図像学入門 ☆☆☆

(図像学入門 / 荒俣 宏 / 集英社文庫 1998)

集英社文庫版『荒俣宏コレクション』の1冊。単行本として書き下ろされたものではなく、「図像」をテーマに様々な雑誌(それも一般誌というより、マニアックな専門誌)に掲載された記事を集めたもので、「入門」というタイトルは、いささかそぐわないような内容です。どちらかと言えば、小学館文庫から全6巻で出ている「アラマタ図像館」シリーズの各巻の冒頭に掲載されている概説の方が、図像学の「入門」としては適切でしょう。これら以外にも、荒俣さんは「図像探偵」(光文社文庫)、「目玉と脳の大冒険」(ちくま文庫)、「図の劇場」(朝日文庫)など、図像をテーマにしたエッセイや評論集を出していますし、ほかのテーマの作品でも図像と切っても切れないものが多いのを見ると、やはり「図像学」は荒俣さんのライフワーク(のひとつ(^^;)なのだなあと思います。

本書は、3部構成になっています。
第1部「絵は観るな! 読むべし!」では、これまで幾度となく語られている「図像の中に象徴を読み取る」というテーマが、西洋古代からルネサンス期、近代までの豊富な事例を挙げて、論じられています。マーライオンや温泉の浴槽など、なぜライオンは水を吐くのか、とか、知恵の象徴とされている「フクロウ」の裏の意味とか、カバ、クジラの絵柄の意味するもの、さらに天体図や世界図の変遷と意味など、目からウロコの数々です。
第2部「図像学はおもしろい」は、「ものの見方には3通りある」――描かれているものをあるがままに受け取る見方、描かれているものの裏(象徴や隠喩)を読み取る深読みの見方、そして発想を逆転させるなどして描いた人間の意図を無視して独自の感性で読み取ってしまう見方――という論旨が、古今の様々な作品・図像を題材として展開します。この三つの見方は、対象から考えれば「写実画」「寓意画」「抽象画」に分類できそうですが、それほど単純ではないようです。
第3部「光学原論」は、「写真」をテーマとしています。デジカメの出現以前の原稿ですが、そういった未来志向の話ではなく、あえて写真の原点に戻って、手作りのカメラで職人芸のようにユニークな「写真」を創り出す人々と、その技術と情熱を紹介しています。

オススメ度:☆☆☆


図像学入門 荒俣宏コレクション2 目玉の思想と美学 (荒俣宏コレクション2) (集英社文庫) - 荒俣 宏
図像学入門 荒俣宏コレクション2 目玉の思想と美学 (荒俣宏コレクション2) (集英社文庫) - 荒俣 宏

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