南方に死す ☆☆☆

(南方に死す / 荒俣 宏 / 集英社文庫 1994)

集英社文庫版『荒俣宏コレクション』の1冊。タイトルからわかるように、いわゆる「南洋の島々」に関する探検史や博物誌、西洋人や日本人が南洋諸島に対して抱いた幻想、そして荒俣さん自身が現地を実際に訪れた紀行文・エッセイなど、26篇が収められています。90年代前半を中心に、様々な雑誌などに発表されたものを集めているため、同じネタを重複して利用しているケースがあったりしますが、書斎に閉じこもったディレッタントと、実際に現場へ行って見聞きするフィールドワーカーと、荒俣さんの持つふたつの側面が、よく現れています。
採り上げられている場所も、バリ、タヒチ、フィジー、トンガ、ハワイなどと幅広く(世界地図を手許に置いて読むのをお勧めします)、クック船長やブーガンヴィル、フンボルトやダーウィンといった航海者や探検家、科学者の事績を紹介しつつ、その背後に隠された幻想や願望、その結果、パラダイスと言われた南洋諸島がどのような変化を遂げることになったのかなど、あるときは客観的に、あるときは想いをこめて紹介してくださいます。
収録されている各エッセイのタイトルを挙げておきますね。

<第1部>
キャプテン・クックと幻の南方大陸
楽園の発見者たち――18、19世紀探検航海がもたらしたもの
なつかしい陳腐――18世紀と驚異の探検図録について
植民地の少年

<第2部>
バリ島の自然に魅かれて
印象はファッショナブルな闇“楽園”紀行――わが内なるバリ島幻想を求めて
南島美女絵画論――裸女は盛装するか
漂流するヤシの実
原楽園への旅――南の島の魔法
南方と宇宙――観光の謎をめぐって
熱帯が好き
回復された楽園の旅
人生を棒にふるタヒチ――楽園でありすぎた島
アルカディア――神々の楽園、タヒチ
博物学的探訪実記、南太平洋フィジー
火と海から生まれた神の島
ハワイ・闇の支配者“カフナ・ヌイ”をさがして
ぼくの長年の憧れ、ジャワの近世二大名所
色っぽい旅――マレーシア
島が陸にかわるとき
宮古島再訪
イリオモテ――行くほどに謎はふかまる

<第3部>
ゾウに揺られて驚異都市――ワンダー・シティー
南米を制した探検家――アマゾンとメキシコ
古代の氷河と南の雪――アルプスと南アメリカ
環太平洋ユートピア構想ノート

オススメ度:☆☆☆


南方に死す (荒俣宏コレクション) (集英社文庫)
南方に死す (荒俣宏コレクション) (集英社文庫)

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