魔天楼 ☆☆☆☆

(魔天楼 / 田中 芳樹 / 講談社文庫 2002)

怪奇ミステリ『薬師寺涼子の怪奇事件簿』の第1巻。マンガやドラマCDにもなっていますね。
主人公の薬師寺涼子は東大卒の27歳。最高の美貌とプロポーションの持ち主、文武両道に秀で、ヨーロッパ諸国の言語に堪能、銃や武道も抜群の腕で、警視庁刑事部参事官(階級は警視)というキャリア。父親は警察庁の元幹部で、日本最大の総合警備保障会社(警察関係の最大の天下り先)の社長という「有閑倶楽部」顔負けのお嬢様ですが、唯一の欠点は、傍若無人な性格と歯に衣着せぬ言動、目指す女性像はエカテリーナか則天武后という、わがままな女王様がボディコンミニスカを着て歩いている――という点。ついた二つ名が“ドラよけお涼”。ドラキュラも避けて通る、という意味ですが、これにはまっとうな理由があります。なぜか涼子が絡む事件には、オカルト的な要素がただよい、超自然な真相が暴かれるという次第。もちろん、人心の安定を図りたい警視庁は、もみ消しに苦慮することになります。
さて、湾岸副都心に建設された巨大複合ビル“ベイサイドシティ”で、ある晩、怪事が起きます。エスカレーターの逆走に始まり、巨大シャンデリアや石像が落下、エレベーターが墜落、シャッターが勝手に下りて外部と遮断され、外線電話も携帯電話も不通という「殺人摩天楼」もかくやという惨事が発生、原因は全く不明で、ビル内にいた1万人(!)はパニックに陥ります。
たまたま、警察OBの政治家の資金集めパーティーがビル内で開催されており、警察のお偉方はほぼ全員が揃っているという皮肉な事態に。でも、幹部ばかりで実働部隊がいないため、ものの役には立ちません。父親の代理として出席していた薬師寺涼子は、部下(お守役、尻拭い役、八つ当たられ役とも言う)の泉田準一郎(語り手)を叱咤激励――ではなく理不尽な命令でこき使って(笑)、独自捜査を始めます。同期のライバル、風紀委員長タイプの室町由紀子と角突合せ、レオタード美少女オタクの後輩キャリア・岸本(由紀子の部下)の尻を蹴とばし(←例えではなく物理的に)、権威やら肩書きなどはなぎ倒して、涼子は怪異の正体を突き止め、事件を解決に導きます。
田中芳樹さんの作品ですから、面白くないわけがありません(笑)。涼子女史も、上司にしたら大変ですが(実際、理不尽な上司には何人もついた(^^;)、傍で見ている分には、スカッとした気分にさせてくれます。泉田とのコンビぶりも、微笑ましくもいい味を出しています。続刊を読むのが楽しみです。

オススメ度:☆☆☆☆


魔天楼 薬師寺涼子の怪奇事件簿 (講談社文庫)
魔天楼 薬師寺涼子の怪奇事件簿 (講談社文庫)

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