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zoom RSS 御伽草子 ☆☆☆

<<   作成日時 : 2018/01/14 23:01   >>

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(御伽草子 / 水木しげる:編 / PHP文庫 2001)

水木しげるさん監修(編集ではない)によるホラー・アンソロジー「妖かしの宴」シリーズの第3巻です。第2巻「変化」も出ていますが、未読です(そのうち登場)。第1巻は「わらべ唄」がテーマでしたが、今回はタイトルの通り「おとぎ話」がテーマです。日本古来の(日本だけではありませんが)様々な「おとぎ話」を元ネタにしたホラー小説が8作品(プラス水木さんの漫画)が収められています。

「カムイコタンの羽衣」(今野 敏):タイトルからおわかりのように、元ネタは「天女の羽衣」です。売れないフリーカメラマンのツヨシは、気晴らしに旅行に出かけた先の北海道のとある沼地で、水浴びをする美しい女性を目撃し、衝動的に写真を撮ってしまいます。その写真はコンテストでグランプリを獲得し、ツヨシは一躍売れっ子になりますが、個展で件の写真の前にたたずむ女性を見かけます。

「枕中記」(狩野 あざみ):元ネタは中国の伝記物語「邯鄲の夢」です。平民から身を興し、唐の宰相にまで上り詰めた盧生は、年老いて死の床に就きながら、自分の一生を夢で回顧します。しかし、やがて目が覚めると、自分は平民の若者で、邯鄲の宿で居眠りをしていたのでした。

「わたしはうさぎ――かちかち山」(久美 沙織):元ネタは副題でわかりますね(^^ 二人目の子供を妊娠中の主婦、美緒は、マンションの斜向かいの部屋に引っ越してきた老婦人、杉谷三弥子に悩まされていました。おしゃべりでおせっかいで、常に不満を抱え、美緒をストレスのはけ口にしているような三弥子は、まさに“ご近所トラブルの震源地”のような相手でした。あるとき、美緒は三弥子の息子の嫁だという亜砂子と知り合います。さて、この中の誰がうさぎで、誰がたぬきなのでしょう?

「小豆洗い――巷説百物語」(京極 夏彦):京極さんの世直し怪談(?)連作集「巷説百物語」の劈頭を飾った作品です。越後の山奥、枝折峠で豪雨に襲われた僧・円海は、山小屋に難を逃れますが、そこには既に雑多な人が身を寄せて風雨をしのいでいました。近在の百姓や行商人に混じって、御行の又市、遊女上がりのおぎん、行商人の治平、戯作者志望の百介といった旅の者もいます。又市の提案で、退屈しのぎに百物語でもしようということになり、おぎんは山猫に取り憑かれて狂死した姉の話、治平は小豆洗いの正体は幽霊だという話をします。話を聞くうちに、円海の顔は青ざめていき・・・。

「雨女」(水木 しげる):孤独な老人が、雨がしとしと降る中、山小屋へ籠もりに出かけますが、そこで出会ったのは妖艶な女性でした。老人は女性とねんごろに(笑)なりますが、情事のたびに二人とも若返っていきます。やがて――。

「乙姫の贈り物」(井沢 元彦):もちろん元ネタは「浦島太郎」です。正義漢で腕に覚えがある浦島均は(学生時代には強盗を取り押さえたこともあります)、暴漢に襲われている若い女を助けます。すると、娘は浦島を立派な屋敷(「竜宮」という表札がついていました)に招待し、高級な酒でもてなした挙句、亀岡と名乗る初老の執事からは、お礼にと一千万円の札束をもらうのでした。ところが、浦島は、三億円強奪事件の容疑者として逮捕されてしまいます。

「狂鬼、走る――人面疽」(友成 純一):福岡の繁華街をパニックに陥れた異様な通り魔殺人鬼、名島紀男は、帰国前はインドネシアのトカンベシ列島で文化人類学の調査をしていました(同じ作者の長篇パニック・ホラー「覚醒者」でもトカンベシ列島は重要な舞台となっています)。サンゴ礁に落ちて足を負傷した名島は、やがて性格まで変わってしまい、別人のようにふさぎ込んでしまったため、心配した同僚が日本へ送り返したのですが、帰国した名島は名島ではありませんでした。

「C10H14N2(ニコチン)と少年――乞食の老婆」(平山 夢明):元ネタの「乞食の老婆」とは、グリム童話(残酷なバージョンのほう(^^;)で、火の近くに寄り過ぎて燃え上がった乞食の老婆を周囲は黙って見ているだけ、というお話だそうです。それと同じことが、たろうの住む町でも起きるのですが――終わってみれば、タイトルの恐るべき(呆れかえる?)意味が明らかとなります。

「百日紅の家――瓜子姫」(橘 薫):元ネタは「瓜子姫と天邪鬼」です。平凡な中年サラリーマンの語り手は、妻が二人の娘、末っ子の小学1年生・淳一を連れて実家に里帰りした隙に、若い愛人の玲子とよろしくやろうと思っていました。ところが、淳一がひとりだけ帰ってきてしまったのです。さらに不気味なことに、実家の妻からは、淳一がそちらに一緒にいるかのような電話がかかってきます。玲子は見知らぬ少女の影に怯え、別れようと言い出す始末。淳一(?)は、坂の下にある百日紅が咲き誇るあばら家(同級生の女の子が住んでいるのだそうです)に遊びに行きたいとしきりに言いますが……。

「蜃気楼」(秋月 達郎):元ネタは中国伝奇の「蜃気楼」と「壺中天」です。南宋の司録參軍・慈双は、巡察の途中、洞庭湖畔の岳陽へ立ち寄ります。慈双の下働きの娘・明鈴は、いつか主人にほめてもらいたいというささやかな望みを持っていましたが、それもかなわず、気晴らしに目くらましの見世物に出かけます。暗くなっての帰途、落雷によって解放された魔物に取り憑かれ、姿を消してしまいました。やがて、湖中から豪華な城が浮かび上がり、そこへ渡った者は酒池肉林をほしいままにできるという噂が広がります。怪しく思った慈双は、城へ乗り込みますが、魔に取りつかれた者どもに包囲され、命も風前の灯に――そこに現れたのは、目くらましの一座の団長と、武芸の達人の二人の若い美女でした。

オススメ度:☆☆☆




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