イクシーの書庫

アクセスカウンタ

zoom RSS 猫橋 ☆☆☆

<<   作成日時 : 2017/12/11 23:59   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 0

(猫橋 / 田中 文雄 / 集英社文庫 1989)

『大魔界』シリーズで知られる田中文雄さんには、「猫×」というタイトルの怪奇幻想・ホラー小説を何冊も書いています。本作は「猫」シリーズの第4作で、シリーズとしては初読みです。

舞台は神奈川県の江ノ島――実際に行ってみればわかりますが、島中のいたるところに大小の猫があふれており、近づけば寄ってきます。本作でも、猫(化け猫?)が重要な役割を果たしています。
嵐の夜、江ノ島の海に面した岩場で、壮絶な追跡劇が行われていました。過激派の手配犯・赤尾を追う藤沢署の刑事・辻は、後輩の正村刑事とともに赤尾を断崖のはずれに追い詰めます。風雨の中、辻に殴りかかった赤尾は次の瞬間、辻の銃撃を受け、荒れ狂う海に落ちて、そのまま姿を消してしまいます。辻の頬は、まるで猫の鋭い爪に切り裂かれたかのようにざっくりと肉がこそぎ取られていました。
赤尾は海に転落して死んだものと考えられ、捜査は終了しますが、辻だけはそう考えてはいませんでした。自分が受けた傷から、あの時の赤尾は赤尾ではなく、彼の飼い猫のガイが憑依した肉体だけの存在であり、赤尾の魂は猫のガイに宿って今も生きているという妄想(?)に取りつかれていたのです。辻の考えは当然ながら黙殺され、退職した辻は、3年にわたり個人的な執念で、赤尾の内縁の妻で今も江ノ島で暮らしている樫原典子の家を見張っていました。
そんな折、都内の大学のサークル仲間、滝井基彦、吉武剛、室橋弓子の3人が江ノ島を訪れます。基彦と弓子は恋人同士でしたが、二人の間には最近やや隙間風が吹いており、剛が弓子に好意を持っていることも基彦は気づいていました。岩場を散歩していた基彦は、海に落ちた白猫を助け上げ、飼い主の若い女性と知り合います。着替えるために女性の家を訪れた基彦は、祖母や猫と暮らしているという孤独の色が深い相手に惹かれますが、相手は親しげな態度を見せたかと思うと急に冷たくなり、基彦は複雑な気分で家を辞することになります。この女性こそ樫原典子で、白猫のミッキーのほか、ガイという年老いた大きな黒猫を飼っていました。
ところが、数日後、典子がわざわざ大学まで基彦を訪ねてきます。基彦は、弓子とその母親と食事をするという大切な約束をすっぽかして(笑)典子と親しく語り合うのでした。想いを抑えきれない基彦は、次の休みに江ノ島の典子の家を訪ねますが、冷たく追い払われてしまいます。男がいるのではないかと、物陰から典子の家を見張っていた基彦は、不審な男に声をかけられます。相手は、藤沢署の刑事、辻と名乗り、基彦を飲みに誘うと、過激派の赤尾と典子の関係や、赤尾の魂がガイに乗り移っているという自分の考えを語ります。そして、半信半疑の基彦に、恐ろしい自分の推測を語るのでした――寿命が尽きようとしているガイに宿っている赤尾は、次に乗り移る肉体として基彦を狙っているというのです。典子は赤尾の命令で、基彦の気を引き、おびき寄せようとしているのだ、と。
辻の態度に信用しきれないものを感じた基彦は、藤沢署に確認の電話を入れ、正村刑事から辻がすでに退職していることを知ります。典子が危険にさらされていると感じた基彦は江ノ島へ向かい、展望台で典子と再会します。その後、姿を消した典子を追って彼女の自宅へ行った基彦ですが、典子の姿はなく、典子の祖母と黒猫のガイの死体があるばかりでした。一方、基彦を心配した弓子と剛も江ノ島を訪れ、辻と出会います。しかし、島の駐在所の警官と出会ったことで偽刑事の辻は姿を消し、今や赤尾の魂が宿っている(と辻は信じ込んでいる)基彦を追い、最後の決着をつけようとします。3年前と同じ、岩場での追跡劇が繰り広げられますが――。

オススメ度:☆☆☆




猫橋 (集英社文庫)
集英社
田中 文雄

amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by 猫橋 (集英社文庫) の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル


テーマ

注目テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
猫橋 ☆☆☆ イクシーの書庫/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる