地球の緑の丘 ☆☆☆☆

(地球の緑の丘 / ロバート・A・ハインライン / ハヤカワ文庫SF 1986)

引き続き、『未来史』の第2巻です。第二次大戦後、ハインラインが作家生活を再開した直後の作品を中心に、11短篇が収められています。

「宇宙操縦士」:「あたしと仕事と、どっちが大切なの?」という状況は、未来でも変わりません。でも、気持ちのすれ違いから離婚の危機にあった宇宙パイロットの夫は、ある事件をきっかけに妻と和解することになります。

「鎮魂歌」:「20世紀SF]の第1巻にも収録されている名作。ストーリーの上では第1巻収録の「月を売った男」の続篇ですが、実は本作の方が先に書かれていて、その前日譚として書かれたのが「月を売った男」です。年老いて月へ行く望みを絶たれたD・D・ハリマンですが、パイロットくずれの若者ふたりを仲間にして、なんとか夢を実現しようとします。回想シーンで断片的に思い出す過去を、詳しく描いたのが「月を売った男」というわけ。

「果てしない監視」:月のミサイル基地の上司タワーズ大佐がクーデターを企てているのを知ったミサイル担当士官ジョニィは、計画を阻止すべく放射能にあふれた爆弾倉庫に立てこもります。

「坐っていてくれ、諸君」:月で地下トンネルの工事中、事故で空気漏れが発生してしまいます。床に開いてしまった親指ほどの穴をふさぐ材料としては、脂肪太りした人間の尻しかありませんでした。

「月の黒い穴」:地球から月へやって来た家族連れ4人は、月面ハイキングに参加します。年齢制限があるにもかかわらず、有力者の父がゴリ押しして、小さな弟も参加しますが、ふと目を離したすきに迷子になってしまいます。兄ショーティーも捜索隊に志願しますが……。

「帰郷」:狭苦しく娯楽も少ない月での3年間の生活に疲れたアランとジョゼフィーンの夫婦は、念願かなって、ついに故郷の地球に帰れることになります。ところが、いざ戻ってみると、すっかり勝手が違って――。

「犬の散歩も引き受けます」:ジェネラル・サービス社は、いわゆるセレブ向けの“何でも屋”で、あらゆる分野に精通したスタッフを揃え、金さえ積めば、どんな不可能に思える要望でも対応すると評判でした。ある日、政府関係の要人が、現代科学では不可能と思える難題を持ち込んできます。それは、ノーベル賞級の科学的新発見でもなければできないことでしたが、サービス社はやってのけるのでした。

「サーチライト」:月面で遭難した盲目の天才少女ピアニストを捜索するため、当局は驚くべき手段をとります。

「宇宙での試練」:ロケット事故に巻き込まれ、極度の高所恐怖症になってしまったウィリアムは、地球へ帰り、名前も変えてひっそりと暮らし始めますが、事あるごとにフラッシュバックに襲われ、苦しみは終わりません。そんな彼を救ったのは、一匹の小猫でした。

「地球の緑の丘」:宇宙の端から端まで広く知られている“地球の緑の丘”を作詞したライスリングの半生を描きます。彼は“宇宙航路の盲目詩人”という名の通り、宇宙機関士でしたが放射能事故で視力を失った後、密航を繰り返して星から星へと旅しながら、いつかは地球へ帰ろうと願っていました。しかし、密航中の機関室で事故が起き、正規の機関士は即死してしまいます。宇宙船を救えるのはライスリングだけでした。

「帝国の論理」:理想主義の正義派弁護士ウィンゲートは、酔った勢いで自説を証明するため、金星での労働契約書にサインしてしまいます。正気に戻ってから後悔しても、後の祭り。巻き込まれた友人ジョーンズは、有力者の姉に救援を求める電報を打ちますが、返事が来ないまま、ふたりは金星の資本家に売られてしまいます。宇宙船で知り合ったサッチェルとともに、農場主ヴァン・ヒューゼンに買われたウィンゲートは、奴隷も同然の生活を続けますが、ついに主人を裏切ってジャングルに脱出し、逃亡労働者たちのキャンプに潜り込みます。苦闘の末、ジョーンズの姉の助けで救出されたウィンゲートは、金星の実態を訴えようとしますが……。

オススメ度:☆☆☆☆


地球の緑の丘 (ハヤカワ文庫SF―未来史2) - ロバート・A ハインライン, 徹, 矢野
地球の緑の丘 (ハヤカワ文庫SF―未来史2) - ロバート・A ハインライン, 徹, 矢野

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