囲碁殺人事件 ☆☆☆

(囲碁殺人事件 / 竹本 健治 / 創元推理文庫 2004)

1977年、「匣の中の失楽」でデビューした竹本さんの、長篇第2作。IQ208の天才小学生、12歳の牧場智久を主人公とする“ゲーム3部作”の第1作です。
囲碁のタイトル戦、第七期棋幽戦第2局は、五期連続防衛のベテラン・“碁の鬼”槇野九段と、“精密機械”の異名をとる若手のホープ・氷村七段との対決でした。囲碁界でも将来を嘱望される天才少年・智久は、ミステリマニアの姉・典子と、典子が助手を務めている大学の大脳生理学研究室の須藤とともに、対局が行われる山梨県の旅館へ観戦に赴きます。注目の一戦とあって、プロ棋士や業界記者も多数集まっていました。そんな中、槇野九段は驚くべき奇手を繰り出し、氷村を圧倒して一日目が終わります。
しかし、翌朝、槇野は対局の場へ現れず、宿近くの渓流の岩場で、首なし死体となって発見されます。実は、二週間前に、「鬼の首を取る」図式の詰碁が槇野の居室で見つかっていました。それを目撃していた智久は、槇野九段の殺人は「予告殺人で、しかも連続殺人の2件目だ」と看破します。たしかに、しばらく前に神奈川県内で首を切り取ろうとしたと思われる殺人事件が発生しており、被害者は囲碁好きの眼科医と判明します。しかし、槇野との接点は見つかりません。
智久と典子は、囲碁初心者の須藤を含め、事件の推理に取り組みます。囲碁雑誌の編集長・高根、槇野九段に心酔していた杉沢四段、美人女流棋士の渡辺二段、智久の師である御原九段など、事件当日に宿に集まっていた面々が、それぞれに証言し、高根が風呂場で聞いた姿なき声、渡辺二段が夜中に槇野九段の部屋の前でたたずんでいる人影を見たことなどが明らかになります。そして、何回目かの会合の際、智久は「犯人は、ここに集まった中にいる」とつぶやきます。
典子は不安になりますが、案の定、深夜の囲碁会館で、智久は何者かに襲われ、九死に一生を得ます。犯人は、なぜ槇野の首を持ち去らねばならなかったのか――。
囲碁に関する薀蓄や専門用語が飛び交い、囲碁の素人(中学の時にルールを教えてもらいましたが、将棋ばかりやっていたので、囲碁についてはまったく記憶から欠落しています)には、ややとっつきにくい気もしますが、物語の本筋を追う分には、大きな問題はありません。もちろん、囲碁に造詣が深ければ、より楽しめることは間違いないでしょう。
第2作「将棋殺人事件」、第3作「トランプ殺人事件」も出ています。近日登場。

オススメ度:☆☆☆





囲碁殺人事件 (創元推理文庫)
東京創元社
竹本 健治

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