を寄せますが、青臭い理想主義が抜けないデイヴは、マギーのとりなしがなければ殺されていたかもしれません。ところが、秘密兵器を手に入れた疎外地の勢力が一致団結して、あちら側を侵略しようという動きが明らかになります。元いた世界のほうが好ましいと気付いたデイヴは、侵攻計画をあちら側の世界に警告しようと命がけの行動に出ます。

「不適格」:地球上で社会的に不適格だとされた青年たちは、太陽系開発の名のもと、外惑星や小惑星帯の危険な任務に駆り出されていました。そんな部隊のひとつは、小惑星帯から適切な小惑星を宇宙ステーションに改造して、軌道上へ移動させる使命を帯びていました。隊員のひとりA・J・リビイ(未来史の上では、この後に位置することになる長篇「メトセラの子ら」で、活躍します)は、宇宙酔いに苦しみ、お荷物扱いされていましたが、やがて彼の驚くべき才能が明らかとなり、プロジェクト全体を救うことになります。

オススメ度:☆☆☆


動乱2100 (ハヤカワ文庫SF―未来史3) - ロバート A. ハインライン, 矢野 徹
動乱2100 (ハヤカワ文庫SF―未来史3) - ロバート A. ハインライン, 矢野 徹

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