秘められた世界史 ☆☆

(秘められた世界史 / 庄司 浅水 / 現代教養文庫 1991)

現代教養文庫版『奇談シリーズ』の1冊。かなり末期のものです(なにせ、あとがきを書いている庄司さんは、86歳だと語っています(^^;)。ただ、収められた各エピソードは、半世紀前に出した単行本に収録されていて、その後、文庫版の「世界の奇談」などから漏れていたものをまとめたのだそうです。そのためか、現代の人たちにはまったく知られていないようなマイナーな(?)事件のエピソードも、かなり含まれています。ちなみに、収録された14のエピソードのうち半分は、ほとんど知りませんでした。
各エピソードのタイトルと内容を簡単に紹介しておきましょう。

「暴君ネロ」:これは有名な話ですね。ローマに自ら火を放って、燃え盛る街をながめながら竪琴で詩を歌っていたというエピソードは間違いだと、ここでも書かれています(誰が言ったのか、子供の頃はそう信じていて、「ネロってとんでもないヤツだな」と思っていました。いや、実際、とんでもないヤツですが)。

「ポンペイ最期の日」:これまた有名な話です。西暦79年、ヴェスヴィオ火山の噴火で灰の下に埋もれてしまったポンペイの街の悲劇。ゴーチェの短篇小説「ポンペイの幻」(または「ポンペイ夜話」)も併せて読んでみましょう。

「ジャンヌ・ダルク異聞」:これは、「オルレアンの少女」ジャンヌ・ダルクのエピソードではなく、ジャンヌが火刑に処されてしばらくして、死んだのは別人で「私こそ本当のジャンヌ」と名乗る女性が現れた、というお話。ただし、庄司さん自身、義経=ジンギスカン説や、キリストが日本で死んだという説などをひいて、「まともに受け取れる話ではない」と、きわめて健全な意見を述べておられます。

「聖バルテルミーの大虐殺」:16世紀フランスで起きたカトリック対プロテスタントの宗教戦争、ユグノー戦争での最大の大虐殺。カトリック勢力がユグノー派を徹底して惨殺しました。

「カルカッタの黒い穴事件」:18世紀、ベンガル太守軍がカルカッタのウィリアム要塞を襲い、150名の英国人を捕虜にしましたが、捕虜はたった30平米の牢獄“黒い穴(ブラックホール)”に押し込められてしまいました。

「マリー・アントワネットの悲劇」:パンがないなら、お菓子を食べればいいのに。

「ゴードン暴動」:18世紀、イギリスでカトリックとプロテスタントの対立が原因で起きた大暴動。ゴードン卿は、暴動のきっかけとなるアジ演説をぶった、プロテスタント側の有力者。

「全滅したフランクリン探検隊」:19世紀半ば、大西洋から北極海を抜けて太平洋に至る、いわゆる北西航路を開拓するため、イギリスのジョン・フランクリン提督は、130人以上の隊員と2隻の船で、2年分以上の食料を積んで北極海探検に出発しました。かれらは二度と生きて戻って来ませんでした。

「カウンポールの悲劇」:19世紀半ば、英国の植民地だったインドで発生した大反乱(セポイの乱、またはシパーヒーの乱)のさ中、老齢の退役軍人しかいないカウンポールの要塞は、司令官の作戦ミスで最悪の状況に陥ります。

「焼死した二千人の乙女」:世界の歴史には、大勢の犠牲者を出した大火はたくさん記録されています。そのひとつ、チリのサンチャゴで起きたラ・コンパニア寺院の火災は、上流階級の若い女性が犠牲者の中心だという悲惨なものでした。

「聖バレンタイン・デーの惨劇」:禁酒法時代のアメリカ、シカゴの暗黒街を牛耳ったアル・カポネは、敵対勢力と壮絶な戦いを繰り広げます。

「リンドバーグ二世誘拐殺人事件」:わずか生後10か月のリンドバーグ・ジュニアは誘拐され、死体で発見されます。逮捕された犯人ハウプトマンは、本当に真犯人だったのでしょうか。

「ベルリン作戦」:第二次大戦の転換点となったいくつかの戦い――スターリングラード攻防戦、ミッドウェイとガダルカナル、ノルマンディ。ですが、それらの影に隠れた悲劇の作戦もありました。

「呪われた民族」:これは、ユダヤ人のことです。ナチスによるホロコーストを中心にユダヤ民族の運命が描かれますが、庄司さんはイスラエルの政策には批判的です。

オススメ度:☆☆


秘められた世界史 (現代教養文庫)
秘められた世界史 (現代教養文庫)

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